トヨタ自動車はサブスクリプションサービス「KINTO」に新商品「GRヤリス“モリゾウセレクション”」を追加した。このクルマ、技術の進化に合わせてタイムリーに性能を向上させていく“進化するクルマ”で、ユーザーの特性に合わせた「パーソナライズ」も実施してくれるとのことだ。
いつでも最新のクルマが楽しめる?
「GRヤリス“モリゾウセレクション”」はトヨタが小型車「ヤリス」をベースに開発した「GRヤリス」の特別仕様車。GRヤリスの「RZ“High performance”」というグレードに、「モリゾウ」(トヨタの豊田章男社長)や「ROOKIE Racing」(豊田社長がオーナーのレーシングチーム)にちなんだデザインを施したクルマだ。
モリゾウこと豊田社長は自らGRヤリスに乗り込み、国内屈指の耐久レース「スーパー耐久シリーズ」にROOKIE Racingから参戦してきた。レースの現場ではさまざまなドライバーからのフィードバックを分析し、リアルタイムでクルマをアップデートさせていくのが普通で、ドライバーごとのパーソナライズも当たり前のこと。つまり、クルマが刻一刻と進化していくのだが、こうした「進化するクルマ」を顧客にも提供したいというのが、KINTOが始める新サービスの根本的な考え方だ。
KINTOでは「モリゾウセレクション」を契約したユーザーに対し、技術革新に合わせてタイムリーにソフトウェアの更新を実施していく。具体的には各地の「GRガレージ」(販売店)にクルマを持ってきてもらってソフトウェアをアップデートし、モリゾウセレクションの走る、曲がる、止まるといった基本性能を向上させる。アップデートの料金は月額料金に含まれる。パーソナライズの内容としては、ユーザー各自の走行データを分析し、運転の仕方に合わせてソフトウェアのカスタマイズを実施するとのこと。アップデートおよびパーソナライズの具体的なメニューは2022年春以降に発表するという。
クルマは新車として発売になった後、「年次改良」「商品改良」「マイナーチェンジ」などの改良を受けて、定期的に進化をとげていくのが普通だ。つまり、新車として購入しても、早ければ1年後くらいには「ちょっと(あるいは大幅に)進化したバージョン」が発売となるので、最新の技術を搭載したクルマに乗り続けたければ、改良版が登場するごとに買い替えていく必要があった。モリゾウセレクションのサブスクならば、少なくともソフト面での進化については、クルマを乗り換えなくてもタイムリーに享受し続けられるわけだ。
モリゾウセレクションの月額料金は8万1,840円から。ボーナス併用払いを適用することも可能だ。ちなみに、モリゾウセレクションのベース車であるGRヤリスの「RZ“High performance”」をKINTOで契約すると、月額料金は7万9,200円からとなる。2,000円ちょっとの差でソフトウェアのアップデートを随時してもらえるならば、結構お得なのではないだろうか。
「GRヤリスに乗りたいなら、買うよりもKINTOの方がお得なのでは?」。こんな質問に対し、モリゾウセレクション導入の説明会に登場したトヨタ執行役員の佐藤恒治さんは「その通り」と即答。トヨタ側としても、GRヤリスにアップデートを施すに際しては、株式会社KINTOが所有権を持つサブスクのクルマの方が、状況がよく分かっているのでやりやすいのだそうだ。KINTO社長の小寺信也さんもGRヤリスはサブスクの方が得だと言い切っていた。