映画『いのちの停車場』(5月21日公開)の全国公開記念舞台挨拶が1日に都内で行われ、吉永小百合、広瀬すず、田中泯、成島出監督が登場した。

  • 左から成島出監督、広瀬すず、吉永小百合、田中泯

    左から成島出監督、広瀬すず、吉永小百合、田中泯

同作は都内の終末期医療専門病院に勤務する現役医師でありながら、作家として活躍する南杏子の同名小説の実写化作。救命救急医として、長年大学病院で患者と向き合ってきた咲和子(吉永)は、とある事情から石川県にある父の住む実家へと戻り、在宅医療を通して患者と向き合う「まほろば診療所」に勤めることになる。

4月25日より発令された緊急事態宣言により、東京、大阪などの主要都市の映画館が営業休止となっていたが、1日から映画館が再オープンすることに。主演の吉永は「今日は『いのちの停車場』東京の初日に来て下さいまして、本当にありがとうございます。なんとかして映画館を開けていただけないだろうか、映画館で映画を見ていただくことができないんだろうかと思い悩みました」と心境を吐露する。「スクリーンからは飛沫は飛びません。お客様同士が話をすることもほとんどなくなっています。そういう中で映画の制作者の方たち、私たち現場で作る側、興行主の方々が映画館を開場して欲しいという声を上げました。マスコミの方達もとても応援して下さり、映画ファンの皆様も待ってるよと言ってくださいました」と状況を説明。「このような形で映画を見ていただきますこと、東京・大阪がオープンしたこと、本当に本当に嬉しく思っております」と頭を下げた。

広瀬は「本当に、東京の初日に足を運んでくださった皆さんありがとうございます」と喜び、「映画が完成した時以来に、お客さんの前で立たせてもらえて、映画を届けられたことが肌で感じられ、今この瞬間がすごくすごく嬉しいです。なんか、嬉しいです」と照れ笑いを浮かべる。「もっともっとこれから大勢の方に、一人でも多くの方にこの映画が届いて欲しいという気持ちでいっぱいです」と語った。

田中は「映画は作られたものですが、おそらく皆さんの前では絶対にライブな物になっていると僕は信じています。皆さんがここに運んできた体と一緒に、皆さんの人生と日常がここにやってくるわけです。これが画面と合流するという素晴らしい時間だと思います」と観客に話しかける。成島監督は「こうやって東京・大阪で幕が開いて、劇場に皆さんが来ていただいて、本当に感無量です。『映画というのはお客さんに見ていただいて初めて完成する』という、活動屋の言葉がありまして、今日はその日を東京で迎えることが出来て、本当に胸いっぱい嬉しく思っています」と喜びを表した。

感染対策をしながら、地方での舞台挨拶も行っていたキャスト陣だが、吉永は「心残りは、1度もすずちゃんとお食事ができなかったこと。仕事終わって帰ったらお部屋でルームサービスというのが続きましたので……」と残念がり、広瀬も「行ってその日に帰ったりして、お仕事以外で一緒に過ごせる時間が他のキャストの方も含めなかったので……」と2人で顔を見合わせる。「今度いつかね」と言う吉永に、広瀬は「ぜひ!」と応えていた。

最後に吉永は「とても幸せです。でも、他の職業ではまだまだ苦しい思いをしてらっしゃる方たちがたくさんだと思います。飲食関係の方とか、様々なお仕事の中で本当に苦労してらっしゃるということをいろいろなもので見聞きしております。1日も早くこういう状況からいい状況になりますように、少しずつ私たちも努力していかなければいけないと思います」と他の業界のことも慮る。「私が映画の中ですずちゃんを思いっきりハグしたように、皆が抱き合ったり握手したりできますように」と祈っていた。