新CPUの利用シーンに焦点を当てたキーノート
「インテル PC FES 2021 ~素敵なことを始めよう~(以下PC FES 2021と略記)」がオンラインで開催中です。
初日の5月26日はインテルの鈴木国正社長と共に、同技術本部 部長 工学博士 安生健一朗氏が基調講演を行いました。この記事では主に安生氏の講演「テクノロジーの進化とパートナーシップで広がる PC のユーザー体験」で取り上げられた中から、新CPUを中心に展開される豊富なコラボ企画を紹介します。
安生氏は新たなユーザー体験を創出する原動力として(インテル自身の)テクノロジーの進化だけでなく、業界パートナーシップを挙げました。今回はゲーミングとクリエイティブに焦点を当て、パートナーから多くのビデオメッセージも寄せられており、コラボレーションでこの分野を盛り上げる意欲を見せています。
それを支えるのが薄軽ノート、ハイパフォーマンスノート、ハイパフォーマンスデスクトップすべてが第11世代になったCoreプロセッサです。これらには従来よりもハイパフォーマンスなIres Xeグラフィックスを搭載しており、外付けGPUを搭載しなくてもそれなりのパフォーマンスが発揮できるようになっています。
Ires Xeグラフィックスを内蔵した第11世代Intel Coreプロセッサ搭載パソコンでは、特にゲーミングパソコンと名乗っていなくても多くのゲームを楽しむことができます。ゲームユーザーのすそ野を拡大すべく、ハイエンドゲームは拡大の支援のみならず、(プロの)ゲームプレイを観戦するという視聴文化の醸成を行い、エントリゲームならば「このパソコンはゲームも楽しめる」という認知を高めるという施策を行っていると説明していました。
余談になりますが、ゲームを視聴するという観点で言うと先日「世界のLoL(League of LegendsというMOBAタイトル)2021年春リーグ優勝チーム」を集めたMSI(Mid-Season Invitational)というイベントがありました。
日本時間で5月23日に行われた決勝戦は韓国リーグと中国リーグと世界でもトップクラスのリーグ優勝チーム同士の戦いで、Twitchというゲーム系配信環境での日本語配信で9万超の視聴者がリアルタイムに観戦していましたし、原稿を書く際に再チェックしたところ決勝のアーカイブ視聴者数はすでに248万回(3日前なのに!)でした。
具体的な施策として、IOCの協力の元Intel World Openという大会を実施。誰でも参加可能なオープンイベントとして現在もエントリーを受付中との事です。
また、東京eスポーツゲートが行う日本最大クラスのeSportsスタジアム「TOKYO ESPORTS GATE PROJECT」をサポートします。TOKYO ESPORTS GATE PROJECTは東京タワーの下の東京タワーフットタウンの1/3/4/5階に及ぶ延べ5,600平方メートルにおよぶeSports施設で今年冬にオープン予定。eSportsの参加だけでなく視聴文化も醸成する施設となります。
話を伺いながら「東京タワーにそんなスペースあったっけ?」と思いましたが、東京ワンピースタワーが2020年7月で営業終了しており、未確認ですがそのスペースを使うようです。
eSportsの中でもeモータースポーツを強く支援。F1やCARTを含め、日本人として初めて世界三大レース(F1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レース)の全てに参戦し、現在はレーシングドライバー以外にDAZNのF1解説も務める中野真治氏を含めたパネルディスカッションを今回行っています。
先に紹介したTOKYO ESPORTS GATE PROJECTにもモータースポーツエリアを常設するようです。本格的に車のゲームを楽しむためにはハンドルコントローラーがほぼ必須ですし、可能なら専用シートも用意したいのでパソコン以外のハードルがやや高く、踏ん切りをつける意味で試せる環境が欲しいですね。
インテルのゲーム支援策として2020年9月から行っているのが「インテル Iris Xe グラフィックス検証サポートプログラム」です。すでに国内7メーカーと協業しており、ゲームタイトルごとに認証パソコンとしてプロモーションを行っており、通常のパソコン売り場にもゲーム対応の文字が並ぶ、という状況になっています。
国内外のゲームが動くことが認定されているだけでなく、インテルがフォートナイトのゲーム内アイテムのプレゼントを行ったり、パソコンメーカーによってはゲームのバンドルをしています。
今回追加タイトルとしてファンタシースターオンライン2 New GenesisとAssetto Corsa Competizione、ことばのパズル もじぴったんアンコールが追加されました。その中でもファンタシースターオンライン2 New Genesisは6月サービス開始時に認証されるとの事でした。
新しいテクノロジーを使用してクリエイティビティーを発揮
クリエイティブに関しては比較的新しい機能によって作業が改善されるという事をいくつかの事例で紹介していました。PC FES 2021のオープニングキーノートとして動物写真家 岩合光昭氏が登壇しています。
「今まで使っていたものを絶対に今後も使わなければならないという事はない(岩合氏)」と時代に合わせた機材の利用を行っているそうです。
過去の写真を使う場合の解像度の低さが問題になっていました。低解像度の写真の画素数アップを、現在のIntel CPUに含まれているDeep Learning Boostと機械学習を使用した超解像度ソフトを組み合わせることで、実用的な速度で処理できると発言。動物撮影のためにロケーション撮影の多い氏にとって、Intel Evoプラットフォーム製品を使った感想は軽さと反応の速さに驚いたと語っていました。
現在の高級一眼レフは静止画のみならず、高品位な動画撮影環境としてプロも利用していますが、キヤノンとパナソニックのビデオメッセージを紹介するとともに編集やポストプロダクションとしてのパソコンをアピールして、インテルと共同でワークフローの提案をしたいとコメントしていました。
さらに映像クリエイター向けに「パソコンの選び方教室」をVookサイト内にオープン。Vookがシチュエーション向けにおススメPCをチョイスします。
また、最近話題になっている動画配信ですが、ブラックマジックデザインと協力して、同社のATEM MiniとIntelのEvoプラットフォームを使用したワークフローについてのインタビュー記事、Intel PC FES 2021内に後日掲載するそうです。
インテルは多様なデバイスでコンピュータービジョンと深層学習をサポートするOpenVINOプラットフォームを持っています。これをミュージックビデオに活用したのがTHINK AND SENSEとCONDENSEで現在作成中です(ティザー動画が近日公開予定)。ビデオレターの動画を見ると、OpenVINOを使用して人物をリアルタイムに認識しエリアを切り出しており、これにエフェクトを加えることで新たな映像表現を生み出そうとしていました。
余談ですが、zoomの仮想背景機能もこのようなエリア抽出能力を使っているので、すでに実感している人も多いのでは?
今回のPC FES 2021は昨年の二倍近い協賛を受けており、キーノートでのビデオレターの数も非常に多いものでした。インテルの技術を活用して更なる高みに行くクリエイターや、ハイエンドマシン以外でも気軽にプレイできるようになったゲームが、今後数年のコンシューマーPCの潮流と言えそうです。