コミットメントは、経済や政治の世界でよく使われる言葉です。何となく意味を知っているという人も、いざ説明を求められると困ってしまうのではないでしょうか。本記事ではコミットメントの意味を説明し、その活用法も紹介します。
コミットメントとは
コミットメントは「約束、誓約、公約」などの意味の英語「commitment」から来ています。ほかにも「積極的な関わり、介入」という意味があります。
誓約や公約などと訳されることからもわかるように、約束といってもそれは責任を伴う程度のかたいものです。そのためコミットメントはビジネスシーンや国際会議などでよく使われます。
名詞であるコミットメントとともによく使われるのが、動詞「コミット(commit)」。「約束すること」「かかわり合うこと」という意味で、「コミットする」などと使われます。
それではビジネスシーンにおいて、コミットメントはどのような意味をもつのでしょうか。
ビジネスシーンでは「責任をもって引き受ける」
ビジネスシーンにおいてコミットメントは、「強く関与して、責任を果たすこと」という意味です。前述したように単なる約束ではなく、責任の所在が明確なかたいもの。そのため、約束を果たすために具体的な仕組みづくりが求められるという場合もあります。
例えば「このプロジェクトにコミットメント(コミット)してほしい」という場合は、メンバーとして参加するというだけでなく、積極的にかかわり結果を残してほしいという意味を含んでいます。
経済学や心理学の世界でも使われる
コミットメントは経済学や心理学においても使われます。
経済学におけるコミットメントの意味は、「特定の行動しかとれないような、具体的な仕組みをつくること」です。
例えば、家電量販店でよく見かける「他店より高い場合は値引きします」という案内。これはお客がその店で買う以外に選択肢がない状態を生み出すと同時に、他店にとっても「たとえ今から値引きしても顧客は確保できない」とあきらめざるを得ない状態となります。つまり、値引き競争は起こらないという仕組みを生んでいるのです。
心理学においては「コミットメント効果」などと使われます。これは個人が目標に向かって何かをやり遂げようとするとき、その意志を周囲に公言することで自分を追い込み、それを目標実現につなげるというものです。
ビジネスシーンでの使い方
それでは実際に、使い方を見ていきましょう。
コミットメント(コミット)する
何かのプロジェクトに対し、主導権をもって深く関わるときなどに「プロジェクトにコミットメント(コミット)する」と表現します。
コミットメント力
約束をどこまで実現できるか、その力は「コミットメント力」と表現されます。積極的に関与して実現に向かうことは「コミットメント力が高い」、反対に消極的であまり役割を果たせていないことは「コミットメント力が低い」などと言われます。
フルコミット
コミットメントよりもさらに深く介入することを「フルコミット」と言います。例えば「この新規案件はフルコミットしてほしい」と上司から言われたら、全力全霊を注がなければなりません。
より深くコミットメントするには
上司から評価を受けるには、より深くプロジェクトにコミットメントする必要があります。具体的にどうすればよいのでしょうか。
コミュニケーションを積極的にとる
ビジネスシーンにおいても、共感は不可欠。プロジェクトメンバーとはもちろん、時には顧客と同じ目線に立って業務にあたれば、そこには信頼関係が生まれます。
信頼関係はメンバーのモチベーションアップにつながり、顧客との関係もスムーズなものに導いてくれるはず。プロジェクトに携わる際は、業務の内容や結果だけにとらわれずに、関わる人と積極的にコミュニケーションをとりましょう。
チームワークを活かす
プロジェクトチームには、さまざまなメンバーがいるはずです。自分ひとりで遂行しようとするのではなく、メンバーの得意分野をどうプロジェクトに活かすかを考えることも大切です。
適材適所で業務を分担し、互いに能力を認め合えれば、前述したコミュニケーションの活性化にもつながるでしょう。
コミットメントラインは金融用語
金融業界で、融資に関する用語に「コミットメントライン」があります。これは「一定期間内において、一定の融資額を設定し、銀行は企業に対しその範囲内でいつでも融資を実行できること」をいいます。
厳しい契約条件はありますが、資金調達の自由度があるコミットメントラインは企業にとってはうれしい仕組みと言えます。
コミットメントフィーが必要
コミットメントラインの対価として、企業は銀行に手数料を支払わねばなりません。これが「コミットメントフィー」です。
コミットメントレターが発行される
コミットメントラインの契約内容が提示された書面を「コミットメントレター」と言います。この書面を通して、銀行は融資を行う意思を表明します。
コミットメントラインにはメリット・デメリットがある
前述したように、コミットメントラインは一定の条件下で自由に融資を受けられる仕組みです。そのため企業にとっては資金調達の自由度が広まるというメリットがあります。
一方でコミットメントラインが適用されるためには厳しい審査を受ける必要があり、また手数料を支払わねばなりません。
より深くコミットメントして、周囲の信頼をつかもう
コミットメントは、責任を伴う程度の約束を指します。ビジネスパーソンとして経験を重ねるほどに、コミットメントが求められることも増えるでしょう。
何かプロジェクトに関わるチャンスが来たら、たとえプロジェクトリーダーではなくてもすすんでコミットメントして、上司の評価をつかみ取りましょう。