「オリエン」とは「オリエンテーション」を省略したビジネス用語のひとつ。新入社員研修などで聞いたことがある人も多いかもしれません。

しかし、オリエンという単語が使用されるのは、社員研修の場面だけではありません。オリエンと聞いて戸惑わないようにするためにも、どのような意味があるのか、ぜひ理解しておきましょう。

この記事では、ビジネスシーンにおけるオリエンという言葉の意味や似た意味で使われる言葉などをご紹介します。ビジネス用語についての知識をつけたい人は、ぜひ読んでください。

  • オリエンとは

    オリエンの意味や類義語・使い方などを紹介する記事です

オリエンとは

オリエンとは、オリエンテーションを省略した表現です。オリエンテーションには「方向づけ」という意味があることから、学校や会社などで新しい環境や授業などに人を順応させるための教育指導をさす言葉として使われます。

新人研修のほかにも、新規プロジェクトを立ち上げる時や、会社や部署へ新しいシステムを導入する場合などにも、オリエンテーションという名称で説明会を行うこともあり、さまざまな場面で使われる言葉です。

■広告業界でのオリエン

広告業界でオリエンという言葉は、独自の意味で使われています。

広告業界でのオリエンは「広告主が広告会社などに広告企画などを依頼する前に、基本方針、商品についての内容説明や注意点、予算やスケジュールなどを提示すること」を意味します。

顧客からのオリエンを受けたうえで、広告会社が企画立案を開始し、検討を重ねたうえで企画提案を行います。企画が採用されると、広告が制作され各チャネルで展開されます。

■建築業界でのオリエン

建築業界でもオリエンテーションの省略形としてオリエンという言葉が使われることがあります。建築業界におけるオリエンとは「敷地での建物の配置方法」の意味になります。

オリエンテーションという単語に「方位」という意味があることから、「北方向を調べる」という意味で使われます。また、図面上で北がどちらなのかを示す記号もオリエンテーションといいます。

■新人研修でのオリエン

先述のように、新人を新たな環境になじませるために組織の基本方針やルール、仕組みなどを説明する指導や教育のことも、オリエンといわれます。このオリエンでは社員としての心構えや姿勢などの方向性をしめすものです。

このように複数の意味で使われるオリエンという言葉ですが、一般的には広告用語として使われることが多いようです。

■オリエンを用いた会話例

・オリエンでは、ゴールを明示した方針説明が重要だ
・設計図にオリエンを記載する
・コンペに参加するためには、オリエンに参加する必要があります
・入社式の後はオリエンに参加してください

そのときどきによってオリエンが何を指しているのかを考えるとスムーズに使えます。

  • オリエンとは

    オリエンはオリエンテーションの省略形です

いいオリエンを行うためのポイント

広告を制作・展開する場合、その効果を最大限に得るためには、そのプロジェクトのスタート時にいいオリエンを行うことが重要です。オリエンでは、必要な情報をわかりやすく的確に伝えなければいけません。どうすればいいオリエンを行えるのか、ポイントを見ていきましょう。

■ゴールをしっかり決めておく

オリエン時にしっかりと説明する必要があるのは、「最終的なアウトプット=ゴール」の提示です。スケジュールや予算なども含め、その広告展開で目指す最終的なゴールはどこにあるのか、広告会社や制作会社と共有することが必要です。

最終的なゴールを固めないまま場当たり的なオリエンを行うと、的外れな提案を受けることになったり、制作の手戻りが多く発生したりすることになります。

■プロセスの自由度を決めておく

ゴールとともに重要なのは、ゴールを達成するためのプロセスの自由度を決めておくことです。新たなチャネル展開や新キャンペーンなど新規提案が可能なのか。従来と同じチャネル展開のみでよいのか。

発注者からの制約が少なければ、比較的自由な提案・制作が可能になります。ゴールだけでなくプロセスについても細かな指定がある場合は、制作側が制約に縛られてしまうこともあります。

制作側にどの程度の裁量があるのかをオリエン時に明示しておきましょう。

■オリエンが成果の質に影響する

依頼内容を伝えるオリエンの質が低いと、制作に悪影響を与えてしまいます。的外れな提案があがってきたり、手戻りが発生したりなど、発注側・制作側ともに負担が発生します。

制作側にいい仕事をしてもらうためにも、オリエンの質がその後の制作に大きく影響することを念頭に置いて、オリエンに臨みましょう。

■オリエンで伝えるべき内容

基本的には、下記のような内容を伝えましょう。

  • 企画名
  • 対象となる製品の名称
  • 対象となる製品の性能についての説明
  • 企画の背景
  • 解決したいことや課題
  • 伝えたいメッセージ
  • ターゲット層(年齢や性別、ライフスタイルや商品に対する関心など)
  • 期間や時期
  • 過去のキャンペーン実績
  • 大体の予算
  • 求める内容、数値目標
  • 提案期限やスケジュール
  • 求める提案の成果物や提出物

オリエンで伝えるべき内容は、広告の内容によっては上記以外にも考えられます。制作側から求められた情報は的確に伝えましょう。

  • いいオリエンを行うためのポイント

    いいオリエンを行うためにはゴールを決めつつプロセスの自由度を明示しましょう

オリエンの類語

オリエンと似たような状況で用いられる言葉に、「ブレスト」「プレゼン」があります。それぞれの意味と、オリエンとの違いを見ていきましょう。

■ブレスト

「ブレスト」とは「ブレインストーミング」の省略形です。「ブレインストーミング」とはミーティングの進め方のひとつで、複数名で自由に意見を出し合い論議して、アイデアを出したり練り上げたりします。

ブレストで成果を出すためのポイントは、相手の意見を批判・阻害しないこと。お互い自由に意見をぶつけ合えるよう意識しながら取り組みましょう。

■プレゼン

「プレゼン」とは「プレゼンテーション」の省略形で、ビジネスシーンにおけるプレゼンとは「計画や企画案、見積もりなどを、会議において説明すること」という意味になります。

オリエンで発注者が広告の制作会社にオリエンを行った後、制作会社がそれぞれの企画案のプレゼンを行い、どの会社が制作を行うかを発注者が決定します。

「プレゼン」はオリエンとはまったく別の行程ですが、どちらも広告制作に欠かせない行程として覚えておきましょう。

  • オリエンと似たような状況で用いられる言葉や類語表現

    オリエンとブレストやプレゼンとの違いを理解しておきましょう

オリエンの英語表現

オリエンテーションの語源は英語の「orientation」ですので、英語表現でも「orientation」を使います。「orientation」には、「方針・方向性」という意味のほかに「嗜好」「態度」「方向」「帰巣本能」などの意味もある言葉です。

日本で使うオリエンテーションに比べると、英語の「orientation」はより幅広い意味で使われます。

  • オリエンの英語表現

    オリエンテーションの英語表現は「orientation」です

オリエンとは広告業界でよく使われる言葉

オリエンはオリエンテーションを省略した言葉です。新入社員研修はもちろん、広告業界や建築業界などで使われており、それぞれ少しずつ意味が異なります。

特に広告業界においては、いいオリエンを行うことが仕事の質にも影響しますので、いいオリエンを行うためのコツをぜひ覚えておきましょう。また、オリエンと似た状況で用いられる言葉にブレストやプレゼンなどがあります。

オリエンはビジネスにおいてさまざまな意味で使われる言葉です。この機会にシーンごとの意味や類語、オリエンのポイントなどを理解して、スムーズに使えるようになりましょう。