「パラレル」と聞いて何を思い浮かべますか? 複合語のパラレルワールドは、SF映画などにも出てきますよね。ほかにもビジネスシーンや通信、スポーツの世界などで用いられる言葉です。
本記事ではパラレルの意味や語源、数々の複合語や対義語などを紹介します。最後まで読めば、ビジネスシーンで使いこなせるようになりますよ。
パラレルとは
「パラレル」の意味は「平行または並列であるさま」です。
パラレルの語源
パラレル(parallel)の語源は、ギリシア語で「~のそばに」という意味の「para」だとされています。
パラレルは2つとは限らない
パラレルは平行・並列という意味ですが、その数は2つとは限りません。いくつあっても、平行・並列であればパラレルと表現できます。
パラレルのシーン別の使われ方
では、実際にどのように使われているのでしょうか。シーン別に見ていきましょう。
ビジネスシーンでの「パラレル」
ビジネスシーンでは、同時に複数の仕事を並行して進めること、つまり同時進行のことを指します。パラレルを略して「パラ」と使うこともあります。くだけた表現なので、かしこまった場では使わないほうがいいでしょう。
<例>
・今日は仕事が立て込んでおり、パラで進めなくてはならない
・この案件は、東京と大阪の2か所で、パラで進めます
通信用語としての「パラレル」
通信の世界では、「並列」という意味で使われます。小学校の理科で、電池を用いた電気回路のつなぎ方を習いましたが、その時の「並列つなぎ」がパラレルです。
また、複数の回線を用いて複数の情報を並行して送ることを「パラレル通信(パラレル伝送)」といいます。
パラレルの複合語
パラレルには、別の単語がくっ付いてできた複合語があります。そのいくつかを見てみましょう。
パラレルワールド
映画や小説で見かけることのあるパラレルワールド。これは「並行世界」や「並行宇宙」などと訳されます。具体的には、現実の世界から分岐して存在している世界のことです。
SF映画やSF小説で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。「もう一人の自分がパラレルワールドで全く違う人生を送っているとしたら…」などと考え始めたら夢が広がりますね。
パラレルキャリア
ここ数年で注目を集めているのが、パラレルキャリアです。経済学者として知られるピーター・F・ドラッカー氏が、彼の著書『明日を支配するもの - 21世紀のマネジメント革命』で提唱している言葉。ひとつの企業(キャリア)に固執しない、新しい働き方のことを指します。
具体的には、生計を立てるための収入源としての本業とは別に、自分の好きなこと・得意なことの経験を重ね、ゆくゆくはキャリアにつなげていこうというものです。
パラレルキャリアは「副業」のように見えますが、実際は違います。副業はあくまでの本業とは別に収入を得ることですが、パラレルキャリアの場合は収入を伴わないこともあります。自分の得意分野において、いずれは社会に役立つようなスキルを育てるその過程を、パラレルキャリアと呼んでいます。
パラレルパーキング
パラレルパーキングとは、縦列駐車のことを指します。といっても車は縦に一直線に並んでおり、その間に止めるのはパラレル(平行・並列)ではないのではと思うかもしれません。
しかしパラレルパーキングのパラレルは、「道路に対しての平行」という意味です。もし外国でパラレルパーキングと言われたら、それは縦列駐車のことなので覚えておきましょう。
パラレルターン
パラレルターンはスキーのターン技法のことです。スキー選手がスピードを競いながら、急な斜面を滑り降りますね。あれがパラレルターンです。
スキー板を平行に保ったまま、後尾部分を振りながら方向転換します。スピードを極力落とさないで滑ることができますが、恐怖心を伴うのでスキー上級者向きです。
ちなみにパラレルターンのコツは、目線と膝の位置にあります。目線は足元ではなく進む方向に向けること、板が平行になるよう膝はくっ付けることなどがポイントです。
パラリンピック
パラリンピックは、オリンピックに続いて開催される、障害者を対象したスポーツの祭典です。
発端は1948年にイギリスで行われた、車いす患者たちのスポーツ大会だとされています。第二次世界大戦によって脊髄を損傷し、下半身麻痺になってしまった元兵士たちのリハビリを兼ねていたとも伝えられます。
そのためパラリンピックも、もともとは下半身の麻痺を意味する「paraplegia(対麻痺)」と「Olympic(オリンピック)」を合成した言葉でした。今ではさまざまな障害をもつ人たちが参加する祭典に発展し、「オリンピックと平行する、もう一つの」という意味から「parallel」という解釈に変わっています。
パラレルの対義語
パラレルの対義語は「シリアル」です。朝食に食べる穀物のことかと思うかもしれませんが、もちろん違います。シリアル(serial)は「一連の、一続きの」という意味です。
パラレルと同様に、シリアスにも複合語がたくさんあります。
データを送受信する際に、一つの回線で情報を一つずつ、連続して送ることを「シリアル通信(伝送)」といいます。そのほかに連続した製品番号を指す「シリアルナンバー」や、パソコンと周辺機器をつなぐための規格を指す「シリアルポート」などがあります。
パラレルについて理解を深めよう
パラレルは、「平行・並列」を指す言葉で、さまざまな言葉と結びついた複合語がたくさんあります。ビジネスシーンや通信、スポーツの世界でもよく使われることを理解していただけましたでしょうか。
4年に1度の祭典「パラリンピック」にも、このパラレルが関連しています。観戦するとき小ネタとして、覚えておくのもいいですね。