運転支援システムを通じた安心・安全な交通社会の実現をめざすITS Connect推進協議会は、760MHzを使った通信型ITS「ITS Connectシステム」が安全で利便性の高い環境の実現に役立つとの検証結果を発表した。

  • 広島県で行われた実証実験の様子

「ITS Connect」は、道路に設置した設備(路側機)との無線通信(路車間通信V2I)や、車両同士の通信(車車間通信V2V)によって得られる情報をドライバーに知らせ、見通しの悪い交差点などでの運転を支援するシステム。広島県がさまざまな企業や機関と協働しながら実証実験を行う「ひろしまサンドボックス」の一環として、2018~2020年度にかけて県内で実証実験を行った。

実証実験では、広島市内を走る路面電車4両、路線バス3両、自動車3台に「ITS Connectシステム」実験用車載機を搭載。あわせて市内交差点3カ所に「ITS Connectシステム」路側機を設置し、渋滞や事故の削減に向けた検証を行った。

おもな実験として、信号機の色が変わるまでの残時間を各車両に伝える「信号情報支援」、交差点内での他車両の接近を相互に伝える「車車間通信」を実施。乗換え利便性の向上や渋滞緩和を目的に、路面電車とバスの電停共有と、これに伴うバスの軌道敷走行も行い、バスが路面電車の軌道敷を走行する際に路面電車との「車車間通信」、路側機との「路車間通信」も実施した。いずれも支援条件成立時は100%検知できることがわかり、「システムとしての成立性・実用性が検証された」という。

公道で実施した試乗会では、交差点での信号情報提供について、路面電車の運転士の65%、路線バスの運転士の50%が「ありがたみを感じる」と回答。車両の接近・存在通知についても、路面電車の運転士の85%、路線バスの運転士の90%が「導入に賛同する」と答えた。

これらを踏まえ、ITS Connect協議会は「10年超の経験を持つベテラン運転士でも安全予測には限界があるため、信号残秒数や接近・存在通知といった予定情報を活用できるITS Connectのようなシステムの導入が事故の減少にもつながる」と結論づけた。「より良いシステム構築と普及をめざし、業種や企業の垣根を超えたオールジャパンの取り組みを続ける」としている。