モリサワは6月24日、2021年秋にリリースする新書体を発表した。
流れるように文字がつながる筆書体「澄月(ちょうげつ)」をはじめ、個性豊かな明朝体やゴシック体、ウエイト展開が豊富で利便性の高い欧文書体など、デザインの幅を広げるラインナップ。2020年に引き続き、人気和文書体にペアカーニングを搭載したAP版を加えた。
澄月
- ウエイト:R
- 文字セット:Min2(モリサワ独自)+異体字
書家の筆遣いを感じる行書風のデザイン書体。OpenType機能を活用し、文字を入力するだけで文脈に応じた連綿体などが反映され、自動で字形が変化。この仕組みにより自然な手書き文字のニュアンスを演出する。膨大な文字の組み合わせによって異なる字形を、書家やタイプデザイナー、エンジニアが協働して開発した。
澄月は全ての文字種が固有の字幅をもつプロポーショナル仕様。任意で選択入力可能な変体仮名などの異体字も備える。
あおとゴシック
- ウエイト:EL/L/R/M/DB/B/EB
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)+Italic
オンスクリーンでの本文利用を目的に開発されたゴシック体。シンプルかつクリーンな骨格に、小さめの字面を採用することで、UD書体など従来のモダンゴシック体とは異なる表情の組版を可能にする。欧文はSharoa Proをベースに作成され、イタリック体も含む。
Sharoa Pro
- ウエイト:UltraLight/UltraLight Italic/ExtraLight/ExtraLight Italic/Light/Light Italic/Regular/Italic/Medium/Medium Italic/DemiBold/DemiBold Italic/Bold/Bold Italic/ExtraBold/ExtraBold Italic/Heavy/Heavy Italic/Ultra/Ultra Italic
- 文字セット:Pro(モリサワ独自)
明快なエレメントに、やや広めのカウンターを採用したヒューマニストサンセリフ。10種と豊富なウエイト展開で、スモールキャップや数字のバリエーションを搭載。本格的な本文組版にも使える。あおとゴシックの欧文エリアに採用されているため、併記利用にも適する。
げんろく志安
- ウエイト:M
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)
中国・元王朝の時代に福建地方で出版された注釈書『分類補註李太白詩』より復刻した漢字書体「志安」と、元禄時代に出版された浮世草子『世間胸算用』から復刻した和字(かな)書体「げんろく」を組み合わせた、筆の流れを強く意識させる書体。
活字として整備された中にも、起筆や収筆のうねるような筆脈の表現や、長体気味の文字形状から筆のニュアンスが感じられるため、他の書体にはない躍動感と威厳を醸し出して目を引く効果を生み出す。
秀英にじみ四号かな
- ウエイト:M
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)
大日本印刷の金属活字「秀英四号明朝」を復刻したかな書体「秀英四号かな」をベースに、 活版印刷による紙面上でのインクの滲みを再現した書体。 落ち着きのある端正なデザインのかなに「秀英にじみ明朝L」の漢字と欧文を合わせることで、 本文組から見出しまで幅広い用途でお使いいただける、 クラシックな印象の書体。
BackFlip Pro
- ウエイト:Thin/Thin Italic/Light/Light Italic/Regular/Italic/Bold/Bold Italic/Heavy/Heavy Itali
- 文字セット:Pro(モリサワ独自)
軽快で遊び心のあるディスプレイ書体。細いウエイトはオーガニックで優しい雰囲気、太いウエイトではフレアや、一般的な書体とは反対のコントラスト(抑揚)が強調されることで、ユニークな表情を演出する。製品パッケージや広告コピーなどの利用に適する。
UDデジタル教科書体 筆順フォント
- ウエイト:R
- 文字セット:特殊仕様
学習指導要領に沿った字形「UDデジタル教科書体」を、書き順に沿ったストロークごとに一文字として、文字を書いていく過程を収録した書体。
書き順に沿って一画ずつバラバラに表示できる「TypeA」と、一画ずつ増やして表示できる「TypeB」の2タイプ。書体名に関して、小学生用は「E」、中学生用は「J」がつく。
文游明朝体
- ウエイト:R
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)※ルビ用かなを追加収容
「時代をこえる普遍性を具えた造形美と可読性を標榜する日本の明朝体をつくる」をキーワードに開発された明朝体。
日本における文字の起源や歴史的背景をもとに、漢字・平仮名・片仮名それぞれが持つ固有の骨格を尊重した伝統的な字形が特徴。単行本や文庫などの文学文藝作品において、美しく可読性の高い組版を実現する。
文游明朝体 文麗かな
- ウエイト:R
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)※ルビ用かなを追加収容
「文游明朝体」の漢字に、近代文学を組むことを想定して制作された「文麗かな」を組み合わせた総合書体。かなの線幅を太くすることで視認性を高め、やや扁平なデザインは本文組版で純文学の香り漂うクラシカルな雰囲気を演出する。
文游明朝体 蒼穹かな
- ウエイト:R
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)※ルビ用かなを追加収容
「文游明朝体」の漢字に、海外文学を組むことを目的として開発された「蒼穹かな」を組み合わせた総合書体。簡潔なエレメントで構成されたデザインは澄み渡る青空をイメージし、海外文学に多く出現する片仮名がやや大きく設計されていることが特徴。本文組版で使用することで、 文章を読みやすくクリアな印象に仕上げる。
文游明朝体 勇壮かな
- ウエイト:R
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)※ルビ用かなを追加収容
「文游明朝体」の漢字に、 プロレタリア文学をイメージして制作された「勇壮かな」を組み合わせた総合書体。 骨っぽく緊張感のある書風に加え、 線幅がやや太く設計されており視認性が高い。 本文組版で使用することで、 クラシカルかつ力強い印象を与える。
文游明朝体S 垂水かな
- ウエイト:R
- 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)※ルビ用かなを追加収容
「文游明朝体」の字面を小さくした「文游明朝体S」の漢字に、縦方向への流れを意識して制作された「垂水かな」を組み合わせた総合書体。 小ぶりでやわらかな線質を持つかなは、鎌倉初期のスタイルを模範として制作された。縦組みでの本文組版はもちろん見出しとしても利用することで、上品でつややかな雰囲気を醸し出す。
総合書体化
秀英四号かな+ - ウエイト:M - 文字セット:StdN(Adobe-Japan1-3)
AP版
- じゅん(4ウエイト)
- フォーク(4ウエイト)
- 丸フォーク(4ウエイト)
- 解ミン 宙(4ウエイト)
- 解ミン 月(4ウエイト)
- タカハンド(5ウエイト)
- 毎日新聞明朝(1ウエイト)
- 毎日新聞ゴシック(1ウエイト)