会議やディスカッションを行う際、「ブレインストーミング」を取り入れることでより活発なコミュニケーションやクリエイティブな発想、アイデアを引き出すことができます。
ですが、聞いたことはあっても実際のやり方や流れ、注意点がわからないという方も多いです。今回はそのブレインストーミングの方法と、実際に行ううえでこれだけは知っておきたいポイントを解説します。
ブレインストーミングとは
ブレインストーミングという言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。実は半世紀前頃から存在するアイデア発想法として、今でもさまざまな場面でこのブレインストーミングは採用されています。
ブレインストーミングの意味
ブレインストーミングとは、別名「集団発想法」とも呼ばれており、複数人で会議を行いそれぞれが自由にアイデアを出すことを意味します。「ブレスト」と略されたり「ブレーンストーミング」と呼ばれたりすることもあります。一人ひとりが自由にアイデアを共有・提供することでよりクリエイティブな発想を促進させることを目的としています。
ブレインストーミングの目的
ブレインストーミングの目的についてもう少し詳しく見ていきましょう。ブレインストーミングの目的のベースは先ほども述べたように、アイデアを自由に出し合うことによってクリエイティブな発想を促進させることです。
ブレインストーミングは、個々人がアイデアをより出せるようにさまざまなルールが設けられています。自由に発言できたり意見交換を積極的に行ったりすることで、お互いの発想を鍵としてさらに新たなアイデアが生み出されることも目的としています。
ブレインストーミングの効果
ではブレインストーミングにはどのような効果があるのでしょうか。参加者同士が自由にアイデアを出すことによりクリエイティブな発想が誕生することはもちろん、従来の会議とは異なり先入観や既存概念に左右されることがありません。
ブレインストーミングのメリットは大きく分けて3つあります。詳しく見ていきましょう。
【さまざまなアイデアが生まれる】
個人ではなく複数人で意見が出し合えること、自由に発言できることから多種多様なアイデアが誕生します。
【個人能力の向上が促される】
2つ目は個人能力の向上が促される点です。他の参加者からのアイデアを聞くことにより、自分とは違う視点からの見方ができるようになり、物事を多角的に考える力が養われます。ブレインストーミングは個々のアイデアを出し合えることも魅力の一つですが、お互いのアイデアに刺激をもらえるという点も魅力的な要素の一つです。
【参加者同士の絆が深まる】
3つ目は参加者同士の絆が深まる点です。1つの目標に向かって皆で何かを成し遂げることから、チーム全体の雰囲気も良くなりまとまりができます。お互いに協力しあい、何か新たなアイデアが生まれたときには絆が深まったと言えるかもしれません。
ブレインストーミングのやり方
では実際にブレインストーミングを行うとき、どのような流れで実施するのかを解説します。流れやルールをしっかり理解しておかないと失敗する可能性もあるので全体の流れを把握しておきましょう。
ブレインストーミングのやり方
まずブレインストーミングの全体的な流れを理解しましょう。
1.現状把握
はじめに行うのが現状の把握です。参加者がどういった人たちで自分たちが置かれている状況がどうなのか、どんなテーマで議論するのかといった全体の把握をまず行いましょう。最初に全体像を把握しておくことで、アイデア出しの段階でテーマから逸れにくくなります。
2.現状の共有
次に、現状に至った理由と根拠を考えましょう。どういった経緯で何が起きていたのかを参加者全員で共有します。
3.アイデア出し
続いてブレインストーミングの本質であるアイデア出しに移ります。固定概念や先入観にとらわれずどんどんアイデアを出すことが大切です。正解・不正解は一切ないので、質よりも量を意識して、自由にアイデアを共有するよう心がけてください。
4.ネクストアクション決定
最後に、出たアイデアから次のアクションを考えましょう。さまざまなアイデアが出た中で、次のアクションを起こすために意見をまとめます。
この4つのステップがブレインストーミングの全体的な流れになります。
ブレインストーミングを行ううえでのポイント
ブレインストーミングを成功させるためのポイントは「目的をはっきりさせること」。失敗するブレインストーミングの多くは、目的が明確でなかったことが要因としてあげられます。
目的をはっきりさせることで、ゴールまでのイメージや過程などを踏まえたうえで考えたり議論することができたりするからです。特に初めてブレインストーミングを行おうとしている人は、この目的の明確化を意識してください。
ブレインストーミングのルール
ブレインストーミングを行う際に必ず知っておきたいのが、以下の4ルールを守るということです。
■アイデアを批判しない
1つは絶対に他者のアイデアを批判しないということです。ブレインストーミングの目的はさまざまなアイデアを共有することです。もし誰かが非現実的なアイデアを出したとしても批判してはなりません。そのアイデアがきっかけで、新たなアイデアが誕生する可能性もあるからです。
■アイデアは質よりも量
2つ目のルールは、質より量を意識することです。よりいいアイデアやクリエイティブな発想を引き起こすためには、基となる膨大な量のアイデアが必要になります。ルール上、出したアイデアを否定されたり批判されたりすることはないので、思い浮かんだアイデアはどんどん言葉にして共有していきましょう。
■アイデアを組み合わせてまとめる
3つ目は出たアイデアを一つひとつ分けて考えるのではなく、組み合わせることです。個人では思いつかなかった発想でも、複数人のアイデアを組み合わせることで、今までにない新たなコラボレーションが実現します。既存のものや一般的なアイデアよりも、ユニークかつ新しいアイデアを重視して行ってみてください。
■すぐに判断・決断しない
最後に紹介するルールが、すぐに判断したり決断したりしないということです。アイデアに対する決断をすぐにしてしまうのはNGとされています。結論は、ブレインストーミングが終わった後にまとめるのが一般的で、ブレインストーミング中に決断・判断をしてしまわないように注意しましょう。
ブレインストーミングで注意すべきこと
ブレインストーミングを実施したからといっても、そのすべてが成功するわけではありません。中には失敗してしまうケースもあります。ブレインストーミングを成功させるために、失敗例と失敗しないための注意点をご紹介します。
ブレインストーミングの失敗例
失敗するブレインストーミングにはさまざまな要因が考えられますが、最もしてしまいがちな失敗例として「目的がはっきりしていないこと」が挙げられます。目的が曖昧だと出るアイデア自体が少なくなりますし、テーマから逸れてしまう可能性もあります。
この他にも、質問の内容自体が良くなかったり、リーダーや上司といった目上の人が参加して、その他のメンバーが緊張して発言しにくい環境になったりしてしまうこともあります。
ブレインストーミングで失敗しないために
ブレインストーミングで失敗しないためにできる最大の対策としては、失敗例で挙げた内容を理解し、避けることです。目的の明確化、質問内容のクオリティ、参加者の立場の平等性など、事前に知っておくだけでも大きな利点です。
その他の対策として、進行役や書記などの役割分担をおすすめします。進行役がいることで、スムーズに議論ができたり時間調節をしたりすることも可能です。また書記の人が記録に残してくれると前に出たアイデアをさかのぼりやすくなります。
ブレインストーミングのポイントを押さえましょう
今回はディスカッションなどで用いられるブレインストーミングの方法やポイントについてご紹介しました。既存で存在するアイデアや安定志向よりも、柔軟性や独創性が求められるようになり、ブレインストーミングが多く活用されています。
複数人で意見を出し合う場で、ぜひブレインストーミングを取り入れてみてください。