プロジェクトを確実に成功へ導くためには、計画を立ててやるべきタスクを明確にすることが大切です。その大切な「計画」を立てるうえで重要なツールに「マスタースケジュール」というものがあります。マスタースケジュールを作成すれば、進捗するプロジェクト全体を把握することが可能です。
そこで本記事では、マスタースケジュールの意味や目的、作り方について詳しく解説いたします。ぜひ今回の記事を読んで、自社のプロジェクト管理に活かしてください。
マスタースケジュールとは
まず、マスタースケジュールがどういったものなのかを説明します。
マスタースケジュールの意味
マスタースケジュールは、プロジェクトの開始から終了までの大枠を示したスケジュールです。マスタースケジュールは一つひとつの作業内容を詳細に書くものではありません。あくまでプロジェクト全体を俯瞰(ふかん)する目的で、プロジェクト終了までに行う各作業を帯状のグラフで示していきます。
作成時に重要となるマイルストーンとは
マスタースケジュールを作成するうえで鍵となるのがマイルストーンです。マイルストーンはプロジェクトの中間地点や節目となる出来事のことを指します。
例えば何か商品を開発しようとする場合、「企画立案(企画書の提出)」「商品設計」「全体会議」といった内容がマイルストーンに当たります。
マイルストーンを定めることによって、1つのマイルストーンが終了したら次のタスクへ進むという流れを作ることができ、計画をスムーズに進められます。特にマイルストーンは、長期間のプロジェクトでの進捗状況を把握したり、関係者のモチベーションを保ったりするのに有効です。
マスタースケジュールとWBSの違い
マスタースケジュールとよく混同されるのがWBS(Work Breakdown Structure)です。WBSは「作業分解構成図」とも言われ、定めたマイルストーンの達成のためにやるべきタスクをさらに詳細に示したものです。
例えば、「材料を準備する」というマイルストーンがあった場合、その中には「にんじんを切る」「豚肉を切る」「米をとぐ」「米を炊く」などのタスクが存在します。このような詳細な内容まで書かれ、タスクごとの担当者が決められたものがWBSです。
このようにWBSは作業工程を細かく分解して書かれたものですが、マスタースケジュールはプロジェクト全体を俯瞰するものなので、WBSほど細かく記載することはしません。
プロジェクト管理をするには、全体を把握するためのマスタースケジュールと、実際の細かいタスクや作業工程が書かれたWBSの両方を作成する必要があります。
マスタースケジュールの作り方
ではマスタースケジュールはどのように作成すればよいのでしょうか? ここからはマスタースケジュールの作り方の4ステップを紹介していきます。
1.プロジェクトの開始日と終了日を定める
初めに、プロジェクトの開始と終了の日程を定めましょう。プロジェクトとは、開始と終了が定まったもののことを指すので、期間が決まっていなければそもそもプロジェクトとは呼ぶことはできません。そのためまずはプロジェクトの開始日と終了日を決めて、1つの軸を定めましょう。
2.マイルストーンを設定する
次に、マイルストーンを設定します。プロジェクトの中間地点となるマイルストーンは、プロジェクトが滞りなく進んでいるかの進捗状況を確認し、一つひとつの作業をスムーズに進めるうえで重要な役割を果たします。
マイルストーンを設定するときには、マイルストーンの内容とその期限を定めます。重要な節目となるマイルストーンを初めに設定しておくことで、マイルストーン達成のために必要なタスクや各タスクの期限が必然的に決まっていきます。
3.最も作業負荷のあるタスクからスケジュールを決める
マイルストーンを設定したら、各マイルストーンに必要なタスクを洗い出します。タスクごとのスケジュールを決めるときには、関係者が多く、作業負担のあるタスクから決めるようにしましょう。
初めに作業負担のあるタスクのスケジュールを定めることで、その他もろもろのタスクの期限が必然的に決まっていきます。タスクのスケジュールを決める際は、プロジェクトに関わる人の合意をきちんととったうえで決定することを心がけましょう。
4.その他関連するタスクのスケジュールを決める
マイルストーンに沿ってタスクのスケジュールを決めた後は、その他の関連するタスクのスケジュールを決めていきます。このときにはすべてのタスクを書き出すのではなく、関係者の多い重要なタスクだけを可視化できるようにしましょう。
マスタースケジュール作成時のポイント
ここでは、マスタースケジュールを作成するときのポイントをご紹介します。
クリティカルパスを意識する
マスタースケジュールを作成するときにはクリティカルパスを意識するようにしましょう。クリティカルパスとは、前の作業工程が終わらないと次の作業工程へ進むことができないという依存関係のことを指します。
例えば新商品の開発というプロジェクトを行っていた場合、新商品の設計や予算承認が終わっていなければ、部品の発注というタスクに進めません。このような工程の前後関係を意識することが大切です。
スケジュールを考えている際にタスクの前後関係を見落としてしまうと、実行中に作業が停滞してしまいかねません。そうならないためにも、クリティカルパスを常に意識してマスタースケジュールを作成するようにしましょう。
リスクが内在していそう項目を中心に作成
マスタースケジュールを作成するときは、リスクが内在しているところを中心に作成しましょう。
マスタースケジュールはそもそも、「プロジェクトの成功のため」に作成されます。プロジェクトをうまく進めて成功に導くためには、起こりそうなリスクを回避することが大切です。
だからこそ、プロジェクトの進行に影響が出そうな項目に目星を付け、リスクが内在しているタスクを中心にマスタースケジュールを作成することが重要になります。そのタスクを中心として、その他関連するタスクを決めていくようにしましょう。
他の部署に影響するタスクのみ記載する
マスタースケジュールには、他の部署に影響するような関連タスクのみ記載するようにしましょう。マスタースケジュールを作成する目的は、プロジェクト全体を俯瞰してメンバーと共有するためのものなので、すべてを事細かに記載する必要はありません。
マスタースケジュールを作成するときには、マイルストーンを中心として、他の部署に影響するタスクや全体に共有しておきたいタスクとその期限だけを記載するようにしましょう。
マスタースケジュールはプロジェクト管理に必須
今回はマスタースケジュールの意味や目的、作り方や作成時のポイントについて解説しました。マスタースケジュールは、プロジェクトを成功まで導くためにとても重要な役割を果たすツールです。プロジェクト管理をするうえでマスタースケジュール作成のスキルは必要不可欠なので、ぜひこれを機に身に付けましょう。
マスタースケジュールを自社のプロジェクト管理に活かしてみてください!