シェアという言葉は、さまざまなシーンでよく耳にする言葉です。SNSのシェア、シェアリングエコノミー、シェアハウスなど、例を挙げると非常に多く、それぞれ「シェア」の持つ意味が少しずつ異なります。
本記事では、そんな「シェア」にスポットを当て、基本的な3つの意味についてまとめました。また、シェアの持つ意味別に関連用語もまとめて解説します。
シェアとは
シェアとは、「共有」「分配」「市場占有率」という3つの意味を持つ言葉です。共有は、対象物を複数の人と共同して持つことを指します。分配は、対象物を複数の人で分け合います。共有と分配では、1つのものを共同で持ち合うのか、1つのものを分割してそれぞれが分割後のものを持つのかが相違点です。
市場占有率とは、ある製品の売上高が市場全体に占める割合のことです。例えば、「A製品のシェアは50%を超える」といった形で使います。
シェアを使った例文
シェアの基本的な意味「共有」「分配」「市場占有率」それぞれの例文を紹介します。
【共有】
・Facebookで素敵な写真が流れてきたので早速シェアした。
・友人2人とルームシェアをはじめた。
・シェアリングエコノミーが発展しつつある。
【分配】
・人数が多い方が料理をシェアしやすく、品数も多く楽しめる。
・利益を共同経営者5人でシェアした。
【市場占有率】
・2019~2020年の清涼飲料業界において、○○会社のシェアは27.7%で1位だった。
シェアの英語表現
シェアの意味を持つ英単語は「share」で、上記で説明した基本的な3つの意味をすべて含みます。シェアを含む英語の例文もいくつか紹介します。
・Thanks for sharing. (シェアしてくれてありがとう。)
・The family was enjoying sharing their food. (その家族は、料理をシェアして楽しんでいた。)
・In the soft drink industry, Company A ranked first with a 27.7% market share. (清涼飲料業界において、企業Aのシェアは27.7%で1位だった。)
シェアを「共有」の意味で使っているケース
シェアを「共有」の意味で使っているケースを紹介します。
FacebookなどSNSでの「シェアする」
Facebookでは、情報を共有することを「シェアする」と表現します。シェアされる情報は、友達などが投稿した記事や写真などです。また、自分自身の口コミや動画などの投稿もシェアすることができます。
シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーとは、個人が保有する遊休資産(持っているだけで使っていない資産のこと)の貸出しを仲介するサービスのことです。ここでいう遊休資産は、スキルなどの無形の資産も含まれ、「シェアリング」は共有の意味で使われています。
空き部屋や不動産などの貸し借りを仲介するAirbnbや、スマホのGPSなどを活用して移動したい人と運転手をマッチングするUberなどは、典型的なシェアリングエコノミーの例です。
シェアハウスとルームシェア・シェアドアパートメント
住まいを複数の人と共有する方法には、シェアハウス・ルームシェア・シェアドアパートメントの3種類があります。シェアハウスは、1つの住宅を複数人で共有して住むスタイルのことです。一方ルームシェアは日本語でいえば「相部屋」のことで、1つの部屋を複数人で共有する居住形態になります。
シェアドアパートメントは、水回り(キッチン、バスルーム、トイレなど)を共有する住まいのことです。シェアハウスとの大きな違いは、全員が集まる共有スペースとなる「リビング」がない点です。いずれの場合も「シェア」は共有の意味で使用されています。
ソーラーシェアリング
ソーラーシェアリングとは、農地に太陽光パネルを設置して、農業を継続しながら太陽光発電を行う設備・システムのことです。固定価格買取制度(FIT)の浸透とともに普及してきた再生可能エネルギーのひとつである太陽光発電ですが、農地を効率的に利用して、農作と発電の両方から収益を得られる点が導入メリットです。
シェアアプリ
スマホアプリの中にも「シェアアプリ」と呼ばれるアプリがあります。スケジュールの共有ができる「TimeTree」や、自転車のシェアリングが可能なバイクシェアアプリ「ドコモ・バイクシェア」などのアプリはその一例です。AirbnbやUberのようなシェアリングエコノミー専用のアプリもあります。
シェアオフィス
シェアオフィスとは、狭義には企業が借りるレンタルオフィスを指します。広い意味では、オープンスペースで各人が仕事を行うコワーキングスペースも含める場合もあります。
シェアを「分配」の意味で使っているケース
シェアを「分配」の意味で使っている関連用語も多々あります。よく耳にする関連用語について、その意味を解説します。
シェアファンド
シェアファンドは、TK出資(匿名組合出資)により資金を提供し、経営者売上連動で分配金を支払うファンド(投資信託)のことです。銀行とベンチャーキャピタルの中間的な出資方法で、非上場企業への投資が可能な点が大きな特徴です。
この場合の「シェア」は、売上の中から出資者に分配金が支払われるため、「分配」という意味になります。
レベニューシェア
レベニューシェアとは、「収益分配型の契約」という意味です。IT関係のビジネスでよく見られ、開発者側が費用を負担して成果品(システム・Webサイトなど)を作成。その成果品を運用して得た収益(レベニュー)を、事前に依頼者と開発者が合意した割合で分配(シェア)する仕組みです。
ワークシェアリング
ワークシェアリングとは、多くの雇用者で仕事を分配し、1人当たりの労働時間を短縮する、という施策の名称です。雇用の維持・創出を推進するとともに、個人の労働時間が短縮することで従業員の健康維持も目的としています。
料理のシェア
1つの料理を複数の人で分け合うことです。大勢の人間で料理を分け合うことで、より多くの種類の料理が楽しめるというメリットがあります。
その一方で、新型コロナウイルス感染症が流行している間は、感染を予防するために大皿料理も小分けにすることが推奨されています。「ちょっとひと口」と相手の皿から直接シェアする行為は要注意です。
シェアを「市場占有率」の意味で使っているケース
シェアを「市場占有率」の意味で使うケースは、マーケティング関連の業務や経営会議の場などがあります。「市場シェア」・「シェア」・「シェア率」は、いずれも市場占有率の類義語です。
市場占有率は「マーケットシェア」とも称され、製品の占有率だけでなく、販売数量やアクティブユーザー数などさまざまな切り口での計測もできます。
シェアをどの意味で使っているかは文脈で判断を
シェアには共有・分配・市場占有率という3種類の意味があり、利用シーンによってその意味は異なります。一般的には「共有」という意味で使われますが、ビジネスシーンでは「分配」や「市場占有率」の意味で使うケースも少なくありません。シェアをどの意味で使っているかは、前後の文脈を判断して解釈しましょう。
シェアに関する関連用語も多く見られますが、3つのどれかの意味で使われている点は変わりません。会話の中でシェアが出てきたら、共有・分配・市場占有率のどれに当たるかを判断しながら話を注意深く聞きましょう。