南勝久氏による人気漫画『ザ・ファブル』が、2019年6月に岡田准一主演で映画化され、累計130万人以上動員のヒット。シリーズ化が決定し、第2弾となる映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』が現在ヒットしている。圧倒的な強さと的確な手腕で狙った相手を6秒以内で必ず仕留める「伝説の殺し屋」として裏社会で恐れられる通称“ファブル”(岡田)が、同じ組織のヨウコ(木村文乃)と共にボス(佐藤浩市)から「1年間殺し屋を休業し、一般人・佐藤アキラとして普通の生活を送ること」を命令され、生まれて初めての“普通”の暮らしに奮闘している矢先、新たな事件に巻き込まれ……という物語だ。
今作では、ファブルの標的になりながらも、唯一逃げ切った男・宇津帆(堤真一)が登場。表向きはNPO団体「子供たちを危険から守る会」代表だが、裏の顔を持ち、前作の敵たちをはるかに上回る最狂の男としてファブルの前に立ちはだかる。さらに過去のある事件をきっかけに心を閉ざした訳アリな車椅子の少女・ヒナコを平手友梨奈、宇津帆の右腕となる凄腕の殺し屋・鈴木を安藤政信が演じる。
今回は、ファブルの相棒で世間的には妹として一緒に身を潜めるヨウコ役の木村文乃、車椅子の少女・ヒナコ役の平手友梨奈にインタビュー。撮影現場でも「ヨウコの妹になりたい」と言っていたという平手と木村の関係や、作品についての話を聞いた。
■現場で仲良しに?
——『ザ・ファブル』2作目に出ると聞いた時の印象はいかがでしたか?
木村:前作の時から2作目の話は出ていたので、「本当にできるんだ」と喜びました。原作を読んだ中でも「宇津帆編」が本当に面白くて好きなお話だったので、そこをやらせてもらえるのは嬉しいな、楽しみだなと思いました。
平手:私はオファーをいただいてから映画も原作も見たんですけど、すごく面白くて。「ウツボ編」も、台本を読んでも原作を読んでもワクワクしていたので、撮影がどうなっていくんだろうと楽しみになりました。
——お二人は撮影現場で仲良しに…というお話も伺ったのですが、互いの印象はいかがでしたか?
木村:仲良くなってもらえました?
平手:えっ!?
木村:「友達」の定義ってわからないじゃないですか。私は一方的にすごい好きなんけど、平手さん的にどうなんだろうと(笑)
平手:え~! もちろん私もです。
木村:撮影ではそこまで近づけないまま終わっちゃったのが心残りで。連絡先を聞くに聞けない先輩でした(笑)。でも、ヒナコが平手さんだと聞いたとき、これ以上ないぴったりな配役だと、とても嬉しかったのを覚えています。
平手:自分では、今でもヒナコが自分でよかったのかなと思います……。
木村:そうなの!? でも、絶対大正解だと思います。監督の力の入れようもすごかったし。
平手:すごかったですよね。新キャラクターが重要だから、宇津帆と鈴木とヒナコに関しては監督が熱くアプローチをされていた記憶があります。
木村:あの熱で接してくださるって、なかなかないよね。けっこう芝居ありアクションありでたいへんな撮影だったんですけど、その代わりチームの一体感になっていたと思います。
——宇津帆を演じた堤さんが、平手さんのファンから怒られちゃうんじゃないか…と心配にもなりました。
平手:そうでしたか!?
木村:ヒナコは辛辣な言葉を投げつけられる役だし、ファンの方々が見て不安に思われることがあるかもしれないけど、平手さんが演じるヒナコはそんな弱くないですから、ファンの方もより平手さんのことを好きになっちゃうと思う。きっと、強くてはかなげで素敵なヒナコちゃんがいると思います。
平手:ありがとうございます、嬉しいです。
■アクション界期待の星
——アクションは主演の岡田さんが指導されたということですが、木村さんが印象に残っているところはありましたか?
