カーボンニュートラルを目指す世界的な動きを受けて、日本でも増えつつある電気のクルマたち。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などのラインアップは国産車でも増えてきたが、幅広い選択肢がそろっているのは輸入車だ。日本ではどんなモデルが購入可能で、今後はどんなクルマが発売となるのか。日本自動車輸入組合(JAIA)の「輸入電動車普及促進イベント」にインポーターと各社のクルマが一堂に会していたので、一気にチェックしてきた。
日本で売れるクルマのうち、輸入車が占める割合は登録車全体の約1割程度。2020年の販売台数は前年比14.5%減の25万6,096台、日本メーカー車を含む輸入車全体では同8.7%減の31万7,933台だった。JAIAのティル・シェア理事長(フォルクスワーゲンジャパン社長)によると、輸入車の中でもEVおよびPHEVの販売台数は拡大傾向にあるとのこと。2020年はEVが前年比200%を超える売れ行きを示したそうだ。とはいえ、輸入車全体に占めるEVの割合は約1.1%とまだまだ少ないという。
今回のイベントでは、時間の許す限り各インポーターを回り、日本で購入できるEVおよびPHEVの情報と今後の導入モデルについて話を聞いてきた。
BMW「iX」の実車を初めて見た!
会場で驚いたのは、BMWの「iX」が展示されていたこと。日本導入が発表になったばかりのモデルだが、実物を見たのは今回が初めてだ。日本では2021年秋以降の正式発表を予定する「iX」だが、BMWでは現在、初期生産モデル「ローンチ・エディション」の予約をオンライン・ストアで受付中。バッテリーのサイズにより2種類のモデルがあり、「xDrive40」は1,155万円、「xDrive50」は1,373万円となる。バッテリー容量の大きい50の方は、フル充電での航続可能距離が600キロを超える(WLTPモード)そうだ。
日本で買えるBMWの電動車ラインアップを確認しておくと、EVは現状で「i3」のみ。PHEVは種類が多く、セダンでは「3」「5」「7」の各シリーズ、SUVでは「X3」と「X5」で選べる。今後の導入を予定するEVとしてはiXのほか、「4シリーズ」グランクーペのEV「i4」や「X3」のEV「iX3」などが控えている。
「ミニ」ブランドではSUVタイプの「クロスオーバー」にPHEVが用意されている。日本にはまだ入っていないが、ミニのEVもすでに発売済みだ。
メルセデスは「EQS」と「EQB」を導入予定
メルセデス・ベンツのEVで日本に導入済みのモデルは、「EQA」と「EQC」という2種類のSUVだ。PHEVは「Eクラス」(ガソリン/ディーゼル)と「GLC」で選択可能。つい先日、コンパクトな「Aクラス」でもPHEV「A250e」(セダン/ハッチバック)の予約受付が始まった。
本国では「EQS」および「EQB」というEVが発表済みだが、これらのモデルは日本にも導入される見通し。一方で、本国では売っている「EQV」(ミニバンの「Vクラス」をベースとするEV)については、もともと日本での展開を計画していなかったそうで導入していない。全体的な話として、メルセデス・ベンツでは2030年までに新車販売の50%をPHEVあるいはEVとする目標を掲げている。
このほかにも各インポーターに話を聞いたので、以下でお伝えしたい。中でも興味深かったのは、グループPSAジャパンに聞いたEVの売れ行きに関する話だ。
同社は「e-208」および「e-2008」という2種類のEVを取り扱っているが、これらの車種ではガソリンエンジン搭載モデルの「208」と「2008」も選べる。気になるEVの販売比率は約7%であるとのこと。輸入車全体に占めるEVの割合が1.1%だと聞いた後だからかもしれないが、これはなかなか高い比率だ。
「208」および「e-208」の発表時、グループPSAジャパンでは、「3年で3万キロを乗る想定であれば、ガソリンエンジン搭載モデルとEVは、購入~所有にかかるコストがほぼ同等」との打ち出し方をしていた。これが響いた消費者も、結構いたのではないかと想像できる。