現代日本を代表するベストセラー作家の一人である東野圭吾。推理小説・ミステリーをはじめとする様々なジャンルを手がけており、直木賞をはじめ数々の文学賞に輝くなど、質・量ともに群を抜く存在となっている。
また多くの東野圭吾作品が、テレビや映画などで映像化されていることも大きな特徴。このことは、いまやエンターテインメント業界にとって東野作品が、なくてはならないコンテンツとなっていることの何よりの証明と言えるだろう。そこで今回はマイナビニュース男女会員505人にアンケートを実施。「おすすめしたいと思った東野圭吾原作の映画作品」とその理由を聞いてみた。
東野圭吾原作のおすすめ映画ランキング
1位『容疑者Xの献身』(2008年公開/23.3%)
2位『白夜行』(2011年公開/13.5%)
3位『マスカレード・ホテル』(2019年公開/9.0%)
4位『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』(2012年公開/8.3%)
5位『手紙』(2006年公開/6.4%)
6位『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017年公開/5.6%)
7位『祈りの幕が下りる時』(2018年公開/4.5%)
8位『天空の蜂』(2015年公開/4.1%)
8位『プラチナデータ』(2013年公開/4.1%)
10位『秘密』(1999年公開/3.4%)
東野圭吾原作で映画化された作品のキャスト・あらすじ
続いて、ランクイン作品のキャストやあらすじ、面白いと思った理由を作品ごとに紹介していこう。
『容疑者Xの献身』
テレビドラマ化され人気となった『探偵ガリレオ』シリーズの映画化作品。主人公のガリレオこと天才科学者・湯川と新人女性刑事の凸凹コンビが、難解な事件に挑む。
監督/西谷弘
公開年/2008年
・「トリックが巧妙で、登場人物の心情もよく描かれていました」(46歳女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「一途な愛が起こす犯罪に感動」(63歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「他の作品より切ないけど、納得のいく結末だった」(46歳女性/その他/事務・企画・経営関連)
・「テレビシリーズと違って、シリアスで緊張感があり楽しめた」(52歳男性/サービス/専門サービス関連)
・「数学者と物理学者の頭脳戦に興味がわく内容で、結末もほろ苦さを味わった」(69歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「ストーリーがとても心を打つものだった。役者の方の演技もすごくよかった」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「『容疑者Xの献身』の意味を考えると、ものすごく悲しい結末で何回見ても泣ける」(42歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「湯川の独特のキャラクター、内海との掛け合い、単純に観ていて面白かった」(56歳男性/繊維・アパレル/販売・サービス関連)
・「人気シリーズの劇場版だったので、楽しみにしていた。期待を裏切らない内容だった。堤真一さんが地味な先生役だったが、松雪泰子さん演じる親子を助けようと淡々と行動する姿が印象的だった。堤さんの役と福山さんの役が親友だったことも、面白い要素の1つだった」(47歳女性/繊維・アパレル/技能工・運輸・設備関連)
・「福山雅治がテレビシリーズでガリレオに定着していたので、その世界観のまま映画を観られた。原作がおもしろいし、キャストもよかった」(53歳女性/その他/その他・専業主婦等)
『白夜行』
過去に起きた殺人事件の容疑者の娘である美少女と、被害者の息子である物静かな少年。やがて成長した彼らの周辺で不穏な事件が連続して起こり、2人の関係が徐々に明らかになっていく。
監督/深川栄洋
公開年/2011年
・「ドラマとの比較ができて面白かった」(60歳男性/広告・出版・印刷/その他・専業主婦等)
・「小説からのファン。東野さんの小説で一番好き」(51歳女性/食品/販売・サービス関連)
・「色々な要素があって、推理ではなく、せつない内容」(57歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「まず『白夜行』というタイトルからして興味をそそられた。内容も、とにかく心の闇に切り込んでいて秀逸だった」(61歳男性/専門コンサルタント/専門職関連)
・「暗い背景の作品ですが、人間の本質がうまく描かれている秀作だと思います」(58歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「殺しを重ねる青年と、青年が愛する娘の関係が悲しく、青年を追う刑事の心情が悲しい。人間の運、不運などどうしようもない運命に翻弄される登場人物の悲哀劇が、心に突き刺さる」(61歳男性/フードビジネス/IT関連技術職)
・「堀北真希がはまり役だった」(41歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
『マスカレード・ホテル』
連続して起きた3件の予告殺人事件。4つ目の殺人がとある高級ホテルで行われることが判明し、警視庁捜査一課刑事・新田はホテルマンとして潜入捜査に当たることになる。捜査本部が厳戒態勢を敷くなか、運命の一日が始まる。
監督/鈴木雅之
公開年/2019年
・「ホテル内の出来事が、すべて面白かった」(64歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「犯人が誰だか最後までわからなくてドキドキした」(43歳女性/アウトソーシング/事務・企画・経営関連)
・「ホテル内で起きる人間模様が面白かった。有名俳優が多数出ていたのも良かった」(41歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「山岸役の長澤まさみが、クールな感じだと思った」(48歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「先の読めないスリリングな展開がテンポ良く描かれていて、爽快感があった」(58歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』
人気の『加賀恭一郎シリーズ』の第9作の映画化作品で、2010年放送の連続ドラマ『新参者』および11年の単発ドラマ『赤い指』の続編。主人公の刑事・加賀が日本橋の、翼のある麒麟像で起きた殺人事件の解明にあたる。
監督/土井裕泰
