ビジネスで取引先相手に話していても、思うように本音を引き出せず、なかなか進展しないことがあるかもしれません。そんな場合に知っておきたいのが、相手の本音を引き出すのに適した質問手法「オープンクエスチョン」です。
この記事では、「オープンクエスチョン」とはどんな手法なのか、対する「クローズドクエスチョン」との違い、使い方や英語での質問例などをご紹介します。
取引先だけでなく社内スタッフとのコミュニケーションにも役立つ手法ですので、ぜひ知っておきましょう。
オープンクエスチョンとは
質問には、イエスかノーで答えられる質問と、回答形式が制限されておらず自由に答えられる質問とがあります。オープンクエスチョンは回答の範囲が制限されておらず、回答者が自由に答えられる質問のことを言います。
「なぜそう思いますか」「どこに旅行に行きたいですか」などの質問がオープンクエスチョンにあたります。
■オープンクエスチョンの特徴
オープンクエスチョンでは回答内容が制限されていません。回答者が自由に答えられることから、会話の幅が広がりやすい質問方法です。
例えば取引先に何らかのサービスを提供している場合、「現在の弊社サービスにご不便な点はございますか」と「はい」か「いいえ」のみで答えられる質問(クローズドクエスチョン)を投げかけた場合、回答内容が限られてしまいます。
「現在の弊社サービスのどこにご不便を感じられますか」というオープンクエスチョンを投げかけられれば、「そういえばあの機能がちょっと使いにくいですね」などと取引先の担当者も自由に回答しやすくなります。
■オープンクエスチョンに適したシーン
顧客に提供している商品やサービスを改善したくても、どうすればいいのか見当がつかないことがあります。そのような場合にはオープンクエスチョンが有効です。
「どこが使いにくいですか」「どの機能をよく使いますか」「必要ないと思われる機能はどれですか」などと回答範囲を制限せずに質問することで、ニーズを探りつつ自社の施策に役立つ情報を得られます。
クローズドクエスチョンとは
一方、回答内容に制限がある質問のことを「クローズドクエスチョン」と言います。例えば「はい」または「いいえ」で答える質問や、3択や4択など回答内容があらかじめ決められている質問はクローズドクエスチョンです。
オープンクエスチョンの使用例
オープンクエスチョンはビジネスで活用しやすい質問形式なので、使い方を覚えておきましょう。オープンクエスチョンの具体的な使用例をご紹介します。
■相手のニーズを探る時
・もう少しくわしくお聞かせいただけますか
・御社ではどのような目標をお持ちでしょうか
・サービスの導入に際し、どのような情報が必要でしょうか
・関連する業種のお客様からは、~に関する問題があるとよく耳にします。御社の場合はいかがでしょうか
営業や企画などで、どのようにアプローチしていいのかわからない場合は、情報不足が考えられます。オープンクエスチョンでうまく質問すると、相手のニーズや情報を引き出しやすくなります。
■お互いのことを知りたい時
・御社が主催されている○○というイベントは、参加者はどのくらいなのでしょうか
・A様の部署ではどのような業務をご担当されていらっしゃいますか
・入社されてから何年目ですか
・現在の進捗状況を教えていただけますか
初対面の相手や、まだまだ打ち解けてない相手とは、商談を進めていくのが大変な場合があります。オープンクエスチョンを用いることでお互いのことを少しずつ理解できます。相手のことを深く知りたい場合にも、オープンクエスチョンは有効な手法です。
■クローズドクエスチョンの使用例
・もうお食事はお済みですか
・遅延の原因は「●●」という認識でよろしいでしょうか
・次回のミーティングは、来週の水曜日と木曜日ではどちらのご都合がよろしいでしょうか
・お時間は午前中と午後だとどちらがよろしいでしょうか
・本日、次回のご予約をなさいますか
・こちらをご購入いただけますか
クローズドクエスチョンは回答内容が限られています。商談の最後などにクローズドクエスチョンを用いることで、相手の意志を的確に確認できます。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを的確に使いわけ、コミュニケーションを深めていきましょう。
オープンクエスチョンのメリットとデメリット
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンには、それぞれメリットとデメリットがあります。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
■オープンクエスチョンのメリット
オープンクエスチョンは回答内容が限定されていないため、質問された人は自由に回答できます。相手の考えや気持ちを引き出しやすく、深く考えたうえでの回答を促せる質問方法です。
返答の自由度が高くなることで会話が発展しやすく、たくさんの情報を得られ、相互理解が深くなります。
■オープンクエスチョンのデメリット
オープンクエスチョンは相手のことを深く知ることができる反面、答えにくい質問でもあります。最初の質問にオープンクエスチョンを用いると、答えにくく相手が言葉に詰まってしまうこともあるでしょう。
また、自由に回答できる質問なのでどんな回答が返ってくるかはわからず、会話をスムーズに続けるには質問者のスキルが問われます。
■クローズドクエスチョンのメリット
クローズドクエスチョンでは回答内容が制限されていますので、回答者が答えやすいのが最大のメリットです。「はい」「いいえ」など端的に答えられるため、回答内容に悩むことがありません。
また、作業の進捗など相手の状況を確認したい場合には、「スケジュールに遅延はありますか」などとクローズドクエスチョンで回答内容を限定させましょう。はっきりとした状況確認が可能です。
■クローズドクエスチョンのデメリット
クローズドクエスチョンを用いると、状況によっては相手が回答したいことを十分に話せないこともあります。詰問したり誘導尋問したりするような質問になってしまうことがありますので、状況によっては避ける方がいいでしょう。
英語での質問例
ビジネスシーンで英語でやり取りをする場合、オープンクエスチョンやクローズドクエスチョンの質問例を覚えておくと便利です。それぞれの具体例をご紹介します。
■オープンクエスチョンの質問例
・How do you like it? (それをどう思いますか)
・Where do you want to go? (どこに行きますか)
・What do you think about it? (それについてどう思いますか)
・Why do you think so? (なぜそう思いますか)
・Who would you like to see? (誰に会いたいと思いますか)
・When is the next meeting? (次のミーティングはいつにしますか)
オープンクエスチョンは「Yes」「No」では答えられない質問です。いわゆる5W1Hを使った質問がオープンクエスチョンにあたります。
■クローズドクエスチョンの質問例
・Did you have breakfast today? (今日は朝食を食べましたか)
・Which do you prefer, A, B, or C? (AとBとC、どれがいいですか)
・Aren't you going to drop by the office? (会社に立ち寄らないのですか)
クローズドクエスチョンは「Yes」「No」で回答できる質問のこと。また、5W1Hを使った質問であっても回答内容が制限されている場合はクローズドクエスチョンです。
オープンクエスチョンは相手の本音を聞き出したい時の会話術
取引先との会話などでなかなか相手の本音を引き出せない時に、ぜひ活用してほしい手法がオープンクエスチョンです。質問の回答内容を限定しないことで、相手の言葉を自由に引き出せます。会話を自由に発展させて解決の道を引き出したい時などに活用したい手法です。
逆に質問の回答内容を絞るのはクローズドクエスチョンであり、確認する時などによく使われます。相手の本音を効果的に引き出すためには、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを適切に使いわけるのがポイントです。
ビジネスにおいて相手の本音を引き出せない時には、この記事でご紹介した使用例を参考にして、オープンクエスチョンをうまく活用しましょう。