2020年、『夏、至るころ』で映画監督デビューを果たした池田エライザ。音楽番組の司会を務めたり、弾き語りを披露したりと、多岐にわたって才能を発揮し続ける池田が、女優として、ギャンブルに狂った世界で揺るぎない存在感を見せつけるシリーズ『賭ケグルイ』の映画第2弾、『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』が公開となる。
ギャンブルの勝敗が全てを決める私立百花王学園で、絶対的な権力を誇る生徒会長・桃喰綺羅莉を演じる池田。シリーズ初参戦で強烈なヒールを演じる藤井流星(ジャニーズWEST)の視鬼神真玄、そして浜辺美波扮する主人公・蛇喰夢子と、命を賭けた「指名ロシアンルーレット」で、賭場へと降りた綺羅莉が対峙する。
初監督を経て、改めて役者として現場に立った感想や、「ビリビリと電流が流れる感じがして」「耽美だった」と振り返る浜辺とのシーン、さらに4月に25歳を迎えての現在の思いを聞いた。
■夢子との対峙は、とても“耽美な”時間でした
——今回は生徒会長・綺羅莉も賭場に降りてじっくり参戦します。オリジナルストーリーですが、脚本を読まれたときの感想は?
興奮して叫びました。すごく面白い。『賭ケグルイ』のギャンブルって、ルールも一筋縄ではいかないものばかりなので、脚本を読んだ段階ではチンプンカンプンだったりするんですけど、今回の、特に「指名ロシアンルーレット」は、ギャンブルそのものの面白さに加えて、「まさか綺羅莉と夢子が!」みたいなところがあって、かなりテンションが上がりました。
——こちらもテンションが上がりました。それこそ「まさか綺羅莉と夢子が!」の展開で。
ですよね。夢子と綺羅莉がギャンブルをする美しい形って、観る方もそれを求めていると思いますし、最大の課題だと思うんです。どちらがどういった形で勝つのかにも期待が集まるでしょうし、英(勉)監督もかなり考えられたと思いますが、すごく納得のいく形になったと思います。詳しいことは言えないんですけど、とても“耽美な”ギャンブルだったなと。
——実に“耽美”でした。浜辺さんとの共演はいかがでしたか?
美波と目が合うたびに、ビリビリと電流が流れる感じがしました。こんなお芝居もあるんだなと感じる面白い時間でしたね。セリフ自体のやりとりは多くないんですけど、これまでの美波、夢子と、綺羅莉との関係も相まって、高いところでやりとりできている感じがして、宇宙で交信しているような不思議な感覚でした。
■「綺羅莉ってどういう風に歩くんだっけ?」から始まった
——シリーズを通じて綺羅莉を演じてきて、どんな部分を深められたと感じていますか?
実は綺羅莉に関しては、今まで歩くシーンすらまともになかったんです。だから、映画前作、そしてドラマシーズン2を経て、今回初めて「綺羅莉ってどういう風に歩くんだっけ?」から始まったのがすごくおかしかったです(笑)。それから数年前の生徒会室のシーンも出てくるので、いつもとはまた違う生徒会室の禍々しさみたいなものも感じました。そんな中で、やっぱり綺羅莉が生徒会長として鎮座している姿が印象的でした。昔から強いんだなと。
——その強さが、よく伝わる「指名ロシアンルーレット」でした。
綺羅莉が一番狂ってますよね。まあ、それぞれ自分が一番狂っていると思ってるかもしれませんが、綺羅莉は間違いなく賭け狂いだと思います。
——今回の撮影はコロナ対策をしながら進められたそうですね。シリーズを通じて結束が深いメンバーとはいえ、現場の雰囲気も違ったかと。さらに今回は藤井さんが初参戦でした。
これまでと同じくみんなでワイワイというわけにはいきませんでしたが、おしゃべりして仲良くなるというより、みんなお芝居で100%を出し合って、信頼関係が出来上がっていますし、その空気を共有できている、すごく素敵な現場です。藤井さんは初参戦だったので、私も初参戦のときはすごく緊張したことを思い出しましたが、藤井さんのお人柄もあって、すごく愛されていました。藤井さん自身、シリーズのファンということで、とてもエンジョイしていたと思います。
■20歳のころから続けている日記は自分への宿題
——池田さんは、『夏、至るころ』で監督業も務められました。その経験を経て感じたことはありますか?
監督をさせていただいたことで、改めて役者のすばらしさを知って、自分がまた表に出てお芝居することへの難しさと照れは感じましたね。もともとプレッシャーを感じるタイプなのですが、リスペクトが大きくなった分、今回のクランクイン前は、より「できるかな。私でいいのかな?」とプレッシャーを感じました。撮影に入ってからは綺羅莉になれましたけど。
——英監督とは映画デビュー作の『高校デビュー』でもご一緒されていて、そこから10年です。
10年かあ! 『高校デビュー』では本当に1シーン、2シーンだけでしたが、そこから色々な映画に呼んでいただけるようになりました。英組も大好きです。英監督は、現場で一番楽しんでくれるので、すごく嬉しいです。これからもいろんな役に応えられたらと思います。
——4月に25歳になりましたが、新たな野望はありますか?
これをやりたいという目標を持つのもいいことですが、コロナ禍ということもあって、どんなに志しても突然できなくなることも増えましたよね。それもあって、今はなるべく色んなことに応えられるように、知識を広げたいと思っています。もともと家で本を読んだりすることが好きなのですが、今も家で本を読んだりパソコンを使って調べ物をしたり、日記を書いています。
——日記ですか?
二十歳くらいのときから、ほぼ毎日書いているんですけど、辞書を開いて知らない言葉をひとつ見つけたら、その言葉をかなりディグるんです。検索して調べて、それで感じたことを書いたり。ほかにも例えば「旦那さん」の語源ってなんだろうと調べて、サンスクリット語の「ダーナ」から来ていて、さらにお布施の意味があると知ったり。そうした由来や、今の時代に使うことへの議論について、感じたことなどを全部書くんです。
——それは面白そうです!
本当に楽しくて面白いですよ。ちょっと宿題みたいで。大人になると宿題ってなくなるけど、いいかなって。
——池田さんは色々な事に挑戦していますが、日々、そうした積み重ねをされているんですね。ありがとうございました。最後に一言、生徒会長ファンにお願いします。
今回は綺羅莉が視鬼神に会長の座を降ろされてしまうシーンもあって、ファンの方は屈辱的かもしれません。でも大丈夫です。この映画においての綺羅莉はとにかくかっこいいので。乞うご期待です!
■池田エライザ
1996年4月16日、フィリピン生まれ、福岡県出身。2009年にファッション誌『ニコラ』のオーディションでグランプリを獲得し、モデルとして活動をスタート。2011年公開の『高校デビュー』(英勉監督)で映画デビューを飾り、2015年に園子温監督の『みんな!エスパーだよ!』でヒロインに抜擢される。その後、映画『ルームロンダリング』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『映画 賭ケグルイ』『貞子』、ドラマ『伊藤くん A to E』『ルームロンダリング』『賭ケグルイ season2』などに出演し、2020年公開の『夏、至るころ』では監督デビューを飾った。音楽番組の司会や、歌声の披露、スチールカメラマンとしての活動など、さまざまな分野で才能を見せている。
(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会