公開年/2012年
・「TVシリーズも面白かったが、映画はスケール感がありさらに面白かった」(70歳男性/農林・水産/その他・専業主婦等)
・「阿部寛が役にはまっていて、見ごたえがあった」(45歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「東野圭吾さんの本はほとんど読んでいます。かなり忠実に制作されているなあ、と感じました」(38歳女性/教育/専門サービス関連)
・「出演者が良かった。ストーリーも単なるミステリーではなく、ヒューマンドラマがあって奥深いと思いました」(55歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「過去のいじめが犯罪に絡んでるが、犯人は何でもないことがきっかけで事件を起こす。事件に絡む登場人物、その心理状態、家族の在り方などを問いかけている」(70歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)
『手紙』
弟の学費を手に入れるため強盗殺人を犯してしまった兄。弟を思い獄中から手紙を送る兄の気持ちとは裏腹に、兄の存在がゆえに弟の人生は狂っていく。そしてある出来事を機に弟は、ついに兄に離別の手紙を書く。
監督/生野慈朗
公開年/2006年
・「人間心理を描いた、素晴らしい作品でした」(60歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/営業関連)
・「殺人犯家族の苦悩がよくわかります」(61歳男性/フードビジネス/販売・サービス関連)
・「弟の学資ほしさから強盗殺人までのいきさつ、以後の暮らしの中で起きるトラブルなどのストーリーがサスペンスとして面白い」(60歳男性/その他電気・電子関連/IT関連技術職)
・「主演3人がよい。東野圭吾の原作とは知らなかった。毒されていない頃であろう沢尻エリカが可愛らしい」(61歳男性/建設・土木/技能工・運輸・設備関連)
・「原作を読んで泣き、映画を見ては泣き、これは現実にも起こっていると思います。自分と重ねて考えさせられる映画でした。感動もあり、視点を変えて観ることも考えさせられる、イチ押しの映画です」(47歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
現在は廃屋と化している「ナミヤ雑貨店」に、32年前に書かれた悩み相談の手紙が届く。偶然店内に忍び込んでいた幼馴染の3人組は困惑しながらも、当時の店主になり代わり返事を書くのだが……。
監督/廣木隆一
公開年/2017年
・「過去からの手紙に返事を書き、関わった人たちが幸せになっていくところ」(36歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「本当に奇跡は起きることがあるのではないかと思った」(53歳女性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「手紙で過去と未来がつながる不思議な物語が、とても感動的でした」(53歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
『祈りの幕が下りる時』
『麒麟の翼 劇場版・新参者』に続く、『加賀恭一郎シリーズ』第10作の映画化作品。滋賀県在住者が、理由不明で東京のアパートにて殺害された事件の解明とともに、主人公・加賀の過去も明らかとなっていく。
監督/福澤克雄
公開年/2018年
・「『新参者』のラスト作品であり、原作自体に魅力があったから」(59歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「加賀刑事の母親の秘密に感動しました」(57歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「松本清張氏の有名作品にまるでシンクロするような感覚で、多大に感動感銘を受けました。作品内容として、なぜそうしなければならなかったのか、苦しくて、切なくて、痛いほど伝わってきました。心に一生、刻まれた作品となりました」(48歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/技能工・運輸・設備関連)
『天空の蜂』
大型の軍用ヘリ「ビッグB」がテロリスト「天空の蜂」による遠隔操縦で、原発に対するテロに利用されるという事態が発生。惨事までのタイムリミットが迫る中、主人公たちが事態解決のため死力を尽くすサスペンス大作。
監督/堤幸彦
公開年/2015年
・「迫力あるのでいい」(36歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「アクションがすごい」(57歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「ストーリー展開がハラハラして面白かった」(31歳女性/その他/その他・専業主婦等)
『プラチナデータ』
DNAデータ「プラチナデータ」をもとにした捜査によって検挙率100%、冤罪率0%を目指す近未来。DNA捜査の専門家から一転、殺人事件の容疑者となってしまった科学者と、事件を追う刑事を描くSFサスペンス。
監督/大友啓史
公開年/2013年
・「現代社会らしい、ITミステリーだった」(54歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「今までにないDNAシステムによる犯人特定の手法と、物語の展開が非常に面白かった」(78歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「政治家の身内が罪を犯しても、それをなかったことにできるプログラムを政府が作ろうとするストーリーだが、今の政府を見ればあながちない話でもないところを、東野圭吾が鋭く切り込んでいるのが面白い」(52歳男性/その他/その他・専業主婦等)
『秘密』
妻と娘が交通事故に遭い、妻は死亡。娘は一命を取り留めるが、その身体には妻の人格が宿っていた。その日から、夫と娘(心は妻)の奇妙な夫婦生活が始まる。現在へと至る東野作品の人気の発端となった名作映画。
監督/滝田洋二郎
公開年/1999年
・「予想もできない展開とラストが衝撃的だった」(41歳男性/食品/営業関連)
・「東野圭吾の作品で最初に見たので、面白かった印象が強い」(44歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
まずは、東野圭吾原作の映画作品を見たことがあるかを聞いてみた。
東野圭吾原作のおすすめ映画に関するアンケート
Q.東野圭吾原作の映画作品を見たことはありますか?
