ペダルの踏み間違いによる事故を撲滅すべく、イエローハットが新たなプロジェクトを立ち上げた。クルマに後付けできる「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の設置費用4.18万円を実質3,980円に割り引く取り組みを全国の店舗でスタートさせる。
ペダル踏み間違い時加速抑制装置を格安で
警視庁によれば、75歳以上の高齢ドライバーが起こす事故では「操作不適」によるものが最も多く、中でもブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は75歳未満のドライバーに比べ高い水準にある。具体的には、事故全体に占めるペダル踏み間違いの割合は75歳未満が0.8%であるのに対し、75歳以上では6.2%に達するそうだ。
こうした状況に対応すべく、イエローハットは「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」撲滅プロジェクトを立ち上げた。65歳以上が対象となる「サポカー補助金」(2万円)にクーポン券(1.782万円)を組み合わせ、クルマに後付けできるペダル踏み間違い時加速抑制装置本体と設置費用の計4.18万円(本体価格2.783万円、車両装着専用配線5,170円、取り付け工賃8,800円)を実質3,980円とする取り組みだ。
設置するのはサン自動車工業の「S-DRIVE誤発信防止システム2」という製品。この装置を取り付けてスイッチをオンにしておくと、停車からの発進時(時速0キロ~8キロ)と巡航時から停車への減速時(時速16キロ~0キロ)、急なアクセルの踏み込み操作をしてもクルマが加速しなくなる。シフトが「P」に入っていればクルマは止まったままだし、「D」あるいは「R」であればクリープ走行状態になる。システム作動中は車内に設置するオン/オフ切り替え用スイッチの付いたボックスに赤ランプが点滅し、「ピーピー」というシステム作動音が鳴る。
逆に、速度がシステムの作動範囲外であれば、アクセル操作に合わせてクルマは普通に加速する。すべての速度域でシステムが作動するようにしていないのは、例えば高速道路への合流時など、本当に急な加速が必要なときにドライバーを邪魔しないためだ。
システムは手元でオン/オフが切り替えられる。基本的には常時オンで問題ないのだが、例えば急な坂道の途中で停車した時など、あえて急加速しなければならないシチュエーションでは手動でシステムをオフにできる。
同システムはどのクルマにでも取り付けられるというわけではない。そもそも、新車には同様のシステムが最初から付いている場合もある。車検証を用意して近くのイエローハットに電話すれば、自分のクルマに同装置が取り付け可能かどうか確認してもらえる。装置の取り付けに要する時間はおおよそ90分とのこと。イエローハット新山下店(神奈川県横浜市)では、6/24~6/26と7/3~7/4の日程で同装置の無料体験会を実施する。
設置費用の割引幅がかなり大きいが、イエローハットのビジネス的には大丈夫なのか。同社に聞いてみると「大丈夫ではないです(笑)」とのことだが、同システムの普及には意義があると考え、プロジェクトを立ち上げることにしたそうだ。そもそも「イエローハット」は、小学生が通学時にかぶる「黄色い帽子」に由来する社名とのことなので、自動車の安全に関する取り組みに同社が力を入れるのも納得といったところだ。