ビジネスにおいて「マンパワーが足りない」「マンパワーが必要だ」といった言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? とはいえ、マンパワーという言葉を聞いたことがあっても、意味や使い方をあまり理解していない人もいるはずです。
そこで本記事では、マンパワーの意味や類義語を説明し、ビジネスにおける使い方を例文とともにご紹介します。日本のマンパワー不足問題にも触れるので、ぜひ参考にしてみてください。
マンパワーとは
まずはマンパワーの意味について解説していきます。
マンパワーの意味
マンパワーの意味は、簡単に言うと「人が生み出す労働力」です。単に労働力だけでなく、人の労働によって生まれる経済的価値のことも指します。
マンパワーの語源
マンパワーの語源は、英語の「manpower」です。manとpowerがつながってできた言葉で、manは男性ではなく、人間という広い意味を持ちます。英語のmanpowerの意味は「労働力」「人的資源」と記載されていて、日本でも同じ意味として使われています。
manpower(=人の力)という語源からもわかるように、マンパワーは人手に依存するような仕事・業界で多く使われます。例えば、建設業や介護、飲食業などが該当します。
マンパワーの類義語・言い換え表現
マンパワーの類義語として「ヒューマンリソース」と「人手」という言葉があります。
ヒューマンリソース(human resources)は、「人材・人的資源」という意味です。マンパワーはヒューマンリソースと同じ人的資源という意味を含みますが、マンパワーには「人によって生み出される労働力」という意味もあるので、2つの意味は少しだけ異なります。
そして人手は、単純に「働き手」という意味を持ちます。マンパワーは人手と同じように、働き手という人自体を指すこともあるので、2つは同義ととらえることができます。しかし人手は、労働力という意味では使われないので、マンパワーとの意味と少し違いがあります。
このようにヒューマンリソースと人手は、マンパワーと重なる意味を持ち合わせているものの、少しずつ意味が異なるということを覚えておいてください。
マンパワーの意味【業界別】
マンパワーという言葉は、あらゆる業界で使用されています。ここからは、業界ごとのマンパワーが使われるシーンや意味について紹介していきます。
ビジネスにおけるマンパワー
一般的なビジネスの場では、人手や労働力という意味でマンパワーという言葉が使用されます。特にIT業界では頻繁に使われ、他にも食品メーカーや自動車業界でもよく登場します。
福祉・介護業界のマンパワー
福祉・介護業界では、働く人・労働者のことをマンパワーと呼びます。具体的には、介護福祉士、社会福祉士、介護ボランティアらがこれに当たります。日本では福祉・介護業界のマンパワー不足問題が深刻で、ベトナムやミャンマーといった他国の人材に頼っているという現実もあります。
医療・看護業界のマンパワー
医療・看護業界では、働く人たちの労働力のことを看護マンパワーと呼びます。看護師をはじめとする医療に関わる人たちには、専門的な知識・スキルが必要です。そういったスキルを持つ人、つまり看護マンパワーが不足していると言われています。
マンパワーの使い方・例文
マンパワーは、さまざまなビジネスシーンで使われます。ここではマンパワーという言葉の使い方を例文と合わせて紹介していきます。
「マンパワーが不足している」
人手が不足し、労働力が足りないときに「マンパワーが不足している」と表現されます。例えば、急な仕事が入って業務に追われているときや、スムーズに仕事ができず仕事が滞っているときによく使われます。
例文:
「今回の業務ミスは、マンパワー不足が原因で起きた」
「マンパワーが不足しているため、広く人材募集を行った」
「マンパワーに頼る」
「マンパワーに頼る」は質ではなく「量」に頼るというネガティブな表現として使われます。質は気にせずに商品を量産するときや、他の社員との連携ではなく優秀な人材の力や独断に頼るという意味があります。
例文:
「A社は、即戦力となる人材を集めてマンパワーに頼っている」
「マンパワーに頼る方が、仕事はスムーズに進む」
「マンパワーを投入する」
「マンパワーを投入する」は、人員・従業員を増やすときに使われる表現です。何かの問題の解決策として、マンパワーを投入するという手段がとられます。
例文:
「人手不足を解消すべく、マンパワーを投入した」
「B店舗で売り上げが急上昇しているので、マンパワーを投入する必要がある」
「マンパワーが必要」
労働力や人材が不足しているときに「マンパワーが必要」と表現されます。業務に支障が出たり、問題が起きたりといった悪い状況のときによく使われます。
例文:
「今回の企画を成立させるためにも、マンパワーが必要だ」
「優秀な2名が退職したので、最低でも2名分のマンパワーが必要だ」
日本におけるマンパワー不足問題
今ではビジネスのあらゆるシーンで使われるようになってきたマンパワーですが、日本では近年、人手や労働力の不足が問題視されています。ここでは、日本が抱えるマンパワー不足の問題について触れていきます。
マンパワー不足の原因
日本でのマンパワー不足の原因の一つが、少子高齢化です。少子高齢化によって生産年齢人口(15歳から64歳)が減る一方で、高齢者の人数は増加しているという現状があります。
それだけでなく、非正規雇用の増加や新人を採用する際のコストの上昇、採用にコストが当てられないことで起こる優秀な人材の不足といった問題が日本全体のマンパワー不足につながっています。
マンパワー不足が深刻な中小企業
日本全体としてもマンパワー不足の状態が続いていますが、中でも中小企業の人材不足は深刻な問題です。近年の中小企業では、求人を出しても就職希望者数が下回る傾向にあります。その原因として、大手企業への就職を考える人が多いことや、中小企業の労働環境や職場環境が整っていないことなどが挙げられます。
帝国データバンクが実施した人手不足に対する企業の動向調査(2021年1月)では、特に人材が不足している業種を明らかにしています。正社員で不足しているのは、放送業、公共工事を行う建設業、情報サービス(IT業界)です。非正規雇用では、スーパーマーケットなどを含む各種商品小売り、リモート需要の高まりで電気通信業界の人材不足が加速しています。
マンパワー不足の解決策とは
マンパワー不足の解決策として挙げられることはまず、職場環境や労働条件の改善です。賃金や待遇、働く環境を改善して、誰もが働きやすい職場へと変えていく必要があります。
またそれ以外にも「主婦やシニア層、障がい者・外国人労働者の採用を取り入れる」「ITを活用して省力化を図る」「外注に頼る」「従業員の教育に力を入れる」などの方法があります。
マンパワー不足は最悪の場合、「人手不足倒産」にもつながりかねないため、工夫をしてできるだけ早く対処することが重要です。
マンパワーの意味や使い方をマスターしよう
今回は、マンパワーの意味や使い方、例文、そして日本のマンパワー不足問題について解説しました。ぜひ今回の記事を参考にして、マンパワーという言葉を正しく使えるようになってください。
そして、ビジネスを安定して進めるうえでは、マンパワーの確保は非常に大切です。マンパワーの問題を抱えている企業は、すぐに対処するようにしましょう。