フェンシングと近代五種(フェンシング、水泳、馬術、射撃、ラン)の"二刀流"を使いこなし、プライベートではモデルとしても活躍するなど、まさにマルチな才能を見せる才藤歩夢選手。

前編では、アスリートとしてのキャリアを振り返りながら、コロナ禍の影響などについてもお話を伺いました。後編では、マイナスをプラスに変える発想の転換方法やリラックス方法など、良いメンタルの作り方を中心にお聞きします。

■才藤選手のモチベーションの保ち方は? 前編はこちら

才藤選手に学ぶ「ポジティブシンキング」の方法

――近代五種は5種目を行う競技ですが、好きな種目や苦手な種目、身が入る練習や身の入らない練習もあったりしませんか?

うーん。むしろ、5種目あるからこそ、例えば脚を怪我してランニングができなくても、上半身だけを使って水泳の練習をしたりとか、その他の競技の練習をしようと切り替えられるかもしれません。逆に、その日に水泳の調子が悪かったとしたら、無理やり水泳の練習を続けるようなことはせず、今日はランニングの練習に変更しよう!! と切り替えることができます。他の競技ではなかなかこういうことはできないと思うので、そこはメリットかもしれませんね。

――とてもポジティブですね。日々の生活で落ち込むことなどはないのでしょうか?

うーん、落ち込むこと……そうですね、携帯電話を盗られたときは落ち込みました。ランニングの練習中、公園にスマホを置いておいたら盗られちゃったんです。それは凹みました。

――確かに落ち込むことですが、凹むエピソードがあまり出てこないことも驚きです。

はい、それくらいしか出てこないかもしれません(笑)。

――例えば、試合で悪い結果が出たときなどは引きずったりはしませんか?

まったく考えないより、ちょっと引きずることも大事だと思います。でも、何が悪かったのかを考えて、その原因を突き止めて改善することができたら、綺麗サッパリ忘れるようにしています。それでもう次に同じことが起きた場合でも対処できますからね。

――そのポジティブな思考法は誰に学んだのでしょうか?

誰かに学んだというよりも、海外の選手の試合などを見ていると、大きく分けて2パターンに分かれることに気付いたんです。簡単に言うと、めっちゃ楽しんでいる選手か、めっちゃブチギレている選手ですね(笑)。両方を客観的に見て、私は試合で悪い結果が出たときも「こういうときもあるよね!」と楽しめる側の選手になりたいなって思ったんです。

トップアスリートとして大事にしていること

――そういった考え方は、ポリシーやモットーとして特別に大切にしていますか?

楽しんでやることは、常に意識しています。例えば目の前にやりたくないことがあっても、その先に楽しいことがあるから頑張ろう!! と考えるようにしていますね。マイナスに考えてしまうと、自分で自分をどんどん追い込んじゃうじゃないですか。

私にも、やる気のない日はあります。でも「練習が終わればタピオカが飲める」「練習後は友達と会える」といった感じで小さな楽しみを作れば、気分が乗らない日でも頑張れます。

――才藤選手のタピオカ好きは有名ですが、ブームが落ち着いた今もまだ大好物なんですね?

全然まだ飲んでいますよ(笑)。ブームが落ち着いて、どんどんお店が潰れているのが悲しいです……。でもつい先日、千葉県で空き時間があったので、仲間とタピオカを飲みに行ったら、30分も並びました(笑)。

――やはり自分へのご褒美は大事なんですね。

そうですね。洋服やスイーツも大好きです。Instagramとかでスイーツを検索して「よし、これを食べに行くためにも練習を頑張ろう!!」と、モチベーションにしています。お肉も大好きです。

――お肉好きと聞いて少し気になるのですが、馬肉は食べませんか……?

馬肉は食べません。やはり馬術をやっている選手は食べない人が多いですね。でも一度、近代五種の選手と一緒にご飯を食べていて、馬肉と知らずに食べてしまったことはあります。食べた瞬間に違和感を感じで、店員さんに「これ馬肉じゃないですよね?」と聞いたら「馬肉です」って言われて、青ざめました。翌日の練習では、ふたりともちゃんと落馬しましたよ(笑)。

才藤選手のリラックス方法は「香り」にあり

――それは悪い意味で効果テキメンでしたね(笑)。他に心掛けているルーティンはありますか?

睡眠はちゃんと7〜8時間くらいは取るようにしていますし、食事も摂れるだけ摂るようにしています。5種目は結構なカロリーを消費するので、日々ちゃんと食べるように気をつけています。よく羨ましがられますが、常に食べなきゃいけないというのも結構大変なんですけどね(笑)。

あと、オーバートレーニングにならないよう気をつけていますね。根を詰め過ぎて故障してしまった選手も見てきたので、オフの日も週に1日は必ず作るよう心掛けています。ちゃんと適度に休まないと、練習にも身が入らず、練習の質も落ちちゃいますしね。

――才藤選手ならではのリラックス方法などはありますか?

いい香りのボディクリームを塗ることでしょうか。甘ったるい香りよりもさっぱり目の香りが好きで、練習に行く前に塗っておくと、練習中にいい香りがして頑張れるんです。

ちなみに、香水でもメンズのほうを使うことが多くて、例えばドルチェ&ガッバーナの「ライトブルー」なんかが好きです。ボディクリームならシャネルの「ココ ヌワール」を好んで使っています。ボディクリームだと香りも柔らかめで、量も調節できるから嬉しいですね。試合でも頑張れます!

――香りでリラックス効果を取り入れるのはいいですね。最後に、今後の目標についてお聞かせいただけますか?

ようやく試合もちょっとずつ決まってきました。まずは少しでもタイムや成績を上げつつ、ちゃんと楽しんでいきたいと思っています。もちろん、まだ近代五種を知らない人も多いので、もっと競技をメジャーにしたいという思いもあります。最近はモデルのお仕事をいただくこともありますが、そちらでも競技の知名度アップに貢献できるよう頑張りたいですね!

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