次戦では1組5位の佐藤天彦九段と対戦
豊島将之竜王への挑戦権を目指す、第34期竜王戦(主催:読売新聞社)決勝トーナメント、▲梶浦宏孝七段-△青嶋未来六段戦が6月29日に東京・将棋会館で行われました。結果は167手で梶浦七段が勝利。今期も前期同様の快進撃となるでしょうか。
戦型は梶浦七段の居飛車対青嶋六段の四間飛車となり、両者玉を穴熊に囲う、相穴熊の将棋になりました。少し珍しいのは青嶋六段が9筋の歩を突き越している点。ここに梶浦七段は着目します。
梶浦七段は通常の穴熊から、金銀4枚の銀冠穴熊に組み換えます。そして▲9六歩△同歩▲同銀と、相手の位に逆襲していきました。もし相手が銀を香で取ってきても、自玉は依然金銀3枚に守られていて鉄壁な上に、端攻めが残って先手優勢です。
こうして手にした歩を用いて、戦いの場を3筋に転じたのが梶浦七段の秀逸な構想でした。青嶋六段が桂を助けようとする間に、今度は再び9筋に目を向け、香を入手。その香を9筋に打って、香の2段ロケットで相手の穴熊を攻略しました。
局面ははっきり先手の梶浦七段が良し。しかし、ここから青嶋六段が粘りを発揮します。馬を自陣に引き付け、この馬が攻守の要として活躍。自分からは崩れず、チャンスを待ちます。
攻めが簡単には決まらず、焦ってもおかしくない場面でしたが、梶浦七段は冷静でした。手数はかかるものの、確実なと金攻めでじわじわと青嶋玉に迫っていきます。青嶋六段も反撃してきますが、その攻めがあと一歩届かないことを的確に見切って勝負あり。最後は相手の馬に竜をぶつける決め手を放ちました。
この手は詰めろ逃れの詰めろ。竜を馬で取ってくれば、その瞬間に相手玉を詰ますことができます。攻防ともに手段がなくなった青嶋六段は、竜を取って首を差し出し、梶浦七段はしっかりと相手玉を即詰みに打ち取って勝利を収めました。
今期も決勝トーナメントで白星を挙げた梶浦七段。5組優勝で臨んだ前期は、4連勝で準決勝まで勝ち進みました。今期も1組所属棋士相手に勝利することができるでしょうか。次戦は1組5位の佐藤天彦九段と対戦します。