木村:とにかく「セクシーに」とおっしゃっていて、アクションってつい一生懸命動いてしまうから、気をつけました。アクションの相手も男性のことが多かったので、力では負けてしまいますし、必死になっちゃって。そんなときに岡田さんが「アクションは動きだけでなく、そこに入るまでの気持ちがあるし、役者さんなんだから、もっとその気持ちを大事にしていいんだよ」とおっしゃってくださったんです。ただの殴る蹴るではなくて、意味のある動作だし、そのひとつとしていただいたのが「セクシーに」という方向性だったので、真剣にやるのはもちろんなんですけど、楽しむということも同時に教えてもらいました。
——ヨウコが戦うシーンは、原作では打撃系のところが絞め技になっていて、そこも岡田さんのご指導ですか?
木村:それも岡田さんのアイディアで、やるからには、見てる方に楽しんでもらいたいというところがあって、ちょっとセクシーに締め落とさせていただいたりもしました。
——平手さんは銃を握るシーンもありましたが、アドバイスなどは?
平手:私はプロの殺し屋の役ではなく、むしろ初めて銃を持った女の子だったので、教えられすぎてしまうと、慣れてるような手さばきになってしまうんです。だから、教わると言うよりも本当にリアルにやらせていただきました。
——ガンアクションに興味を持ったりはされましたか?
平手:アクションものには興味はあります。ずっと現場で「ヨウコの妹になりたい」と言っていました(笑)。
木村:現場でいろんなキャストの方やスタッフの方に言ってくださってたみたいで、嬉しいです。アクションについては、平手さんがすごく運動が得意ということを聞いているので、岡田さんもノリノリで「やってみなよ」と言ってました。アクション界、期待の星です(笑)。
——ヨウコもヒナコもそれぞれの強さを持っていて、作品を見ると影響されることもあるかと思いますが、お二人は「強くなりたい」と思ったことはありますか?
木村:私はお仕事で警察官役などをやらせていただくことが多くて、男性の中で1人、女性が入ることが多かったんです。そうすると、力ではどうしたって男の人に勝てない瞬間があって、悔しくて「強くなりたい」と思うことはありました。でも、技を知ることで、力がなくても渡り合えるとわかってから、そういうジェラシーみたいなものはなくなりました。やり方次第で、女性でもちゃんと対等に戦えると知ることができたのは、アクションをやるようになったおかげです。
平手:私は……精神的には強くはなりたいです。なんだろうなあ。いろいろ強くなりたいです。
木村:今年(6月25日)、20歳になるんだもんね。強いかっこいい、大人に……。
平手:そうなりたいですね。
——木村さんのような女性に憧れたりは?
木村:それ、誘導尋問ですよ!(笑)
平手:木村さんは本当に、すごく凜としてて、強い芯がある女性で憧れます。
木村:本当? でもそれは私が平手さんに思ってることと一緒ですね。お姉さんみたいに慕ってくれるので、嬉しいです。
平手:本当に、お姉さんです。
——それでは、最後に作品を楽しみにしてる方へのメッセージをいただけたら。
平手:前作とはまた違う魅力が詰まった作品になっていると思います。ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
木村:すべてが前作よりもグレードアップしていますし、人間ドラマについてもアクションについても、笑いの部分に関しても、たくさん物語があるので、エンターテインメント超大作として、楽しんでいただけたら嬉しいです。
■木村文乃
1987年10月19日生まれ、東京都出身。映画『アダン』(06年)オーディションでヒロインデビュー。同年の『風のダドゥ』(06年)では主演を務める。その他、主な出演作にドラマ『ポテチ』(12年)、『ボク、運命の人です。』(17年)、『サギデカ』(19年)、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』『七人の秘書』(20年)、映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』(14年)、『くちびるに歌を』『イニシエーション・ラブ』『ピースオブケィク』(15年)、『RANMARU神の舌を持つ男』(16年)、『追憶』『火花』(17年)、『伊藤くんAtoE』『羊の木』『体操しようよ』(18年)、『居眠り磐音』(19年)などがある。
■平手友梨奈
2001年6月25日生まれ、愛知県出身。15年8月に結成された女性アイドルグループ欅坂46のメンバーとして、16年「サイレントマジョリティー」でデビュー。2018年に『響-HIBIKI-』で映画初出演にして初主演を務め、日本アカデミー賞で新人俳優賞、日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞で新人賞を受賞。2021年、2度目の映画出演となる『さんかく窓の外側は夜』ではヒロインを演じた。4月からは出演ドラマ『ドラゴン桜 第2シリーズ』が放送される。