トヨタ自動車が新型「ランドクルーザー」を発表した。世界初公開となった「“300”シリーズ」は、ステーションワゴンタイプの「“200”シリーズ」の後継モデル。フレーム構造を踏襲しながらもプラットフォームを刷新し、クルマとしての「素性」を向上させたという。

  • トヨタの新型「ランドクルーザー」

    世界初公開となったトヨタの新型「ランドクルーザー」(写真は海外仕様)。2021年夏以降、世界各地で発売予定だ

サイズは従来型を踏襲、200キロの軽量化に成功

2021年で生誕70周年を迎えたトヨタのランドクルーザー。これまでに世界で累計約1,040万台(レクサス「LX」「GX」を含む)が売れた人気のモデルだ。「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」というユーザーからの評価に応えるべく、トヨタはランクルの信頼性、耐久性、悪路走破性を鍛え続けてきた。

  • トヨタの「ランドクルーザー」

    世界で活躍する「ランドクルーザー」。砂漠を疾走する姿をテレビなどで度々目にするが、都会で見かけてもカッコいい1台だ。強力なエンジンと四輪駆動が持ち味で、初代の「BJ型」はクルマとして初めて富士山6合目までの登山に成功したモデルであるとのこと

ステーションワゴンタイプはランドクルーザー・シリーズのフラッグシップモデル。“200”シリーズの登場が2007年なので、今回の新型は14年ぶりのフルモデルチェンジということになる。

  • トヨタの「ランドクルーザー」

    こちらが現行型の「ランドクルーザー」。ボディサイズは全長4,950mm、全幅1,980mm、全高1,870mm/1,880mm。価格は482.68万円~697.4万円

“300”シリーズはフレーム構造を継承しつつ、「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー、新しいプラットフォームを核とするトヨタの設計思想)に基づく新「GA-Fプラットフォーム」を採用。フレーム自体を新設計として、軽量化と高剛性化を図った。

全長、全幅、ホイールベース、デパーチャー/アプローチアングルは従来型を踏襲しながら、重量は200キロ軽くなっている。重心は低くし、重量配分やサスペンションの構造などでも改善を実施。こうして造り込んだ新型を熟練テストドライバーやダカールラリー出場ドライバーといった評価メンバーが実路走行で評価し、オンロード/オフロードの双方で運転しやすく、疲れにくいクルマを目指した。伝統の悪路走破性を向上させるべく取り入れた新技術は以下の通りだ。

・サスペンションの基本性能(ホイールアーティキュレーション:タイヤの浮きづらさ)向上
・「E-KDSS」(Electronic Kinetic Dynamic Suspension System)の採用による接地性向上(2021年6月現在で世界初、トヨタ調べ)
・ドライバー視点で障害物を直感的に可視化できるマルチテレインモニターを採用
・走行路面を判定し、自動でモードを選択するマルチテレインセレクトを採用

  • トヨタの新型「ランドクルーザー」

    新型「ランドクルーザー」の世界初公開は、中東地域を中心にオンラインで実施。ランクルらしいやり方だ。この写真ではフロントグリルに赤と黒のバッジが確認できるが、「GR」ならではの走りを追求したモデルも存在するらしい

パワートレインは新開発のV型6気筒ツインターボエンジン(ガソリンは3.5L、ディーゼルは3.3L)を採用。ガソリンは最高出力415PS、最大トルク650Nm、ディーゼルは同309PS、700Nmだ。動力性能とドライバビリティは、従来型のV8エンジンを超えるクラストップレベルを実現したという。トランスミッションは新開発の10速オートマチック。軽量化と多段トランスミッションの組み合わせにより、従来型との比較で車両使用時の年間CO2排出量を約10%低減できる見込みだという(トヨタの試算による)。

外装ではオフロード走行時にダメージを受けにくいランプ位置やバンパー造形など、機能美を追求。インストルメントパネルは悪路でもクルマの姿勢を把握しやすい水平基調とした。スイッチ類は機能ごとにレイアウトし、形状や色などは操作性を考慮したデザインとして快適性の向上を図った。

安全装備面では最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を採用。歩行者(昼夜)や自転車(昼)を検知して衝突回避または被害軽減を図る「プリクラッシュセーフティ」に、交差点での対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者の検知機能を追加したほか、ドライバーによる回避操舵をきっかけに操舵と車線逸脱抑制をサポートする「緊急時操舵回避支援機能」や、駐車場での前後障害物や後退時の接近車両および歩行者を認識して事故防止を図る「パーキングサポートブレーキ」を新たに採用した。