日産自動車が新型車「ノート オーラ」を発売する。このクルマ、小型車「ノート」の豪華版かと思いきや、日産にとってはノートとは違う新たな市場の形成を狙い、車幅を40mmも拡大して作った意欲作だ。輸入車が強いプレミアムコンパクト市場で日産は存在感を示せるか。
ノートとオーラ、何が違う?
「オーラ」は「ノート」と骨格を共有するクルマで、日産のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載している(動力性能はノート比で向上)ところも共通だ。グレードは前輪駆動(FF)の「G」と電動四輪駆動の「G FOUR」があり、それぞれで本革シートの「leather edition」が選べるので計4種類だ。
開発責任者を務めた日産の渡邊明規雄さんによると、「オーラ」の開発では「ノートで好評なエクステリア、内装の質感、居住空間、走行性能をさらに一段高めて、プレミアムと呼ぶにふさわしいレベルに引き上げることを目指した」とのこと。ノートと何が違うのか、事前説明会で聞いた開発陣の言葉も引用しながら詳しく見ていこう。
まず、横幅が違う。ノートのボディサイズは全長4,045mm、全幅1,695mm、全高1,505mm(「X」グレードは1,520mm)。一方のオーラは横幅が1,735mmで、車体は3ナンバー化している。全高は1,525mmだ。横幅が増えた分、ノートよりもワイドフェンダーになった印象のオーラ。「スタンスの良さはクラストップレベル」(デザイン担当)だという。
内装もノートに対してプレミアムな設えとした。具体的にはツイード表皮、木目調パネル、センターコンソールのイルミネーション、本革のステアリングなどでプレミアム感を打ち出している。
走りの面では、ノートに対してe-POWERの性能を高めた。2WDで比べると最高出力はノートが116PS、オーラが136PS。最大トルクはノートが280Nm、オーラが300Nmだ。日産は「同クラスでこの動力性能なので相当、軽快に走ります。高速道路での中間加速や追い越しなどでも、ゆとりを感じる走りが実現できているのではないでしょうか」(渡邊さん)と自信を示す。
エンジンは発電に専念し、基本的には電気で走るe-POWERは静粛性も売りだが、オーラではノートに対して遮音エリアを広げ、より静かな走りを目指した。ルーフ、フロントドア、リアドア、フロントのサイドウィンドウに遮音性能を向上させるアイテムを投入し、フロントにはラミネート層の入ったガラスを採用している。
最後に、価格はどのくらい違うのか。「AUTECH」と福祉車両を除くと、ノートは2WDが202.95万円~218.68万円、4WDが228.8万円~244.53万円。オーラは2WDの「G」が261.03万円、4WDの「G FOUR」が286.88万円で、ノートの上級グレード「X」とオーラを比べると、どちらの駆動方式でも価格差は42.35万円となる。オーラで「leather edition」を選んだ場合、価格は8.91万円のプラスに。プロパイロット、NissanConnectナビゲーションシステム、BOSEのオーディオを含むセットオプションは40.15万円だ。
日産としては「250万円以下」のノートに対し、「250万円以上」のオーラには異なる役割を期待しているようだ。オーラではひとクラス上のセグメントで新たな市場を開拓したい意向で、価格帯で見た場合の競合は輸入車勢やトヨタ自動車「プリウス」などを想定しているという。「(オーラを含む)ノートシリーズで販売台数ナンバーワンを目指す」(マーケティング担当の丸地隆史さん)というのが日産の意気込みだ。