接客や営業では「クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分けよう」と言われることがあります。しかし、それぞれの性質の差を理解していないと、お客様に押し付けがましい印象を与えてしまったり、会話がギクシャクしてしまったりすることも。

本記事では、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの違いとそれぞれのメリット・デメリット、利用に適したシーンをご紹介します。

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの性質を理解して、上手にお客様の購買意欲を盛り上げましょう。

  • クローズドクエスチョンとは

    クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分けを知ろう

クローズドクエスチョンとは

クローズドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」など回答が限定されている質問のことです。「今朝はパンを食べましたか?」などが該当します。「あなたは犬派と猫派、どちらですか?」といった、回答が2択あるいは3択のものも指します。

クローズドクエスチョンの例文

  • 今日のランチはうどんでいいですか?
  • 今月の予算は達成できそうですか?
  • 彼のことが嫌いですか?
  • 早起きは得意ですか?

オープンクエスチョンとは

クローズドクエスチョンの対義語にあたるオープンクエスチョンとは、選択肢がなく回答が制限されていない質問のことです。「今朝は何を食べましたか?」といった、回答者が自由に答えられる質問です。

  • クローズドクエスチョンとは

    クローズドクエスチョンは回答が選択式のものを指します

クローズドクエスチョンの特徴

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンは、それぞれメリットとデメリットがあります。それぞれの強みを理解し、有効に活用できるようにしましょう。

クローズドクエスチョンのメリット

  • 質問者主導で話を進められる
  • 回答者の意思がはっきり把握できる
  • 簡単に答えやすい

クローズドクエスチョンは質問者が用意した選択肢の中から回答することになるため、どちらを選んでも質問者の想定内となります。回答者が受け身になりがちなので、質問者が優位に話を展開できます。

「はい」か「いいえ」のはっきりした答えを得られるため、「次の話に移ってもよろしいでしょうか」など、相手の意志を明確に確認する際にも有用です。クローズドクエスチョンは選択肢から選ぶだけで答えられるため、回答する側としてもあまり悩まずに答えられるでしょう。

クローズドクエスチョンのデメリット

  • クローズドクエスチョンが続くと尋問のような会話になってしまう
  • 会話が盛り上がりにくい
  • 質問者の意思に誘導されやすい

「今朝は何を食べましたか」「朝食はおいしかったですか」とクローズドクエスチョンが続いてしまうと、聞かれている側は尋問を受けているように感じてしまい、萎縮してしまうこともあります。

得た回答を次の質問へとつなげにくく、会話が一問一答になってしまいがちな点もクローズドクエスチョンの特徴。一方的な会話が続いてしまうため、クローズドクエスチョンだけだと話は盛り上がらないでしょう。

「今日は暑いですよね」などの同意を求める質問の場合、質問者の意見(この場合は「暑い」)と回答者の意見が違っていても言い出しにくいと感じるデメリットもあります。質問者側は「同意を得られた」と喜んでいても、回答者側は自分の意見を言えず不満を抱えているかもしれません。

オープンクエスチョンの特徴

続いてオープンクエスチョンの特徴をみてみましょう。

オープンクエスチョンのメリット

  • 会話が盛り上がりやすい
  • 回答者がより深く回答について考える
  • より多くの情報を手に入れられる

オープンクエスチョンは得た回答を次の質問につなげやすいのが特徴。会話の深堀りがしやすいため、コミュニケーションが深まりやすくより相手を理解できます。

簡単な2択では答えられず、回答をする側も考えなくてはならないのもオープンクエスチョンのメリット。「どの部分を改善したらプロジェクトを成功させられたと思いますか?」など、相手の内省を促したり、より深い考えを引き出したりすることもできます。

クローズドクエスチョンに比べ、オープンクエスチョンでは一度の質問でより多くの情報も手に入ります。「犬派ですか、猫派ですか」では犬と猫どちらが好きかしかわかりませんが、「どんな動物が好きですか」と聞いたなら、「文鳥が好きなんです。家でも飼っていて、名前は……」と話してくれるでしょう。

