仕事をする中で、至急の催促メールを出したり受け取ったりする機会は多いです。しかし、相手に失礼のない文面にするにはどうすればいいのか迷うこともあるでしょう。
本記事では、至急の基本的な意味やいつまでに対応するべきかについて解説します。また、至急の催促メールを失礼のないように出すポイントと例文についてもまとめました。至急の類語や敬語、英語などの表現についても紹介するので参考にしてみてください。
至急の意味とは
至急(しきゅう)とは、「非常に急ぐこと」「大急ぎ」という意味の単語です。かつては「特殊取扱電報」の一種である「至急電報」の意味もありました。しかし現在では特殊取扱電報そのものがなく、至急を「至急電報」の意味で使用することはほぼありません。
至急の基本的な使い方
至急は、相手に対して急ぎの対応を依頼する際使用します。
- 至急お願いします
- 至急対応願います
- 大至急ご返信ください
ただ、目上の方や取引先の顧客に対して上記の表現を使うと、直接的過ぎるので相手の気分を害する可能性があります。
失礼のないようにクッションとなる言葉を入れて相手の気持ちに配慮しつつ、明確な期限を伝えることを忘れないようにしましょう。
対義語は「不急(ふきゅう)」
至急の対義語は「不急(ふきゅう)」です。特に急がないという意味で、至急とは反対の意味を持ちます。
ちなみにコロナ禍の影響で「不要不急(ふようふきゅう)の外出は控えましょう」という表現をよく見かけますが、不要不急とは「必要ではなく、急ぎでもない用事」という意味です。
「至急」と「早急」「緊急」との違いは? 言い換え・類語を紹介
至急の言い換え・類語表現はいくつかありますので、簡単な例文とともに紹介します。
早急(さっきゅう)
「さっきゅう」「そうきゅう」と読む言葉で、至急と同じく非常に急ぐさまを表現する言葉です。「早急」と「至急」の意味の差はありませんが、「至急」の方が「早急」よりも急ぎの程度が強いニュアンスで使用されることが多いです。
【例文】
- 早急にご返信いただくことは可能でしょうか。
- 早急な対策が望まれます。
緊急(きんきゅう)
緊急とは、重大で即座に対応しなければならない様子を表現する言葉で、至急よりも切迫した状況で使われることが多い表現です。「緊急避難」「緊急事態宣言」など、急がないと身の危険がある状況にも用いられます。
急ぎの程度としては、緊急>至急>早急のニュアンスで使用されることが多いようです。
【例文】
- 関西支社でランサムウェアの被害が発生したため、緊急会議を開催して今後の対応を検討します。
- 緊急事態発生の場合は、緊急連絡用の電話番号に連絡をください。
迅速(じんそく)
物事の進み具合や行動などが非常に速いことを示す言葉です。「迅速に対応いただきありがとうございます」のように使います。
【例文】
- 依頼に対して、いつも迅速に対応いただきありがとうございます。
早速(さっそく)
速やか(すみやか)な様子を表す言葉です。至急のように催促メールで使用することはなく、単純に速やかなこと、すぐ行うことを表現します。
【例文】
- 早速ご対応いただきありがとうございます。
- 資料をご送付いただきありがとうございました。早速確認いたします。
取り急ぎ
「いそぎ」を強めていう言葉で、手紙文など書き言葉に用いられます。メールの場合にも「取り急ぎ」は使用できます。
【例文】
- 資料確かに受け取りました。取り急ぎご連絡まで。
- 取り急ぎ調査結果を送付いたしますので、障害内容をご確認ください。
「至急」とビジネスメールで書かれたらいつまでに対応すべき?
