「ご迷惑をおかけしました」は、仕事などでほかの人に迷惑をかけてしまった場合に申し訳ない気持ちを表現するときに用いられる言葉です。また、手助けしてもらったときにお礼の気持ちを込めて使われることもあります。しかし、この言葉だけで申し訳ない気持ちをきちんと伝えられるのかなど、気になる人もいるでしょう。

そこで本記事では、「ご迷惑をおかけしました」のビジネスシーンでの正しい使い方・例文、類語表現などをご紹介します。

  • 「ご迷惑をおかけしました」の意味と成り立ち

    「ご迷惑をおかけしました」の意味や使い方を紹介する記事です

「ご迷惑をおかけしました」の意味とは?

「ご迷惑をおかけしました」とは、ほかの人に迷惑をかけてしまった際に謝罪やお礼の気持ちを表す言葉として用いられます。あらたまった言い回しですので、ビジネスで取引先などに謝罪するケースなどでよく使われます。

「ご迷惑」は尊敬の気持ちを表す接頭語の「ご」が名詞の「迷惑」についた言葉です。「迷惑」とは「ある行為が原因で、ほかの人が不利益を受けたり不快に感じたりすること」を表します。

「おかけしました」とは、動詞の「かける」と、謙譲語表現の「お~する」の過去形を組み合わせた言い回しです。この場合、「かける」は「望ましくないことや不都合なことなどを自分以外に与える」ことを表します。

つまり「ご迷惑をおかけしました」とは、「自分の行為が原因で不都合なことになってしまいました」という意味があり、自分の非を認めて謝罪するときによく用いられる言い回しです。

上司など目上の人に使える敬語表現?

「ご迷惑をおかけしました」は、「ご迷惑」という尊敬語表現と、「おかけしました」という謙譲語表現を組み合わせた表現です。敬語を用いた丁寧な言い回しであり、上司や取引先など目上の人に使っても問題ありません。

  • 「ご迷惑をおかけしました」の意味と成り立ち

    「ご迷惑をおかけしました」は謝罪でよく用いられる敬語表現です

ビジネスシーンでの「ご迷惑をおかけしました」の使い方・例文

「ご迷惑をおかけしました」はビジネスでよく使われる表現ですので、具体的な使い方を覚えておくと便利です。「ご迷惑をおかけしました」の使用例をご紹介します。

謝罪やお詫びをする場合

・このたびは私が至らなかったせいでご迷惑をおかけしました
・ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます

「ご迷惑をおかけしました」は、ビジネスシーンでは謝罪するときによく用いられる言葉です。上司や取引先などあらたまった言葉遣いが求められる相手に対して用いても問題ありませんので、使い方をよく覚えておきましょう。

メールだけでなく年賀状でも使える

昨年は多くのご迷惑をおかけいたしました。本年こそお力になれるよう尽力いたしますので、何卒ご指導のほどよろしくお願いいたします

「ご迷惑をおかけしました」は日常的な謝罪文以外にも、年賀状の添え言葉として用いるにもおすすめの言葉です。上記の例はたくさん迷惑をかけてしまった上司に昨年のことを詫びつつ、今年の意気込みを伝える場合に使えます。

失礼と思われる使い方

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします

「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」という表現を目にしたことがあるかもしれませんが、この言葉は「相手に迷惑がかかることを知りながら、依頼をしている」ということになります。相手によっては失礼だと受け取られる場合があるので、使用する際には注意が必要です。

ご迷惑をおかけして申し訳ございませんと使うことも多い

「ご迷惑をおかけしました」と、謝罪を表す「申し訳ございません」をあわせて「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」と使うことも多いです。どちらを使っても問題ありません。

この度は、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした

  • 「ご迷惑をおかけしました」の使用例

    「ご迷惑をおかけしました」は会話や挨拶文などで使われることがあります

「ご迷惑をおかけしました」の類語・言い換え表現

「ご迷惑をおかけしました」はビジネスでよく使われる謝罪文のひとつ。似た言い回しも多いですので、状況に応じて使いわけましょう。「ご迷惑をおかけしました」の類似表現には、下記のようなものがあります。

お詫び申し上げます

「お詫び」とは、謝罪を意味する「詫び」という言葉に接頭語の「お」がついた丁寧な表現です。「申し上げます」は「いう」の謙譲語である「申し上げる」に丁寧語の「ます」をつけています。

