「オピニオンリーダー」とは、SNSを使ったマーケティング全盛の現在、使われる機会が増えている言葉のひとつです。この言葉を正しく使うためにも、正確な意味を理解しておきたいもの。また、似た意味を持つ言葉の「インフルエンサー」とも、正しく使いわけたいものです。
本記事では、オピニオンリーダーの意味や具体例などをご紹介します。とくにWebマーケティングに欠かせない言葉ですので、マーケティングに関わる機会がある方には、ぜひお読みください。
オピニオンリーダーとは
「オピニオンリーダー」とは、ある集団全体の意見の形成に影響を与える人や、世論の形成に影響力がある存在のことです。影響力がある存在とは、具体的には周囲への影響力が大きい人やサービスのこと。つまり、人だけではなく利用者の多い口コミサイトなどもオピニオンリーダーと言えます。
また、製品のライフサイクルにおけるイノベーター理論では、オピニオンリーダーとは新商品を生み出す「イノベーター」の次に新しい製品を手にする流行に敏感な購買層「アーリーアダプター」に相当すると考えられています。
■マーケティング用語として使われる言葉
オピニオンリーダーという言葉は、マーケティング用語としてよく用いられます。自社のブランドや製品が、一定の年齢層など特定の集団からの影響力を受けやすい場合に、その集団のオピニオンリーダーにどう使ってもらえるのかが重要になります。
市場にできるだけ浸透させるためには、オピニオンリーダーを活用してのマーケティングや口コミの展開などの手法がよく使われます。
■オピニオンリーダーの役割
オピニオンリーダーは特定の集団に対する影響力が強いものの、何らかの義務を持った存在ではありません。
しかしマーケティングにおいてオピニオンリーダーは欠かせない存在でもあります。製品のPRに人気のオピニオンリーダーを起用した場合、そのオピニオンリーダーを支持している人の間で話題に上りやすく、製品が購入される可能性は高くなります。
■インターネット社会におけるオピニオンリーダー
インターネットが普及する前はテレビや雑誌などの影響力が高かったことから、有識者や芸能人などの著名人がオピニオンリーダーと呼ばれていました。
しかし現在はインターネットの普及により、SNSやブログなど、一個人でも強い影響力を持てる時代です。SNSのフォロワーが多く一定の支持を集めている人であれば、著名人でなくてもオピニオンリーダーになることがあります。
■オピニオンリーダーの具体例
多くの人に対する影響力を持つオピニオンリーダーの実例には、下記のようなものが挙げられます。
- 企業SNSの中の人
- YouTuber
- インスタグラマー
- 口コミサイト
- テレビ番組
- 芸能人
- SNSのフォロワーが多い個人
インターネットが普及した時代には上記のような人やサービスの影響力が大きく、オピニオンリーダーとなることが多いです。
オピニオンリーダーとインフルエンサーとの違い
オピニオンリーダーとよく混同されるのがインフルエンサーです。ここでは、オピニオンリーダーとインフルエンサーとの違いをご紹介します。
■インフルエンサーとは
インフルエンサーとは、インスタグラムやTwitterなどのSNSなどを通じて情報発信を行い、それによって多くのフォロワーなど、自身が持っているコミュニティに影響を与える人やグループのことです。インフルエンサーは流行の発信源として大きな影響力があり、企業がマーケティングを行うにあたって重要視されています。
「影響・影響力」といった意味を持つ英語の「influence」に人を表す接尾辞「er」が付いて「influencer」となりました。
■オピニオンリーダーとインフルエンサーに共通していること
インフルエンサーは自分の持っているコミュニティに対する影響力が大きい人のことです。インフルエンサーもオピニオンリーダーも特定の集団に対して影響力が大きい点が共通しています。
■オピニオンリーダーとインフルエンサーとで異なる部分
オピニオンリーダーは影響力が大きい人やサービスのことですが、インフルエンサーは影響力が大きい人のことであり、人以外には使われません。
影響力が大きいオピニオンリーダーの中に、インフルエンサーも含まれています。
■インフルエンサーの具体例
インフルエンサーの具体例としては、下記のような人が挙げられます。
- 渡辺直美 (タレント・インスタグラマー)
- HIKAKIN (YouTuber)
- ジャスティン・ビーバー (ミュージシャン)
- クリスティアーノ・ロナウド (サッカー選手)
以前より芸能人やスポーツ選手として活躍していた人は顔が知られているのでインフルエンサーとして活躍しやすいと言えます。しかし現在はHIKAKINのように、一般人からYouTuberとして人気になり、インフルエンサーになった人も増えています。
オピニオンリーダーとイノベーター理論
マーケティングにおけるオピニオンリーダーの重要性を理解するためには、イノベーター理論についても知っておく必要があります。ここでは、イノベーター理論の概要をご紹介します。
■イノベーター理論とは
イノベーター理論とは、アメリカの社会学者であるエベレット・M・ロジャーズが提唱したマーケティング理論です。イノベーター理論では、消費者を下記5つのグループに区分します。
・イノベーター (革新者)
・アーリーアダプター (初期採用者)
・アーリーマジョリティ (前期追随者)
・レイトマジョリティ (後期追随者)
・ラガード (遅滞者)
商品を普及させるためには、アーリーアダプターへの訴求が重要です。
■オピニオンリーダーやインフルエンサーはアーリーアダプター
インフルエンサーやオピニオンリーダーは、イノベーター理論においてはアーリーアダプターです。いち早く商品を手に入れて、SNSなどを通じて世に広めていく役割を担っています。
現在では多くの企業がイノベーター理論を活用し、商品やサービスのマーケティングのためにオピニオンリーダーを利用しています。
■イノベーター理論におけるオピニオンリーダーの役割
イノベーター理論におけるアーリーマジョリティ以降の人は、商品購入時にオピニオンリーダーやインフルエンサーの影響を大きく受けます。
オピニオンリーダーやインフルエンサーが発信した情報によって、アーリーマジョリティがその商品やサービスを利用するようになります。そしてさらにアーリーマジョリティーが情報発信を行い、レイトマジョリティやラガードへと利用が広がるのです。
企業がアーリーマジョリティなどに商品やサービスを浸透させるには、アーリーアダプター、つまりオピニオンリーダーの起用がポイントになることがわかります。
オピニオンリーダーの英語表現
ビジネスで英語を使用する機会があるならば、オピニオンリーダーの英語表現も確認しておきましょう。
■opinion leader
「オピニオンリーダー」の英語で表現すると、「opinion leader」となります。「opinion」は「意見」「世論」などの意味があり、「leader」は「先導者」という意味です。
つまり「opinion leader」は、「世論を主導する人」という意味で使われます。
■opinion maker
「opinion maker」もオピニオンリーダーの意味で使われます。「leader」が世論を主導するという意味が強いのに対し、「maker」は世論を形成する人という意味が強くなります。
オピニオンリーダーとはコミュニティに影響力を持つ人のこと
オピニオンリーダーとは、集団の意思を形成するのに影響を与える人のことです。インターネットが普及する前のオピニオンリーダーはテレビや新聞などが担っていましたが、SNSで個人が意見を発信するようになったことで、一個人のオピニオンリーダーも増えています。
似た意味を持つ言葉にSNSを通じて情報発信し、自身の持つ特定のコミュニティに影響力を発揮するインフルエンサーがありますので、違いを覚えておきましょう。また、関連の深い言葉としてイノベーター理論も一緒に覚えておくのがおすすめです。
オピニオンリーダーはとくにWebマーケティングに欠かせない言葉のひとつです。意味を正しく理解して、ビジネスに活用していきましょう。