西武鉄道は7月1日から9月30日までの3カ月間、多摩川線で自転車を折りたたまず、そのまま車内に持ち込める「西武多摩川線サイクルトレイン」の実証実験を開始する。この実証実験を前に、6月29日に報道公開が行われた。
今回の取組みは、定期運行列車をサイクルトレインとして使用し、普段の買い物やサイクリング等における利用者の行動範囲を広げることで、地域交通の利便性を高めるために行われる。SDGs(持続可能な開発目標)の取組みとして、自動車よりも二酸化炭素の排出量が少ない電車と自転車を組み合わせて利用してもらい、自然環境や地球環境に配慮した移動手段の選択肢を提供することも目的だ。
サイクルトレインを利用可能な駅は多磨駅を除く全駅。多磨駅の自由通路は府中市の管理ゆえに利用不可となった。利用可能時間は、平日が是政駅10時9分発から同駅15時45分発までと武蔵境駅10時6分発から同駅15時42分まで、土休日が是政駅8時9分発から同駅17時45分初まで、武蔵境駅8時6分発から同駅17時42分発までとなっている。
なお、平日は10時、土休日は8時から改札入場が可能となっており、平日は16時、土休日は18時までに改札を出場しなければならない。
持込み可能台数は1人1台。原動機付自転車や長さ180cm・幅45cm(ハンドル幅を除く)を超えるサイズの自転車は持ち込めない。ホームへのエレベーターに載せることができないからだ。また、スタンドが付いていない自転車も持ち込めず、両立スタンドやサイドスタンドのある自転車のみ持ち込める。原則として中学生以上の利用者が持込み可能だが、保護者同伴なら小学生以下の利用者もサイクルトレインに自転車を持ち込める。
持込み可能車両は武蔵境駅寄りの1号車となっている。この車両にした理由は、日中時間帯で最も利用が少ない車両だからである。1両に持ち込める自転車の上限は8台となっている。
では、どのように自転車が持ち込まれたか、見てみよう。
武蔵境駅の広い自動改札には、自転車が通れるように案内の目印が床の上に記されている。自転車を手で押しながら改札を通り、床の上の矢印をたどっていくと、ホーム階へのエレベーターが現れる。自転車と利用者が一緒に乗れるだけの大きさとなっている。
ホーム階では、「サイクルトレイン乗車位置」と記された目印があり、乗降ドアが開いたら乗車する。車両にも「サイクルトレイン」の案内が貼られている。
乗車すると、ドア横の座席にマジックテープ式のベルトが備えられており、スタンドを立てて自転車にベルトを巻き付けて固定し、転倒しないようにする。巻き付ける際はハンドルまたはサドル下とする。乗車時には手で自転車を支え、降りるときには固定ロープを外して自転車を押し、段差に気をつけて降車する。武蔵境駅では、降車時に間違えてJR東日本との連絡改札に行かないように、「自転車進入禁止」と表示されていた。
なお、混雑時や資格試験など特定の日に、自転車の持込みを断る場合がある。実証実験期間中、このサイクルトレインに関するアンケートを実施し、利用者の反応を見ることとしている。