アドビは日本時間6月8日、「Adobe Creative Cloud」の最新アップデートを発表。Apple M1搭載Macでネイティブ動作する「Adobe Lightroom Classic」をリリースしたほか、Photoshop iPad版のカスタムブラシ対応など、フォト製品の機能追加を発表した。
Lightroom ClassicのM1 Macネイティブ対応
Lightroom ClassicがM1チップに最適化された。同等のIntel Macと比較して、M1チップ搭載Mac上では、起動、読み込み、書き出し、ルーペ表示での写真の確認などほとんどの操作が約2倍の速さで行えるようになったとアピール。後述する新機能「スーパー解像度」は3倍以上、写真の一括編集は4倍以上高速化したという。
スーパー解像度を搭載(Lightroom/Lightroom Classic)
2021年3月に「Adobe Camera Raw」で導入された「スーパー解像度」が、LightroomとLightroom Classicにも搭載された。
見かけの解像度を上げて、写真の品質を向上させる処理を行うもので、人工知能により写真の解像度を4倍に高める。例えば、10メガピクセルの写真を40メガピクセルの写真に変換したり、低解像度のカメラで撮影した古い写真を大きくプリントするためにサイズアップしたりすることができる。
トリミングの縦横比を数値指定(Lightroom)
Lightroom (Mac/Win)で、トリミングの縦横比を数値で指定できるようになった。例えば「2.4 × 7.3」のように、小数点を含む数値も入力できる。
これまでLightroomでは、切り抜きの縦横比(アスペクト比)を決まったパターンから選択するほかなく、手作業で縦横比を調整してトリミングすることはできても、特定の比率を正確に指定するのは困難だった。
編集コラボレーション(Lightroom)
最新のLightroom(Photoshop Lightroom Mac/Win、iOS、Android、Web)では、アルバム内の写真にユーザーを招待し、その人が編集に参加できるようになった。直接招待を受けたユーザーは、共有アルバム内の写真を編集できるようになり、編集結果はそのままLightroomのライブラリに表示される。
参加者全員の編集履歴はドキュメントのバージョンとして、編集者の名前が付いた状態で自動保存される。異なる編集者の編集結果を切り替えたり、以前の編集結果に戻したりもできる。
プレミアムプリセット(Adobe Camera Raw、Lightroomシリーズ)
Adobe Camera Raw、Adobe Photoshop Lightroom Classic、 Adobe Photoshop Lightroom(Mac/Win、iOS、Android、Web)に、編集プリセット(定義済み編集設定)のコレクション「プレミアムプリセット」を追加した。今回Lightroom製品群に追加されたことで、すべてのアドビ フォト製品からプレミアムプリセットを利用できるようになった。
プリセットを適用することで、写真を手軽に美しく仕上げられる。プレミアムプリセットの制作は、多様なバックグラウンドを持ち、才能にあふれた現代のフォトグラファーたちが手掛け、さまざまな肌色に適したポートレート用プリセットが含まれている。
今回のプレミアムプリセットは、「ポートレート(ディープスキン)」、「ポートレート(ミディアムスキン)」、「ポートレート(ライトスキン)」、「シネマティック」、「フューチャリスティック」、「ヴィンテージ」、「トラベル」といった7つのカテゴリーを収録。今後も追加リリースを予定している。
カスタムブラシのサポート(Photoshop iPad版)
Photoshop デスクトップ版で利用されるすべてのブラシが、Photoshop iPad版でも使えるようになった。ブラシパネルの「+」アイコンをタップして使いたいテイストのブラシを検索し、ダウンロードできる。
アプリ「Adobe Capture」で、スマートフォンで撮った写真を元にブラシファイルを作ることも可能。ブラシはABRファイルとして保存したり、Photoshop iPad版に直接送ったりして用いる。
iPadのWebブラウザでAdobe.comの特集ページにアクセスし、ブラシファイル(ABR)をダウンロードしてアプリ内のブラシパネルに読み込んで使う方法もある。有名アーティストのカイル ウェブスター(Kyle Webster)氏が作ったカスタムブラシが利用できるほか、2021年9月までの期間限定で、著名アーティストのキース ヘリング氏にインスパイアされたブラシも配布中だ(Adobe Frescoでも利用可能)。
細かな改善点(Photoshop)
これまではベクター描画のみだったラインツールが、ベクターに加えてピクセル描画をサポートした。
「変形/ワープ」実行時に表示されるワープ変形のガイドライン(グリッド線)を改善。グリッド線をデフォルトでオンにするかオフにするかを選べるようになった。グリッドのサイズと線の密度はカスタマイズ可能。線の色や不透明度の調整にも対応し、作業する画像の色に応じて見やすさを向上させられる。特にパッケージデザイナーにとって重要なアップデートとのことだ。