ビジネス用語としてよく聞く「ブレイクスルー」という言葉の意味や、種類、イノベーションと違いなどについてわかりやすく解説します。さらに非凡ブレイクスルー思考や、ブレイクスルーポイントなどの関連語について、また言葉としての使い方も例文とともにまとめています。
ブレイクスルーとは
まずは「ブレイクスルー」という言葉の基本的な意味や、ビジネスの場でどのように使われているかを見ていきましょう。
ブレイクスルー(ブレークスルー)の意味
ブレイクスルーを辞書で引くと「困難や障害を突破すること、またその突破口」とされています。実際には、現状を打破することや突破、大きな進歩といった意味としても多く用いられています。スポーツ界では、アスリートらが厳しい状況を打破したり乗り切ったりしたときによく使われていました。
ビジネスシーンでは「停滞していた状況から抜け出す」「突破口を見い出し前進する」、さらには「本質的な課題を見極め、それに対して常識にとらわれない革新的な解決策を見いだすこと。またその解決策自体のこと」といった意味で使われています。
「ブレークスルー」と記述することもあります。
イノベーションの意味と、ブレイクスルーとの違い
ブレイクスルーと似た意味を持つ類語に「イノベーション」があります。イノベーションとは、英単語の「innovation」と同じく「革新」という意味で使われます。
ビジネスシーンでは、イノベーションは「新境地」や「新しいとらえ方」などの意味で用いられ、新たな価値を生み出し変化をもたらすこととされています。そのため、「現状を打破する、突破する」という意味のブレイクスルーとは少し異なります。
イメージとしては、イノベーションという新しい境地に向かう過程に、ブレイクスルーという現状を突破する状況が含まれていると考えるといいでしょう。
4種類のブレイクスルー
ブレイクスルーはその段階によって4つのタイプに分類することができます。中には3つに分類するとするケースもありますが、今回は4つに分類されたときのそれぞれの詳細を解説します。
タイプ0
タイプ0とは、既存の技術を改善して商品開発を行うことです。このタイプ0の有無によってブレイクスルーのタイプが3種類なのか4種類なのかに違いが出ます。
タイプ0は、改善や改良に関しては「前進、進歩している」ともとらえられますが、壁や障害を「突破する」意味合いが無いのではとされているため、ブレイクスルーとしてカウントするかどうか議論が分かれています。
こういった理由から何も起こっていない、ブレイクスルーのスタートラインに至っていないという意味も込めて「タイプ0」とされています。
タイプ1
タイプ1は、既存の技術や研究内容をさらに深く追求することにより、革新的な突破となるブレイクスルーのことです。このタイプ1の例としてよく取り上げられるのが青色LEDの発明です。発明される前は実現不可能とされていましたが、研究をさらに掘り下げたことにより青色LEDの素材の作成方法が発見されました。
「ブレークスルーのイノベーション理論」を提唱する、日本の科学者である山口栄一教授は、このタイプ1を「創発」と呼んでいます。
タイプ2
続くタイプ2は、既存技術が持っている価値を再度検討・検証し、新しい価値を見いだすことを指します。これは、既存技術の改善を行うだけでは競合との競争に負けてしまう可能性があるという考えに基づいたものです。
タイプ2のブレイクスルーの方法としては、資金が必要となる技術向上や改善を図るのではなく、既存の機能を特化させたり同価格で新たな価値を提供したりすることなどがあります。山口教授はこのタイプ2を「回遊」と呼んでいます。
タイプ3
最後に紹介するタイプ3は、タイプ1とタイプ2を同時に行うことを意味します。研究を重ねに重ね、深掘りをしながら新しい価値を探求するということです。つまり、基礎研究と追求と新しい価値の創造を一緒にしていくイメージを持ってもらうとわかりやすいかもしれません。
山口教授はタイプ1とタイプ2が組み合わさっていることから、タイプ3を「回遊的創発」と呼んでいます。
非凡ブレイクスルー思考とは
ビジネスシーンと直接関係はないですが「非凡ブレイクスルー思考」にも少し触れておきます。非凡ブレイクスルー思考とは、ブレイクスルー思考の基礎原則となる3つの基礎原理と4つのフェーズを総称したものを指します。
3つの基礎原理と4つのフェーズとは
3つの基礎原理は、万物には必ずユニークな「差」があるとする「ユニークさの原則」、「万物はシステムである」という考えに基づく「システムの原則」、情報収集とは数でなく内容を重視する「目的情報の原則」です。
4つのフェーズは、周囲を巻き込む「人間フェーズ」、目的をなぜ設定するのかを追求する「目的フェーズ」、未来の姿をデザインする「未来解フェーズ」、解決策は変化そのものだという考えに基づいた「生解フェーズ」です。
これらはブレイクスルー思考を実践するのに必要な要素として位置づけられています。
ブレイクスルーの由来は英語
カタカナ語であるブレイクスルーの由来は「breakthrough」という英語に由来しています。この英語のbreakthroughも同じように「突破」「解明」「打破、打開」という意味があります。これ以外にも1単語だけで「前進」という意味も含まれます。
まとめると、ブレイクスルーは発音、意味ともに英語のbreakthoughをカタカナ語にした言葉となります。
ブレイクスルーの関連用語
ブレイクスルーの関連用語もいくつかご紹介します。関連用語はブレイクスルーが言葉の中に含まれているものが多く、ここでは「ブレイクスルー思考」「技術的ブレイクスルー」「ブレイクスルーポイント」の3つを解説します。
ブレイクスルー思考
ブレイクスルー思考は、文字通り現状を打破しようという考え方です。飯田史彦さんの著書『ブレークスルー思考』では、「目の前の壁そのものに価値を見出し、すべて順調な試練として受け止めることにより成長し、困難に感じられる状況を楽々と突破していくような発想法」とされています。
技術的ブレイクスルー
技術的ブレイクスルーは、技術革新や技術の飛躍的進歩を表す用語として用いられます。現代社会においては、IT、ロボット開発などでよく使われるようになりました。
ブレイクスルーポイント
ブレイクスルーポイントとは、まさしくブレイクスルーが起こる地点のことを指します。このポイントを抜けることで、現状を変えられたり成果が上げられたりするというターニングポイント的な意味で使われています。
ブレイクスルーの使い方と例文
続いてビジネス用語のブレイクスルーを使った例文も見ていきましょう。
・ブレイクスルーを起こすためには何かが足りない
・彼はここの取引先と契約したことでブレイクスルーを引き起こした
・この案件はあのブレイクスルーがきっかけで受注できた
このような使い方ができます。
ブレイクスルー思考を実践してみましょう
ブレイクスルーがビジネス上でどのような意味で使われるのかを、例文と一緒にご紹介しました。
ブレイクスルーの関連語や、考え方であるブレイクスルー思考も、今後皆さんが仕事を行っていく上で必要な心構えになるので、ぜひ参考にしてみてください。