「いつかは夢のマイホームを建てたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。住宅の購入は、人生の中でも一大イベントとして位置づけられています。

家を買おうとすると膨大な資金が必要になるため、住宅ローンを利用される方が大半です。ただ、住宅ローンは簡単に利用できるとは限りません。収入や職業など、さまざまな条件を満たさなければならないからです。

今回はそんな住宅ローンの中でも幅広い業務形態の方におすすめしたい「フラット35」をご紹介します。

  • そもそも「フラット35」とは

    フラット35とはいったい何なのでしょうか

フラット35とは

まずはフラット35の内容や種類などについて解説します。

フラット35は2003年に誕生した住宅ローンです。主に住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して扱っています。

その最大の特徴は固定金利ということです。固定金利は変動金利とは違い、借入時に比べて市中金利が上昇しても返済額が変わらないので安心して利用できます。借入先は民間の金融機関ですが、大元は国土交通省と財務省の業務を引き継いだ、独立行政法人である住宅金融支援機構です。大元が住宅金融支援機構だという点でも安心して融資を受けられます。

フラット35のさまざまな種類

フラット35にはいくつかの種類がありますので順番にご紹介します。

フラット35

フラット35は上記でも述べたように、住宅金融支援機関と民間金融機関が連携して扱っている最長35年の固定金利の住宅ローンです。また保証人が不要なことに加え、保証料を支払う必要もありません。

フラット35S

フラット35Sは、フラット35を申し込んだ人が、長期優良住宅などの耐震性や省エネルギー性を備えたより質の高い住宅を獲得される際に、借入金利を一定期間引き下げる制度です。

フラット35 地域連携型

子育て世代や地方移住者に向けて積極的な取り組みを行う地方公共団体と住宅金融支援機関が連携し、地方公共団体による住宅購入に対する補助金交付とセットで金利を引き下げるタイプのサービスです。

フラット35 リノベ

中古住宅を購入して一定の要件を満たすリフォームを行う場合、あるいは住宅事業者により一定の要件を満たすリフォームが行われた中古住宅を購入する場合に借入金利を一定期間引き下げる制度です。

フラット35の利用条件

フラット35の利用条件は大きく分けて、住宅に関する条件と契約者に関する条件の2種類があります。

住宅に関する条件

住宅に関する条件は、対象となる住宅が住宅金融支援機関が定める技術水準を満たしていることです。技術水準に関しては、より高い水準を満たすとフラット35Sの制度を利用することも可能です。

また、床面積が一戸建てだと70平方メートル以上、共同住宅だと30平方メートル以上であることが条件として求められます。

契約者に関する条件

契約者に関する主な条件として以下の3つがあります。

【契約者が日本国籍である】

1つ目は契約者が日本国籍であることです。外国籍の方でも、永住許可または特別永住者の資格を有しているとフラット35を利用できます。

【申し込み時の年齢が満70歳未満である】

契約者の子どもや孫を後継者として「親子リレー返済」を利用する場合は、70歳以上でも申し込めます。

【返済負担率が基準値以下】

返済負担率が基準値以下でないといけないことが3つ目に挙げられます。年間の合計返済額が額面上での年収が400万以上だと35%、400万未満だと30%以下であることが条件です。

以上がフラット35の利用条件になります。フラット35の利用条件をしっかり押さえましょう。

  • そもそもフラット35とは

    フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して扱っている住宅ローンです

フラット35の特徴

フラット35にはどのような特徴があり、どんな人が向いているのでしょうか。特徴と一緒にメリットも踏まえながら考えていきましょう。

フラット35のメリット

フラット35は民間金融機関では固定金利が用いられています。最長35年の全期間固定金利なので、契約時に返済終了時までの借入金利と返済額が確定します。

特徴としては、借り入れ後に金利が上昇しても返済額が増加しないという点が挙げられます。つまり、借り入れ後の金利の変動の影響を受けることはなく、契約した時点で決められていた返済額がそのまま適応されるローンだということです。

変動金利ですと、借り入れ後の金利変動によって返済額が増加してしまうリスクがあります。固定金利は金利上昇の影響を受けないので返済額の増加を避けることができ大きなメリットだと言えます。

また、フラット35をはじめとしたフラット35 Sやフラット35 地域連携型、フラット35 リノベと、多種多様なメニューが用意されていることも大きな特徴の一つです。

フラット35の利用に向いている人

ではフラット35はどんな人に向いているのでしょうか。

フラット35において注目すべきポイントは、フラット35には保証料の支払いがなく、審査が民間ローンに比べると比較的優しいという点です。

【フラット35は保証料がゼロ】

まず保証料の支払いについてですが、民間の住宅ローンでは借入時に数十万円の保証料がかかることが多い一方で、フラット35は保証料がかかりません。

【返済負担率に基準が設定されている】

また、住宅ローンの審査時に返済負担率が設定されています。フラット35では額面年収400万円を軸に30%もしくは35%以下という基準があります。

民間の住宅ローンも一定の基準は設けられていますが、収入自体の安定さも求められるのでフラット35と比べると審査基準が厳しくなります。したがって自営業の方であったり転職したばかりの方など、収入が安定しない方は民間の住宅ローンは借りにくいかもしれません。

以上のことから、フラット35は民間ローンと比較すると、審査基準や保証料も含めて「借り入れがしやすい」ということがわかり、自営業やフリーランスなどのように収入が少し不安定な方に向いていると言えます。また、固定金利という利点を活かし、金利上昇のリスクを回避したい方にもおすすめです。

  • フラット35の特徴

    フラット35には多くのメリットが存在します

フラット35を利用時の注意点

保証金もなく、安心の固定金利ということからフラット35は非常に魅力的な住宅ローンにも思えますが、利用時には注意が必要です。デメリットや実際に起きた不正事件についてもご紹介します。

フラット35のデメリット

フラット35は固定金利ですので返済額が大きく増加することはありません。しかし変動型はより低い金利で設定されています。

つまり、金利は変動するため将来的には上昇する可能性もありますが、完済時までに固定金利の水準を超えなかった場合、変動金利型の方がトータルの返済額が少なくなるケースも発生します。

また、フラット35では借入額が住宅価格の9割を超えてしまうと金利が高く設定されてしまうこともデメリットの一つです。頭金が住宅価格の1割ほどしか用意ができないという人は注意が必要です。

フラット35の不正事件

近年では、フラット35をマンション投資に悪用する不正事件も出てきています。業者にそそのかされて高価格で物件を購入し、多額のローンを背負ったことでその返済額に追われているというケースです。

「老後の支えになる」や「将来への投資」という文言を使い、融資を行わせる悪徳業者が存在するのも事実です。フラット35は住宅金融支援機関が母体となる住宅ローンですので、自らが住むのではなく人に貸して賃料を得る利用目的での住宅購入は契約違反だとされています。

悪用されないために気をつけたいポイント

悪用されないためにできる対策は、住宅を購入するにしても、不動産投資を行うにしても目的をはっきりさせておくことです。目的を偽ったり、目的以外の用途での利用が発覚したりした場合は、契約違反になってしまうので注意しましょう。

  • フラット35を利用するときの注意点

    フラット35のデメリットも把握しておきましょう

フラット35を上手に活用しよう!

今回は住宅ローンの一つであるフラット35について、利用するにあたって知っておきたいポイントや、メリット・デメリットを解説しました。フラット35は魅力的な一面もある一方で、悪用や不正なども過去に起きていることから注意しながら利用する必要もあります。

特徴やポイントをしっかり理解したうえでぜひフラット35の利用を考えてみてください。