「シンポジウム」は「公開討論会」や「研究発表会」などを意味する言葉です。ひとつの議題に対して複数人の研究報告や意見を聞けるのが、シンポジウムの大きな魅力と言えます。ただ、「パネルディスカッション」や「フォーラム」といった混同しやすい言葉もあるので、それぞれの意味をしっかりと把握しておきたいところです。
そこで本記事では、「シンポジウム」の正しい意味や使い方についてくわしく解説していきます。類語との違いも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
シンポジウムの意味とは
シンポジウムは公開討論会や研究発表会という意味がある言葉です。一つの決められたテーマを議論しますが、関係者のほかに第三者となる聴衆を招いて公開討論をするのがシンポジウムの特徴と言えます。
シンポジウムの語源
シンポジウムの語源は、酒宴を意味するギリシャ語「symposion(シュンポシオン)」とされています。プラトンの著書『饗宴』は、宴の参加者が対話の中で順々に「愛」を論じるという形式で書かれていたことから、この作品以来、和やかなムードで議論することを「シュンポシオン」と呼ぶようになったそうです。
また、英語ではシンポジウムを「symposium(シンポジアム)」と表現します。
【例文】
I attended the symposium.(私はそのシンポジウムに参加した)
シンポジウムの進め方
シンポジウムは、以下のような流れで進められるのが一般的です。
1.基調講演
参加した各シンポジスト(登壇者)が決められたテーマに関する研究結果や考えを発表します。
2.質疑応答
質疑応答では、登壇者だけでなく聴衆も質問できます。
テーマが同じであれば発表の内容は問わないため、さまざまな切り口の研究報告や意見を聞くことができます。
シンポジウムとパネルディスカッションの違い
パネルディスカッションとは、「パネラー」や「パネリスト」と呼ばれる複数の参加者が各自の意見を発表したあとで議論を進める集団討論方式のことです。
基本的には進行役が参加者に質問を投げかけながら進行していきます。また、パネラー同士の質疑応答をふまえながら、問題点や共通点などを明確にします。聴衆からの質疑応答はありません。
シンポジウムとフォーラムの違い
フォーラムとは「発表者と聴衆の全員が討論を行う場」のことです。正式名称は「フォーラムディスカッション」で、古代ローマ時代の「公共広場」を指すラテン語「フォルム(forum)」が語源とされています。
シンポジウムも異なる意見を交換しながら議論を進めますが、明確な答えは求めません。一方、フォーラムでは議題に対する答えを明確にしていきます。
古代ローマの公共広場で行われていた集団討論では、最終的に多数決で賛否を明確にしていました。近年でも、多数決で結論を明確にするケースは少なくありません。
シンポジウムとカンファレンスの違い
カンファレンスは「会議」や「協議会」のことを指します。特定の組織に属する当事者だけが参加でき、第三者にあたる聴衆はいません。基本的な流れはシンポジウムと同じです。
重要なテーマを議論する際に開催されることが多く、ビジネスシーンでは目的に応じて「経営カンファレンス」などのように呼ばれます。なお、カンファレンスの類語「ミーティング」は、比較的少人数の会合を指す言葉です。
シンポジウムとディベートの違い
ディベートとは、提示された主題に対する「肯定派」と「否定派」に分かれて討論をすることです。シンポジウムとは違って「選択肢が2つ」と決まっているため、課題に対する是非を明確にしたいときなどに実施されます。
論理性や説得力、わかりやすさなどが求められるため、議論のトレーニングとして行われることもあります。
シンポジウムとセミナーの違い
セミナーとは「ひとつのテーマに対して専門家が講習を行う場」のことです。「参加者が能動的に学ぶ場所」という意味合いが強いため、意見交換が目的のシンポジウムとは開催目的が全く異なります。
一般的には、複数人の講師がテーマに関する知識や研究結果を発表しながら進行していきます。参加者の人数はシンポジウムなどに比べると少なめです。
あくまでも参加者が学ぶために開催されますが、参加者による質疑応答や、講師と参加者がコミュニケーションをとる時間が設けられているセミナーもあります。場合によっては講師と参加者が討論をします。
シンポジウムとワークショップの違い
ワークショップとは、参加者同士の意見交換を目的に開催される研究集会です。シンポジウムでは登壇者の発表や議論が主体になりますが、ワークショップの主体は参加者です。そのため、シンポジウムよりも参加者の声を共有しやすいという特徴があります。
参加者が少人数の場合は、各自が発言したあとで参加者全員での討論に進みます。最終的には進行役が意見を一つにまとめて結論を明確にするのが一般的です。
意見がまとまりにくい場合は複数のグループに分かれて結論を出し、意見を減らしたうえで討論を進めます。
シンポジウムとレクチャーの違い
レクチャーとは、参加者が学ぶことを目的として開催される会合です。開催目的はセミナーと同じですが、レクチャーでは質疑応答の時間を長く設けているため、討論会に近いスタイルで会合が進行していきます。質疑の内容によっては、参加者を含めた本格的な議論に発展するケースもあります。
結果が求められるような討論になった場合は、進行役が意見をまとめたり、多数決によって答えを明確にしたりするのが一般的です。
シンポジウムと講演会の違い
講演会とは、「一つの主題に関して登壇者が講演を行う場」のことです。基本的には登壇者が参加者に向けて一方的に語るスタイルで進行します。参加者数は多く、500人以上の大規模な講演会が開催されることもあります。
参加者の「学びの場」として開催されるため、シンポジウムやセミナー、レクチャーなどと異なり、登壇者と参加者が討論する時間は設けられていません。質疑応答の時間が設けられている講演会もありますが、議論には発展せず、質問に対する返答に終始するケースがほとんどです。
シンポジウムと座談会の違い
座談会とは、「4人~10人程度の少人数で話し合いを行う場」のことです。主な目的は参加者全員の交流になります。「主題に対して参加者全員が気軽に話し合える場」というイメージです。進行役は決まっていませんが、主催者や任意の参加者が進行役を務めることもあります。
シンポジウムとは違って登壇者がとくに決まっていないため、意見や研究結果の発表はありません。なお、参加者が多い場合は、いくつかのグループに分かれて話し合いを進めることもあります。
シンポジウムと類語の違いをしっかり理解しよう!
シンポジウムは公開討論会や研究発表会などを意味する言葉です。パネルディスカッションやフォーラムのような類語と混同しやすいので、意味の違いを理解して、正しく使い分けられるようにしましよう。
シンポジウムでは数多くの参加者が討論を行いますが、聴衆にもさまざまな知見を得られるという意義があります。気になるテーマや登壇者がいるシンポジウムを見かけたら、ぜひ参加してみてくださいね。