「ああ~、惜しい! あと一歩で完璧にキマったのに……」
誰もが一度は、そんな歯がゆい経験をしたことがあると思います。こちらの猫ちゃんも本当にあと一歩、あと1テンポでも踏み出しが早ければ、もっと綺麗なジャンプを披露できていたかもしれません。
いいところでいちいち兄弟に割り込まれちゃう子が不憫かわいい(@sakata_77より引用)
ツイッターユーザーで猫写真家の久方広之さん(@sakata_77)が投稿したのは、空中で競り負け、顔を歪めた猫ちゃんの写真でした。
その決定的瞬間を捉えたツイートは大きな注目を集め、1.1万件のリツイート、5.9万件のいいねを獲得(6月16日時点)し、コメントも続々と集まっています。
「ミラクル過ぎます(笑)」
「いい表情してらっしゃるw」
「すました顔で割り込んでくるの最高に可愛いです! 」
「不憫かわいい=使わせていただきますww」
「あ~あ不完全燃焼(笑)」
「ディフェンスとオフェンス」
「ホワッツマイケル思いだすな~! 」
このユニークな瞬間は、一体どのようにして生まれたのでしょうか。この兄弟猫の飼い主である久方さんに詳しくお話をうかがいました。
――この写真は、何をしているところだったのでしょう?
久方さん:猫じゃらしを使って遊びながら撮影している中で、たまたま撮れたものです。猫じゃらしを追っている猫に割り込む形でもう1匹が入ってきて、このような瞬間になりました。
――すごく劇的な瞬間ですね。
久方さん:実は、このように密接しながら同時に猫じゃらしに飛びつくのは珍しく、特定の条件下のみです。通常、大人の猫と遊びながら撮影している場合、他の猫が割り込んでおもちゃを取ることはほとんどありません。大抵は遊んでる私たちの周りに座り込んで待機しています。先に遊んでいる猫が飽きるか、自分の方に猫じゃらしを振ってもらうのを待つのです。猫の世界にも社会性があり、「順番待ち」するのです。これを無視して割り込む猫は、大抵先に遊んでいる猫に叩かれてしまいます。
――とても貴重な瞬間なのですね。この時はどうして取り合いになったのでしょうか?
久方さん:実は、「兄弟猫」の場合は同時に猫じゃらしに飛びついても喧嘩にならないことが多いのです。特に、若い猫や子猫は普段から一緒に遊んでいるからか、同時に飛びついたりこのような割り込みの形になっても相手を怒ったりしません。兄弟猫は社会的に同列だから喧嘩にならないのか、大人になると猫の世界のマナーを学んで成長して順番待ちするようになるのではないかなど、猫達と遊びながらその変化について考えながら撮影しています。
――ツイッターでは大きな反響がありましたが、率直な感想をお聞かせください。
久方さん:多くの人達に写真を見てもらえて嬉しく思います。普段から猫達と遊びながら撮影しており、自分なりのアプローチで無理のない範囲で猫ごとの個性や、見たことのないような面白さ、まるで拳法やダンスしてるみたいな猫達の姿を皆さんにお見せできればと思います。
これまでも、猫のユニークな姿を数多く激写してきた久方さん。今後の作品にも注目です!
いいところでいちいち兄弟に割り込まれちゃう子が不憫かわいい pic.twitter.com/VDCfTrgwmm
— 久方 広之「のら猫拳」 (@sakata_77) June 12, 2021
取材協力:猫写真家 久方広之
猫じゃらしを使った撮影を得意とする九州在住の猫写真家。
まるで拳法をしているかのようなコミカルな猫写真がSNSで話題となり、写真集『のら猫拳』(エムディエヌコーポレーション)を出版。撮影技法をまとめた『ねこ拳撮影術』(玄光社)の出版他、最近では全国の商業施設でパネル展も行っている。