オープンクエスチョンのデメリット

  • オープンクエスチョンが続くと回答者が疲れてしまう
  • 話が脱線しやすい
  • お互いの信頼がないと会話が止まってしまう

オープンクエスチョンは回答者が「どう答えればいいのか」を深く考えなくてはなりません。「プロジェクト成功のためにはどうしたらいいですか」「そのために何ができますか」などと続けざまに聞かれると、考えることに疲れてしまいます。

また、オープンクエスチョンではどのような答えが返ってくるかわかりません。質問者の想定外の答えであった場合には、話の本筋から脱線してしまう危険性もあるでしょう。回答者が話好きの人であれば、そのまま会話の主導権を奪われて話し続けられてしまうこともありえます。

お互いの信頼関係が構築されていないと、オープンクエスチョンでは「どのレベルの答えを期待されているのか」「質問の意図が明確に伝わらない」などの理由で会話が止まってしまう場合があることにも注意が必要です。

  • クローズドクエスチョンのメリットとデメリット

    クローズドクエスチョンのメリットとデメリットを知ろう

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンのどちらか片方ばかりを使っていては、会話も営業もうまくいきません。それぞれの質問方法が適する代表的なシーンを理解して、上手に使い分けましょう。

クローズドクエスチョンが適したシーン

クローズドクエスチョンは答えやすいため、緊張感をほぐすための最初の質問として最適です。相手の意志を確認しやすいという点から、最終的な意思確認にも適しています。事実を端的に把握したいときや、話題をコントロールしたいときにも有用です。

オープンクエスチョンが適したシーン

  • より多くの情報を得たいとき
  • 回答者の考えを正確に知りたいとき

オープンクエスチョンは相手に考えさせる代わりに、得られる情報量が多くなります。「貴社では、こちらのサービスを導入することでどのような問題を解決したいと考えていますか? 」など、より深い議論をしたいときや、正確な情報を知りたいときに向いているでしょう。

相手のことをよりよく理解できるため、信頼関係を深めたい場合や会話を盛り上げたい場合にも効果的です。

  • クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け

    シーンに合わせてクローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分けよう

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの英語表現

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンは、英語ではどのように表現するのでしょうか。訳と実際の疑問文で確認してみましょう。

クローズドクエスチョンの英語表現

クローズドクエスチョンは英語では「closed question」となります。動詞や助動詞、もしくは疑問詞の「Which」で始まる疑問文を指します。

  • Is the project on schedule? (プロジェクトはスケジュール通りに進んでいますか?)
  • Which do you want to go on a school trip, Kyoto or Hokkaido? (京都と北海道、どちらに修学旅行に行きたいですか?)

オープンクエスチョンの英語表現

オープンクエスチョンは英語では「open question」と言います。5W1H、すなわち「Where」「When」「Who」「What」「Why」「How」で始まる疑問文のことです。

  • When did he get married? (彼はいつ結婚したの?)
  • How did you solve the problem? (どうやって問題を解決しましたか?)
  • クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの英語表現

    クローズドクエスチョンは動詞・助動詞・疑問詞の「Which」で始まる疑問文です

クローズドクエスチョンは相手の意思確認に有効な質問方法!

クローズドクエスチョンは、「はい・いいえ」など2択で答えられる質問。質問する側に主導権があり、回答者が悩みにくいのが特徴です。そのため、最初のアイスブレイクとして投げかける質問や、契約時の最終的な意思確認に最適な質問方法になります。

しかしクローズドクエスチョンが続くと、話が弾まなかったり尋問のような雰囲気になってしまったりすることも。クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを場面によって使い分けることが大切です。

同じ内容を聞いていても、聞き方によって印象は全く変わってしまいます。上手にクローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い、相手の心をつかみましょう。