つまり「お詫び申し上げます」は「ご迷惑をおかけしました」と同様、相手に謝罪したい場合に使われる表現であり、ビジネスシーンでの使用頻度が高いです。

関連記事: 「重ねてお詫び申し上げます」の正しい使い方・例文や言い換え表現を紹介

ご不便をおかけしました

「ご不便」は、「不便」という名詞に丁寧語の「ご」をつけた表現です。「不便」とは「便利ではないことや都合の悪いこと」などの意味があります。

「ご不便をおかけしました」とは相手に不便さや不都合さを感じさせてしまったことを認めて詫びる表現で、「ご迷惑をおかけしました」と同じように謝罪で使われます。

弁解の余地もありません

「弁解の余地」とは、「言い訳や自己弁護ができるような論理的な余裕」のことで、「弁解の余地がない」という表現で用いられることがほとんどです。

「弁解の余地もありません」とは、何らかのトラブルがあった場合に、相手に非はなく一方的に自分が悪い状況で用いられる謝罪の言葉です。「ご迷惑をおかけしました」よりは重い謝罪で使われることが多いでしょう。

お手数をおかけしました

「お手数」とは、「他人のためにかける手間」を表す言葉です。「お手数をおかけしました」は、「お手をわずらわせてしまいました」という意味があり、相手の手間や時間を取らせてしまった場合に使われることがあります。

「ご迷惑をおかけしました」と同じように謝罪に用いられることがあるのはもちろん、相手に対する気遣いを表現する場合にも使われる言葉です。

関連記事: 「お手数をおかけしました」の意味とは? 使い方・例文や言い換え表現も紹介

ご面倒をおかけしました

「面倒」には、「手間がかかったり、解決が難しかったりして、わずらわしいこと」という意味があります。「ご面倒をおかけしました」は、「お手数をおかけしました」と同じように相手の手を取らせてしまった場合に用いられることがある謝罪表現のひとつです。

「ご迷惑をおかけしました」と少し用いられるシーンが異なるものの、謝罪という意味では共通しています。

ご心配をおかけしました

「心配」には、「先行きを気にして、心を悩ますこと」「気にかけて面倒をみること」などの意味があります。「ご心配をおかけしました」とは、気にかけてくれた相手に対して謝罪やお礼を述べる場合に用いられる表現のひとつです。

「ご迷惑をおかけしました」が使われるのは直接迷惑をかけてしまった場合ですが、「ご心配をおかけしました」は手をわずらわせる程ではなかったものの、心配させてしまったときに使われます。

関連記事: 「ご心配をおかけしました」の正しい使い方とは? 例文や類語とともに解説

  • 「ご迷惑をおかけしました」の同義・類語表現

    「ご迷惑をおかけしました」にはさまざまな類語表現があります

「ご迷惑をおかけしました」の英語表現

取引先や顧客などと英語で連絡を取る機会があるなら、「ご迷惑をおかけしました」の英語表現も知っておくといいでしょう。「ご迷惑をおかけしました」の英語表現をご紹介します。

「troubled 」「trouble」を使った言い回し

I am sorry that I have troubled you
I have caused a lot of trouble for you

「trouble」には、「心配」「苦労の種」「問題点」などの意味がありますので、「ご迷惑をおかけしました」の英語表現に使われることがあります。さまざまな言い回しがありますので、状況に応じて使いわけてください。

「cause」を使った言い回し

I caused you trouble and inconvenience
I am sorry for the inconvenience we have caused

「cause」には「原因」「理由」などの意味があります。「私のせいで」「私が原因で」などと原因を伝えながら「ご迷惑をおかけしました」と述べる場合によく用いられます。

  • 「ご迷惑をおかけしました」の英語表現

    「ご迷惑をおかけしました」の英語表現には「trouble」などを使いましょう

「ご迷惑をおかけしました」はメールでも使える言葉

「ご迷惑をおかけしました」は、迷惑をかけてしまった相手に対して謝罪やお礼の気持ちを表す場合に用いられる表現。敬語表現になっていて目上の人にも使えますので、ビジネスシーンでの使用頻度も比較的高いです。対面だけでなくメールでの謝罪やお詫びをする際にもよく使われます。

「お詫び申し上げます」「お手数をおかけしました」など、似たような状況で使われる謝罪の言葉も多いので、違いを理解して使い分けることが大切です。ビジネスシーンで謝罪が必要となった場合などに失礼なく口にできるよう、「ご迷惑をおかけしました」という言い回しの意味を理解して、覚えておきましょう。