藤枝喜輝「松坂桃李さんのようなお芝居を」スピンオフ主演で学ぶ日々

テレビ朝日系ドラマ『あのときキスしておけば』に登場する“大人気漫画”『SEIKAの空』がスピンオフ作品として実写化し、TELASAで配信開始された。選ばれし勇者たちが、魔王から平和を取り戻すために立ち上がる――というあらすじは王道少年漫画のようだが、コスプレのような野菜モチーフの衣装に、勇者のちょっぴりブラックな労働環境を描くなど、ヨーロッパ企画・角田貴志脚本の遊び心が光る、スピンオフの域を超えた挑戦的な作品となっている。

主人公の勇者・浪流キャベ次郎役に抜擢されたのは、本編で三浦翔平と共に『SEIKAの空』作者の蟹釜ジョーを担当する編集者・木之崎眞を演じる、俳優の藤枝喜輝。この春高校を卒業し、今後さらなる活躍が期待される藤枝が、本編・スピンオフの撮影現場でのエピソードや、共演する先輩・松坂桃李や三浦への思いを語った。

俳優の藤枝喜輝(C)テレビ朝日・MMJ

――『SEIKAの空』が実写化されると聞いたときの感想を教えてください。

ドラマ本編で出てくる漫画を見ていて、『SEIKAの空』が実写化したら面白いだろうな、どんなストーリーになるんだろうな、と思っていました。実写化が決まり、しかも主人公のキャベ次郎を演じると聞いた時には「僕が主人公!?」と一気に不安になりました。でも、原作に忠実な衣装を見て、気合いが入りました! キャベ次郎の衣装を着ていると、自然とパワーが湧いてきます。

ちなみに、キャベツは好きです。焼肉屋さんで出てくるようなしょっぱいドレッシングをかけて食べるのが好きですね。レタスも好きです!

――印象に残っているシーンはありますか。

「ネオセイカ城」の前でモヤオ(松坂)に殴られるシーンです。キャベ次郎とモヤオが初めて気持ちをぶつけ合う大事な場面なので、撮影前からすごく緊張していました。

松坂さんに「とにかく楽しむことだよ」とアドバイスをいただいて。松坂さんが全力で感情をぶつけてお芝居してくださったので、僕も感情を全開にして臨むことができました。

――松坂さんは同じ事務所の先輩ですが、藤枝さんから見た魅力を教えてください。

本編3話の、桃地(松坂)が巴(麻生久美子/井浦新)のお母さんに会いに行くシーンの松坂さんがすごく長台詞だったんです。僕は撮影がない日だったのですが、どうしてもこのシーンを見たくて、見学に行かせていただきました。モニター越しに見ていても、一言一言に桃地の繊細な感情を感じて、泣きそうになってしまって。僕も松坂さんのような丁寧なお芝居ができるようになりたいと思いました。

松坂さんの常に全体を見られる視野の広さは本当にすごいです。出演者全員に気を配っていて、現場での立ち振る舞いも勉強させて頂いています。

――そのほかの共演者とのエピソードがあれば教えてください。

落ち込んだり怒ったりする芝居で、あまり感情が出せなくて苦戦していたんですが、現場で三浦さんや井浦さんが優しく教えて下さいました。お2人は「キャベ」「キャベツ」と呼んで下さり、すごくうれしかったです。

ギターを弾いているという窪塚(愛流)くんには「どんな曲を弾いているの?」と聞いたら、菅田将暉さんの「さよならエレジー」だと教えてもらって。僕もギターで練習中なので、「今度一緒に練習したいね」と盛り上がりました。

――撮影現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。

本編2話では、僕が三浦さんに泣きつくというシーンがあったのですが、貴島(彩理)プロデューサーから「三浦さんに甘えたらいいんだよ」とアドバイス頂いて、思い切って抱きついてみたんです。台本に書かれていないことをやってみるのは初めてで、ほんの少しですけど殻を破れた気がしました。「ガツガツいっていいのかな」「お芝居を崩しちゃわないかな」と遠慮していた部分もあったのですが、三浦さんが受け止めてくれてすごく有り難かったです。