過去の対戦成績は豊島竜王の18勝6敗で、現在11連勝中
第80期A級順位戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の1回戦、▲豊島将之竜王-△佐藤天彦九段戦が6月10日に東京・将棋会館で行われています。第77期名人戦七番勝負を戦った両者による元名人対決を制し、復位に向け好発進を切るのは果たしてどちらになるのでしょうか。
豊島竜王は前期6勝3敗の成績で、今期順位は2位。8勝1敗で名人挑戦を決めた斎藤慎太郎八段に5回戦で勝利したものの、ラス前の8回戦で佐藤康光九段に敗れて3敗目を喫し、挑戦権争いから脱落してしまいました。それでも最終戦で広瀬章人八段に勝利して、順位2位を確保しています。
佐藤九段は前期4勝5敗で今期順位は7位。前期は開幕から2連勝で好スタートを切ったものの、直後に3連敗。その後2連勝で立て直すも、最後に2連敗で負け越しの成績となってしまいました。
両者のこれまでの対戦成績は、豊島竜王の18勝6敗。かつては五分に近い対戦成績でしたが、現在は豊島竜王が11連勝中で大きく差がついています。2019年には第77期名人戦七番勝負で対戦し、佐藤名人相手に豊島二冠が4連勝で名人を奪取しました。
これまでは相居飛車の将棋が多かった両者の対戦ですが、直近の2戦は佐藤九段が飛車を振っています。これは佐藤九段が昨年の10月末から振り飛車を多用し始めたためです。
10時に始まった本局でも、佐藤九段は4手目に△4四歩と突いて角道を止めました。3連続で対抗形の将棋になるのかと思いきや、佐藤九段はなかなか飛車を振りません。
佐藤九段は△4三銀・△3二金と雁木の骨格を作ってから、△7四歩~△6二銀と右銀の活用を進めました。まだ陽動振り飛車の可能性は残っているものの、ほぼ佐藤九段の作戦は居飛車で確定でしょう。
△4三銀・△3二金型に組んでから中飛車に振るという作戦を、佐藤九段は5月の王位リーグ最終局で採用しています。そのため本局でも飛車を振るのだと思っていましたが、先手の構えを見てから居飛車・振り飛車を使い分ける高度な作戦だったようです。
持ち時間が6時間の本局は、日付が変わる前後に終局する見込みです。