メルセデス・ベンツ日本は「EQA」という新しい電気自動車(EV)を発売した。サイズは日本でも扱いやすい手ごろな大きさで、フル充電で422キロ(WLTCモード)と航続距離も十分。値段は640万円ということだが、メルセデスというブランドを考えればEVの入門編としてぴったりなクルマなのではないだろうか。
ちょうどよくて気持ちいいベンツのEV
EQAのボディサイズは全長4,465mm、全幅1,835mm(AMGラインというオプションを装着すると1,850mm)、全高1,625mm。幅は1.8mを少し超えているが、日本の道路でも扱いやすいサイズ感だ。搭載するバッテリーの容量は66.5kWhで、フル充電での航続可能距離は422キロ。発売済みのEV「EQC」が80kWhで400キロだったから、EQAの方が距離は長い。おそらく、EQCよりも車重が軽いから長く走れるのだろう。
アクセルをゆるめた時に働く「回生ブレーキ」の強さは4段階で調節可能。ステアリングの後ろにあるパドルの左側を引くと回生は強まり、右側を引くと弱まる。最も回生ブレーキの弱い「D+」はコースティングで、最も強い「D--」にするとアクセルペダルだけでもかなりの減速が得られる。回生の強さを自動で調節してくれる「D Auto」というモードも選択可能だ。
実際に乗ってみると、「D Auto」の制御がかなりきめ細かいので、一般道も高速道路もコレ一本でかなり快適に走ることができた。前のクルマとの車間距離や道路状況を見ながら、回生の強さを最適に選んでくれているのがはっきりとわかるのだが、強弱の切り替えに唐突な感じが全くないので、ごく自然に運転できる。走り出しの加速は力強いし、車線変更などで加速が必要な際もスイスイと行ってくれる感じで気持ちがよかった。車体は大きくないし、目線が高いので運転しやすい。
メルセデス・ベンツ日本では「EVは初めて」というユーザーにも安心して購入してもらおうと、なかなか手厚いサポートを用意している。こんな内容だ。
・保険料、税金、メンテナンス費用をまとめて月々定額にできる「メルセデス・スタイル」を用意。
・新車購入から5年間または走行距離10万キロのいずれか早い方まで、一般保証修理/定期メンテナンス(点検整備の作業工賃・交換部品)/24時間ツーリングサポートを無償提供する保証プログラム「EQケア」を適用。高電圧バッテリーについては、8年または16万キロ以内で、サービス工場の診断機でバッテリー残容量が70%に満たないと診断された場合の保証を付帯。
・EQケア期間中、希望のモデルを5回無料で利用できる貸出サービス「シェアカー・プラス」が利用可能。
・納車時に専用の充電カードを提供。全国約2.1万基の提携充電ネットワークで充電可能。充電利用料および月額基本料は1年間無料。
・6.0kW(30A)対応の交流普通充電器本体を無償提供。設置費用の負担軽減のため10万円のサポートを実施。
もちろん国産EVに比べればEQAは高いが、そもそもメルセデスを買うのであれば国産車よりも大概は高いわけだし、EVだから補助金も出るので、このクルマでEVデビューというのも(予算さえ許せば)結構なものなのではないだろうか。