映画『Arc アーク』(6月25日公開)の公開初日舞台挨拶が25日に都内で行われ、芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、小林薫、石川慶監督、鈴木咲(子役)が登場した。
同作は『愚行録』『蜜蜂と遠雷』で国内外より注目される石川慶監督の新作映画で、SF作家ケン・リュウの傑作短編小説『円弧(アーク)』を実写化した。17歳で生まれたばかりの息子と別れ放浪生活を送っていた女性・リナ(芳根)は、師となるエマ(寺島しのぶ)と出会い、彼女の下で最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する「ボディワークス」という仕事に就く。エマの弟・天音(岡田将生)はこの技術を発展、遂に「不老不死」を完成させ、リナは不老不死の技術を受けた世界初の女性となり、30歳の姿のまま永遠の人生を生きていくことになる。
娘役の清水がサプライズで登場すると、芳根は驚き、清水は「楽しかったです」と撮影の感想を述べる。芳根は「咲ちゃんに助けられたところが本当にたくさんあって。ああ、自分にはこんな母性本能があるんだななんて、咲ちゃんから引き出してもらった部分がたくさんあったので、本当に感謝しています。一緒に撮影できてこちらこそ楽しかったです」と振り返った。
さらに、石川監督からサプライズの手紙があると聞くと、芳根は「やだ〜! 泣いちゃうもん! もう泣きそうだもん!」と動揺。石川監督は「芳根さんへ最初オファーしたとき、『ちょっと難しいかもしれないです』と言われて、それでも諦めきれず2時間もらって直接会って話した日のことを思い出します」と手紙を読み始める。
石川監督は「あの時芳根さんは、大きな岐路にたっている様子で、これからのことに悩まれていて、役のことだけじゃなくいろんな話をしましたよね。そういう話をしてくれたことがとても嬉しくて、まるでずっと知ってる友人と話しているような気持ちになりました。多分、芳根さんは『今はこんなに大変な時期なので、こんなに大変な役は難しいです』と言いたかったんだと思うんだけど、そんな悩める芳根さんを見て僕は『ああ、リナがいる』と思ったんです」と明かす。「それからの怒涛の日々はここにいらっしゃるキャストのみなさんもご存知かと思いますが、そりゃ大変でした。まさに体当たりで満身創痍で役を生きている芳根さんに負けないように、こちらも必死でした。この映画は自分がずっと夢見てきたものを詰め込んだ特別な映画です。完成した映画を見て、その自分にとって特別な作品のど真ん中に芳根京子という特別な俳優が力強く立っていることが、心から嬉しく誇らしく思います」と語った。
最後に「願わくば人生の節々転換点で、また一緒に映画をつくっていきたいですね。いつものごとく断られてもしつこくオファーします」と締めくくった石川監督に、芳根は後ろを向き「お見せできないレベルに泣いております」と苦笑。「ちょっと、やばいやばい。こんなに満員のお客様に見ていただけることでも、初めから感極まってたので」「こんなに幸せなことないなって思うんです。こんなに必要としていただけていて」と感謝する。
石川監督からは「自分、もう少しやれるのかなとか、もっともっと頑張れるなとか、本当に活力になる言葉をたくさんいただいた」という芳根。「この作品のお話を聞いた時、本当にこの仕事が自分に向いているのか、わからなかった時期で。それも石川さんがすごく優しく包み込んでくださって、今こうしてここに立つことができています」と告白し、「人生のかけがえのない存在です。本当にこれからもこちらこそよろしくお願いします」と頭を下げた。