マーケティングには、リアルな現場で行うもの、デジタルを活用するものなど、さまざまな種類があります。
円滑に進めて結果を出すには、達成したい目標に適した手法を選ぶことが大切です。この記事ではマーケティングの代表的な種類について、わかりやすく解説します。
代表的な3種類のマーケティング
手法が増えているマーケティングですが、大別すると以下の3種類に分かれます。
1.マスマーケティング
不特定多数の消費者に対し、統一的・画一的なプロモーションを行うマーケティングのことです。インターネットが普及した現在も大規模で実施されており、テレビCMや新聞・雑誌広告などが代表例です。
食品・飲料・日用雑貨品・化粧品・車・保険といった製品・サービスの多くで、マスマーケティングが行われています。消費者にも身近なマーケティング手法と言えます。
多数の消費者をターゲットとする以上、多くのコストがかかるため、大企業が実践しやすい手法です。
2.ダイレクトマーケティング
ターゲットとする顧客を定め、双方向のコミュニケーションによって販売促進を展開するマーケティング手法です。通信販売、通信教育、ECなどで利用されるケースが多く見られます。
顧客の反応を分析することにより、効果検証がしやすいメリットもあります。IT・通信環境の進化によって、さらに活用できる場が広まっています。
たとえばメールやSNSを利用して双方向性のコミュニケーションを展開する手法も、ダイレクトマーケティングの1つです。
3.ゲリラマーケティング
コストをかけずに、定型的ではない型破りな手法を用いるマーケティング戦略です。局所的なゲリラ戦の発想に由来しています。
製品やサービスの大きなインパクトを与え、サプライズによって顧客を獲得することがメインの目的です。たとえばネット・SNSでのバズを狙ったバズマーケティングも、ゲリラマーケティングの一種です。
低コストで効率的に利益を得ることを目的とするため、中小企業やスモールビジネスでも導入しやすい手法です。ダイレクトマーケティングと同様、ITの進化によりゲリラマーケティングも活用の場が増えています。
領域・ツールで見るマーケティングの種類
マーケティングを実施する領域や、利用するツールにより、下記の4種類に分かれます。
1.リアルマーケティング
リアルな現場・空間で行うマーケティングのことで、具体的には実演販売・街頭サンプリング・集客イベントなどが挙げられます。
製品を実際にその場で試してもらったり、機能を実感してもらったりと、顧客が実際に体験できるのがメリットです。またイベントの様子を動画でSNSや公式ホームページに投稿することにより、さらなる情報拡散もできます。
その一方でリアルマーケティングが成功するかは、当日の動員数や天候など、不確定要素にも左右される点に注意が必要です。事前にリスク要素を洗い出し、対策を考えておきましょう。
2.デジタルマーケティング
リアルマーケティングとは対照的に、あらゆるデジタル関連のツールやサービスを活用するマーケティングです。Webサイト、検索エンジン、スマホアプリ、動画配信、SNS、Eメール、VR、IOT、デジタルサイネージなど多岐にわたります。
デジタルを介して顧客との接点をつくり、関係を構築していき、最終的には製品・サービスの利用につなげます。
インターネットの発達とともにデジタルマーケティングの重要性は増してきました。加えて新型コロナによる接触回避・リモート推奨の傾向が、デジタルマーケティングをさらに後押ししている状況です。
続いてご紹介する3~6の各マーケティングも、デジタルマーケティングのなかに含まれています。
3.Webマーケティング
デジタルマーケティングのうち、Webに特化したマーケティングのことです。アクセス数やWeb上での顧客の動きなどを測定・分析し、集客数の増加や製品・サービスの問い合わせ・申し込みにつなげます。
Webマーケティングの代表例がSEO(Search Engine Optimization)で、検索エンジン最適化のことを意味します。Google検索で、自社のサイト・特定のページが上位になることを目指す手法です。
4.コンテンツマーケティング
ユーザーにとって役に立つコンテンツを提供することにより、自社のファンとなってもらい、申し込み・購入につなげる手法です。潜在顧客に適切な情報を提供することで引き付け、徐々に購入を促していきます。
コンテンツマーケティングは一般的にWebサイト・ブログを利用することが多いですが、コンテンツとは「情報の内容・中身」を意味するので、利用するメディアは特に決められていません。
5.SNSマーケティング
Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアを活用するマーケティングです。SNSの特性である双方向のコミュニケーションを図ることで、若年層を中心としたファンを増やせるのがメリットです。
公式ホームページとは違い、カジュアルで親しみやすいメッセージを投稿できるのもSNSのメリット。シャープ、タニタ、ローソンなどの企業アカウントは個性的なことで有名です。
その一方でSNSは炎上しやすく、マイナスな情報もあっという間に拡散するため、軽い気持ちで不適切な投稿をしないように注意が必要です。
なおSNSで大きな影響力を持つ個人に協力してもらい、自社商品の写真の投稿やアピールなどをしてもらうことを、「インフルエンサーマーケティング」と呼びます。
6.動画マーケティング
映像を利用して、商品やサービスの魅力を訴求するマーケティングです。YouTubeなどの発達により、中小企業や個人事業者でも動画マーケティングが実践できるようになりました。
動画は視覚や音声により一度に伝達できる情報量が多く、わかりやすく伝えられるのがメリットです。動画広告の市場規模も年々拡大しており、現在注目されている手法と言えます。
ただしクオリティの低い動画は効果が非常に低く、一定のレベル以上に仕上げるにはコストや時間がかかります。
7.O2Oマーケティング
Online To Offlineの略称で、オンラインからオフラインへ、またはその逆のオフラインからオンラインへと誘導するマーケティング手法です。リアルとデジタルをまったくの別物とせず、それぞれの「場」をつなげる取り組みと言えます。
具体例としては、たとえばTwitterで特定のハッシュタグを含むツイートをすると、店舗で購入する際にボーナスポイントがもらえるといったキャンペーンが挙げられます。
なおO2Oと似た概念として「オムニチャネル」があります。顧客との接点の場を店舗・Webサイト・スマホアプリなど複数展開しながら、一貫した顧客体験を提供するものです。
マーケティング活動の種類
マーケティング実務の代表的な種類についても見ておきましょう。
マーケティング・リサーチ(市場調査)
市場で何が売れているのか、顧客が求めるものは何かを調査する取り組みです。アンケート調査結果、リサーチ会社のデータ、政府の統計データなどを利用します。
また外部環境だけでなく、内部環境である自社の分析も必要です。強み・弱み、脅威・機会などを分析し、市場にどうアプローチするかを検討します。
広告・宣伝
商品の売り出し方、プロモーションの方法を決定し、効果的な手法を選んで実践します。テレビ広告の放送、SNSの発信、イベント実施、チラシ配布などたくさんの選択肢があります。
広告・宣伝はコストもかかるので、費用対効果も考慮しながら施策の中身を決めるのが大切です。
効果検証
マーケティング活動が、目標としていた効果を出したのかを検証します。費やしたコストに対して、得られた売り上げなどを照らし合わせ、費用対効果を計測します。
なお直接的な売上ではなく、認知度の向上や見込み客からの問い合わせ数などを目標値として定める場合もあります。
以上、マーケティングにはさまざまな種類や手法があることをお伝えしました。
○○マーケティングといった言葉は、時代の流れで新しいメディアやプロモーションができるとともに、手法が派生したり細分化されたりして生み出されていきます。
今後も商品やサービスの目標や目的に合わせて、従来のマーケティングのみではなく、新たなマーケティングを取り入れて活かしていくといいでしょう。