そもそも、至急と言われた場合、どれぐらいまでに対応するべきなのでしょうか。一般的なビジネスメールのマナーでは、通常のメールを受け取った後は24時間以内には返信する、としているケースが多く見られます。そのため至急メールの場合は、さらに迅速な対応が求められていると考えてください。
至急と言いながら期限の指定がない場合や、すぐに対応が困難な場合は、相手に確認し、対応期限の調整が必要です。
至急の催促メールを失礼のないよう出すポイント
至急の催促メールは、相手の心情に注意を払いつつ、必要な用件と期限を伝えなければなりません。失礼のないように至急の催促メールを出すポイントについて、まとめて紹介します。
件名には「至急」を明記して分かりやすく
メールの件名には、見出しの頭に「【至急】」と明記しましょう。メール一覧では件名のみが表示されます。件名を見ただけで至急の用件だと分かれば、相手にすぐ見てもらえる可能性が高くなります。
クッションとなる言葉を入れる
至急の催促メールを出す場合、直接的に「至急対応願います」と書くと相手にプレッシャーをかけてしまいます。クッションとなる言葉を直前に使うことで印象を和らげましょう。
クッション言葉としてよく利用されるフレーズを利用した例文を紹介します。
- 恐れ入りますが、至急ご対応いただけますでしょうか。
- 申し訳ございませんが、至急ご返信をお願いいたします。
- ご面倒をおかけしますが、至急ご連絡をお願いいたします。
- 大変恐縮ですが、メールをご覧になり次第大至急ご返信願います。
- 当方の都合で申し訳ありませんが、5時間後に会議があるため至急資料をご送付願います。
- 不躾なお願いで失礼とは存じますが、至急出欠のご返信をいただけますでしょうか。
- 厚かましいお願いとは存じますが、至急折り返しのご連絡をお願いします。
ワンクッション置くだけでも、「至急のお願い」を直接伝えるのに比べて柔らかい表現になります。
返答期限と急ぐ理由を明記
期限を設けず、急ぐ理由もないまま「至急お願いします」と連絡すると、相手もいつまでに対応すればいいのか分からず困惑します。
期限は日時も含めて明確に伝え、以前にも依頼していた内容なら、依頼内容も再掲してください。今回送付する催促メールだけで相手が対応できるように情報をそろえましょう。
依頼内容とは直接関係ありませんが、急ぐ理由を明記することで対応してもらいやすくなります。「会議が3時間後に始まるので、2時間以内に対応してほしい」と明記すれば、相手にも切迫した状況が伝わります。
至急を他の敬語表現に言い換えるべき場合も
単純に「至急対応願います」という表現は、「願います」という言葉はついていても、かなり強く聞こえてしまいます。しかし「至急」という言葉そのものの敬語表現はありません。
そこで、至急という表現を使わず「優先して進めていただくことは可能でしょうか」という表現で、相手の都合を考慮し、敬語も含めた表現に変えてみてください。相手の都合を伺う形なら、相手も現在の都合を返信しやすくなります。
最後に相手の都合に配慮した文言を追記
至急の催促メールは、最後に相手の都合に配慮した文言を付け加えることで、相手の受けるプレッシャーを軽減できます。「この期限でご都合が悪い場合はご相談ください」といった表現は、相手が期限どおりに対応できない場合に連絡しやすくなる一文です。
至急の催促メールを失礼のないよう出すポイントを確認できたら、次に例文で、催促メール全体の流れを把握しましょう。
至急の催促メール例文集
社内・社外、上司、部署全体など送信先ごとに使い分ける、至急の催促メールの例文を紹介します。
取引先(社外)に宛てた至急の催促メール例
件名:【大至急】Re:【5/28 13:00まで】5月分請求書の提出
株式会社ABC IoT事業部 流通第1G 後藤課長
いつも大変お世話になっております。
株式会社DEF 経理部の冨岡です。
もしも本メールと行き違いでしたら申し訳ございません。 先般提出を依頼しておりました請求書ですが、現在のところまだ確認できておりません。
弊社の都合で大変恐縮ですが、本日15:00までに送付いただかないと、支払処理が遅れ、御社への入金も遅れる恐れがございます。 恐縮ですが、優先してご対応願えますでしょうか。
何か事情がおありでしたら、ご一報いただけますと幸いです。
月末でお忙しい中大変申し訳ございませんが、ご確認いただけますと幸いです。
上司・先輩(社内)に宛てた至急の催促メール例
件名:【至急】Re:目標管理シートの承認依頼
第1営業部 第1G 村田課長
お疲れ様です。 第1営業部 第1G の木村です。
行き違いになっていましたら申し訳ありません。
先日承認をお願いしていました目標管理シートですが、システムを確認したところまだご承認いただけておりません。
お忙しい中大変恐縮ですが、全社の期限が明日に迫っているため、至急ご対応いただきたく、本日中の承認をお願いいたします。
お忙しい中お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
部署全体(社内)に宛てた至急の催促メール例
件名:【至急】【提出期限5/31 15:00】Re:従業員満足度調査シート提出
社会基盤開発部 開発第2G 御中
お疲れ様です。 人材開発部 人材開発課 木下です。
従業員満足度調査シートの提出期限5/26を過ぎておりますが、提出率が悪い状況です。
大変恐縮ですが、未提出の方は5/31 15:00までに至急ご対応願います。
すでに対応いただいている方に本メールを送信しておりますことご了承ください。
お忙しい中お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
同僚(社内)に宛てた至急の催促メール例
件名:【至急】Re:5/28セキュリティ機能のコードレビュー依頼
開発第2G 高橋様
お疲れ様です。
開発第2G 須藤です。
本日15時より19FA会議室で開催予定のコードレビューですが、参加可能でしょうか。
準備の都合があるため、参加の可否について14:00までに至急ご連絡ください。
お忙しい中お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
至急の英語表現
「至急」を表現する英単語やフレーズには以下があります。
- urgently
- at once
- as soon as possible
- immediately
- promptly
至急を含んだ例文も紹介します。
・Please send it as soon as possible.
(至急送付願います。)
・Please take immediate action.
(至急の対応をお願いいたします。)
至急の意味や早急・緊急との違い、催促メールの出し方を知っておこう
「至急」の催促メールを出す場合は、相手に失礼のないように表現を工夫するとともに、いつまでに何を催促するのかを明確に記載することが重要です。
至急の催促メールが作成できるようになると、仕事もスムーズに進みます。特に「至急対応願います」など、直接的に「至急」を使うと強い表現になりすぎる場合もあるので、言い換えや類語を使うなど、表現を工夫しましょう。