社会に出て楽しみなのが、毎月の給与とは別にもらえる「ボーナス」でしょう。夏と冬の年2回支給されることが多いボーナス。新入社員のみなさんも、ボーナスはいつから、いくらもらえるのか気になっているのではないでしょうか。そこで今回は、新入社員のボーナス事情や、ボーナスの平均支給額などについて解説しました。
■ボーナスとは
ボーナスとは、毎月の給与とは別に支給される「特別な給与」のことで、「賞与」とも呼ばれています。夏と冬の年2回支給されるのが一般的で、多くの企業では、夏は6月下旬~7月上旬、冬は12月上旬が支給時期となっています。ただし、毎月の給与と違い、ボーナスは法律で支給が義務付けられているものではありません。そのため、そもそもボーナスがもらえない会社も少なくないのです。
では、ボーナスがある会社では、いつから支給されるのでしょうか。会社がボーナスを支給する際、その金額を決めるために、従業員がどれほど活躍したのかという「査定」を行います。査定を行う対象期間のことを「査定期間」と言い、夏のボーナスは前年度の10月~3月、冬のボーナスは支給される年度の4月~9月に設定されているのが一般的です。
ボーナスではなく「寸志」が支給される会社も
新入社員の場合、夏のボーナス査定期間にはまだ入社していないため、夏のボーナスはもらえず、冬のボーナスから支給されるというケースが多いようです。ただし、ボーナスはもらえない代わりに、「寸志」として少額が支給される企業もあります。寸志とは、「少しばかりの心遣い」を意味する言葉。つまり、ボーナスには満たないけれど、日ごろの働きをねぎらい、今後の活躍を期待する意味で会社から新入社員へ渡される「少しばかりのボーナス」といったところでしょう。
一般的なボーナスの支給額は、給与の2カ月分という会社が多いですが、寸志は、金額にして5~10万円程度です。産労総合研究所の「2020年度 決定初任給調査」によると、新入社員へ何らかの夏季賞与・一時金を支給すると回答した企業は85.6%にのぼり、その支給額の平均は、大学卒で9万6,735円、高校卒で7万4,307円でした。ボーナスとして考えてしまうと少なく感じますが、たとえ数万円でも、まだ戦力ではない新入社員にも支給されるなら、ありがたいですし、嬉しいですよね。
公務員はボーナスが必ず支給される
ちなみに、公務員の場合、新入社員であっても必ず夏のボーナスが支給されます。金額は、給与の2カ月分の3割程度と通常のボーナスより低いですが、はじめから必ずボーナスがもらえると決まっているのは、うらやましい限りです。
■ボーナスは平均いくらもらえる?
では、ボーナスは、平均してどのくらい支給されるのでしょうか。国税庁の「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の、1年間で受け取る賞与の平均額は70万円(男性91万円、女性43万円)でした。ボーナスの支給額が、一般的には給与の2カ月分であることを考えると、少なめに感じるかもしれませんね。
出典 : 国税庁 「令和元年分 民間給与実態統計調査」
事業所の規模別に見た平均額
また、ボーナスは、企業規模や最終学歴などによっても平均支給額が異なります。厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和2年夏季賞与の結果」によると、事業所の規模別の労働者一人平均賞与額は、以下のようになりました。
・5~29人 27万4,523円
・30~99人 33万5,961円
・100~499人 41万8,274円
・500人以上 63万3,853円
このデータで比較すると、事業所の規模が大きくなるほど、ボーナス額が上がっていることがわかります。事業所の規模が「5~29人」と「500人以上」では、40万円弱もの差がありました。
出典 : 厚生労働省 「毎月勤労統計調査 令和2年夏季賞与の結果」
学歴別に見た平均額
では、学歴別ではどうでしょうか。厚生労働省の「令和元年 賃金構造基本統計調査」から、学歴別の「年間賞与その他特別給与額」の平均を見てみましょう。
・高校卒 70万4,200円
・高専・短大卒 82万9,400円
・大学・大学院卒 134万7,900円
学歴によっても、ボーナスに大きな差がありました。大学・大学院卒のボーナス支給額は、高校卒の約2倍にも及んでいます。ちなみに、企業規模や学歴だけではなく、業界によってもボーナス水準は異なります。
出典 : 厚生労働省 「令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
新入社員の冬のボーナスの平均は?
では、多くの新入社員にとって初めてのボーナスとなる冬のボーナスは、平均してどのくらいなのでしょうか。実は、その金額は企業によってバラバラです。「新入社員には一律で○万円」のように支払われる会社もあれば、給与の2カ月分が支払われるところ、また、特に中小企業では、「新入社員にはボーナスなし」の会社もあります。多くの会社員にとって、本格的なボーナスが期待できるのは、入社2年目から。新入社員のうちは、「ボーナスがなくても仕方ない」「もらえたらラッキー」程度に考えておくのがいいかもしれません。
■入社1年目はボーナスを期待しすぎない
日々一生懸命働いているごほうびとして、ボーナスは待ち遠しいもの。しかし、特に入社1年目の場合、ボーナスに期待しすぎないことが大切です。まずは、仕事を覚え職場に慣れることを意識しましょう。そのうえで、スキルアップを目指し、成果をあげていくことがボーナスアップのポイントです。また、せっかくもらったボーナスや寸志は、無駄遣いせず、有意義に活用しましょう。特に、独身のうちは、自己投資などにお金が使えるチャンスです。資格取得費用に充てる、仕事で使う身の回りの品を揃えるなど、ベストな使い道を考えましょう。