日常的に使われる言葉であるコストパフォーマンス。「コスパ」と略されて使われますが、その使われ方は消費者目線と企業目線で微妙に異なることをご存じでしょうか。
本記事では日常会話で頻出するコストパフォーマンスの意味や使い方を、改めて解説していきます。
コストパフォーマンスの意味
コストパフォーマンスとは「ある対象物の費用(コスト)とその効果(パフォーマンス)を比較したレベル」のことです。費用に対する満足度によって、「コストパフォーマンスが良い(高い)」または「コストパフォーマンスが悪い(低い)」といいます。略して「コスパ」「CP」と呼ぶケースもあります。
コストパフォーマンスとは「費用」以外にも「労力」に対しても使われます。たとえば、製品のクオリティや仕事の成果物に対してのコストパフォーマンスの良し悪しを言及する場面がビジネスシーンにはよくあります。費用と効果のバランスが良いとコストパフォーマンスも良くなります。
コストパフォーマンスの類語
コストパフォーマンスの類語は「費用対効果」「対費用効果」「費用便益比」です。コストパフォーマンスやコスパは日常の買い物や製品の評価に対して使われることがあります。一方でCPや費用対効果、対費用効果、費用便益比はビジネスの領域で使われており、数値化して明確に計測されます。
特に費用便益比は「B/C(Benefit/Cost)」とも呼ばれており、事業の効果を金銭に置き換えて、妥当性を測る指標を指します。道路整備などの公共事業において使われることの多い言葉です。
コストパフォーマンスは和製英語
コストパフォーマンスを日本語で言い換えるならば「費用対効果」となります。ただし、コストパフォーマンスは和英辞典に載っている場合がありますが、和製英語です。英語で「Cost performance」と発言しても日本語と同じ意味は通じません。英語で話す機会がある場合は注意しましょう。
英語で「Cost」は「費用」の意味を持ちます。「Performance」は「演技」「演奏」などの日本語でもパフォーマンスと表すとおりの意味ですが、同時に「出来栄え」「実績」の意味合いもあります。
和製英語であるコストパフォーマンスの意味を英語で正しく伝えるならば、「value for money」「value fot the price」を使いましょう。
コストパフォーマンスの基準とは
コストパフォーマンスの基準は消費者と企業で異なります。それぞれを具体的にみていきましょう。
消費者の評価基準は満足感
コストパフォーマンスは費やした費用に対してどれだけ満足感が得られているかが判断基準となります。満足感の基準を下回ると、コストパフォーマンスが悪いとされます。
たとえば、日常生活の場面では手頃な値段で購入したカバンの使い勝手が予想以上に良かった場合、満足感を得られているため、コストパフォーマンスが良いと言えます。一方で、高い値段で購入したカバンがすぐに壊れてしまった場合、「高級品だから壊れにくいはず」という期待がある分、満足度は大きく下がるため、コストパフォーマンスは悪いと評価されてしまいます。
企業の評価基準は数値
消費者目線では満足感が最も重視されますが、企業目線では属人的な要素の満足感よりも、数値や実績が大切になります。
消費者が商品を選ぶとき、手の届きやすい値段でより良い商品を選びたいと考えます。例えば、回転寿司はおいしい寿司を手頃な値段で食べられ、さらに最近はラーメンや唐揚げなどのサイドメニューも充実しています。安価に寿司以外の料理も堪能できるため、外食する店を決める苦労が減ります。それゆえ消費者の満足感が高まり、コストパフォーマンスが良いとなるのです。
一方で企業は売上や業績の数値を重視するほか、業務に対しての仕事ぶりにもコストパフォーマンスを当てはめます。消費や人材など、さまざまな対象が費用とみなされます。
必ずしも「安さ」が良いコストパフォーマンスにつながるわけではありません。コストパフォーマンスの意味を正しく理解して使用するためには、幅広い視点を持って分析することが大切です。
コストパフォーマンスの使い方
コストパフォーマンスは日常生活とビジネスシーンの両者で頻繁に使われる言葉です。さまざまな評価方法があるため、それぞれ例文とともに使い方を解説します。
コストパフォーマンスが高い・良い
コストパフォーマンスが優れているときは「コストパフォーマンスが高い」または「コストパフォーマンスが良い」と表現します。どちらも同じ意味で、支払った金額や費やした時間に対して期待以上のクオリティや成果を得られたときに使います。
クオリティや成果がただ高いだけではなく、ニュアンスとしては「掛けた費用の割によかった」という意味になります。コストパフォーマンスに優れたものは「高コストパフォーマンス」、略して「高コスパ」と呼ばれることもあります。
【例文】
コストパフォーマンスが低い・悪い
コストパフォーマンスに優れず、満足度に欠けるときは「コストパフォーマンスが低い」「コストパフォーマンスが悪い」といいます。掛けた費用に対する効果が得られない状態です。
消費者の場合は期待値の差で大きな失望を覚えるため、再び商品を購入したり、サービスを利用したりする機会は少なくなります。企業の場合は優先的に改善しなければならないウィークポイントです。
なお、「掛けた費用の割に商品/サービスが悪かった」という意味になるため、値段が安く初めから高い効果を期待していない場合にはコストパフォーマンスが低いとはいいません。
【例文】
コストパフォーマンスを上げる
消費者に商品を提供する側の企業が主に「コストパフォーマンスを上げる」という言葉を使います。消費者が購入しやすい価格で価値以上のものを提供したいという意味です。
【例文】
コストパフォーマンスを上げる方法
コストパフォーマンスの高さはビジネスにおいて大切な基準です。期待が裏切られると落差は大きく、顧客はすぐに離れてしまいます。そして、消費者は「あの商品はコストパフォーマンスが悪い」と容赦なく言いふらしたり、ネット上でレビューをしたりするでしょう。
そのような事態を避けるべく、コストパフォーマンスを上げる方法を解説します。
数値化する
コストパフォーマンスを上げるためにはなるべく開発や生産、販売などの一連の過程を数値化して計算します。投資費用と効果である利益が数値化できているのであれば、「利益÷投資費用」の計算式を使いましょう。数値が高いほどコストパフォーマンスが高いことになります。
具体的な数値がわかれば、投資費用を抑えたり、品質の向上を図ったりと対策が練られます。
料金と人的コストの違いを理解する
投資費用を減らしたり効果を高めたりすることがコストパフォーマンスを上げるためには必要です。
サービスの料金を下げるために人的コストを減らすと、消費者のコストパフォーマンスは上がっても、従業員の意欲は下がり継続的な提供ができなくなる可能性があります。コストパフォーマンスを上げるためには両者のバランスを取ることが大切です。
コストパフォーマンスは評価の重要な基準
今回はコストパフォーマンスの正しい意味や使い方を解説しました。コストパフォーマンスは対象物の費用に対する効果を比較したレベルです。
日常的にコスパと略されて多用される言葉ですが、消費者目線と企業目線では使われる意味は変わってきます。企業側は消費者目線を忘れないためにも、コストパフォーマンスの向上を指針として取り入れて商品を開発していきましょう。