「はい」(52.5%)
「いいえ」(47.5%)
調査の結果、マイナビニュース会員のうち東野圭吾原作の映画作品を見た経験がある人は52.5%だった。半数以上の人が東野作品を見たことある計算となる。本記事のランキングはこの人たちの回答をもとに作成している。
泣ける映画が多数! 東野圭吾原作のおすすめ映画を紹介しました
マイナビニュース会員に、おすすめしたい思った東野圭吾原作の映画作品を聞いたところ、1位は23.3%の支持を集めた『容疑者Xの献身』となった。以下、2位『白夜行』(13.5%)、3位『マスカレード・ホテル』(9.0%)、4位『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』(8.3%)、5位『手紙』(6.4%)と続いている。
1位『容疑者Xの献身』は、人気を博していたテレビドラマ『ガリレオ』の劇場版として製作。ガリレオこと天才物理学者・湯川学を演じる福山雅治、若手の女性刑事・内海薫役の柴咲コウをはじめ、主要キャストやスタッフはテレビシリーズと同一となる。なお、福山雅治は本作が初の映画主演作となった。アンケートでは、湯浅の大学同期で天才数学者の石神哲哉(堤真一)が犯罪に至る動機や、彼が仕掛けるトリックを評価する声が目立った。また、コミカルな要素が強かったテレビドラマとは異なる、なんとも切ないエンディングに感動したというコメントも多かった。
2位『白夜行』も、すでにテレビドラマが存在しており、それに続くかたちで映画化。ただし、テレビ版では主人公の桐原亮司と唐沢(西本)雪穂が山田孝之と綾瀬はるかだったのに対して、映画ではそれぞれ高良健吾と堀北真希が演じた。アンケートでは、幼少時から続く2人の哀切を極めた関係と、切ないストーリーに惹かれるというコメントが多い。小説やテレビを経て、映画も好きなったという人もいる。
3位『マスカレード・ホテル』は、長編ミステリ小説「マスカレード」シリーズの1作目を、木村拓哉と長澤まさみという豪華キャストを主演に据え映画化。一流ホテル「ホテル・コルテシア東京」を舞台に、ホテルマンに扮して潜入捜査をする刑事・新田浩介と、彼の教育係を務める優秀なフロントクラーク・山岸尚美の即席コンビが事件解決に奮闘する。本作では、そのスリリングなストーリー展開や人間関係の機微を楽しんだ人が多いようだ。
4位『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』は、東野圭吾のデビュー第2作『卒業』に初登場する加賀恭一郎を主人公とする推理小説シリーズの映画化作品。本作はシリーズ9作目にあたる。先行するテレビドラマの続編となり、主演はいずれも阿部寛が務めた。謎の多い殺人事件の重要な鍵を握る女性・中原香織役を、先ごろ星野源との結婚で世間を驚かせた新垣結衣が演じている。本作は社会派ミステリーの印象があり、アンケートでも松本清張作品に通じるテイストを指摘する意見もあった。
5位『手紙』は、弟の大学進学資金が欲しいがために強盗殺人を犯してしまう兄・武島剛志(玉山鉄二)と、兄の過ちのために人生が狂っていく弟・直貴(山田孝之)という2人暮らしの兄弟を中心に物語が紡がれる。剛志は孤独になってしまった弟を案じて月に1度、獄中から手紙を送るが、殺人犯の弟として生きる直貴は人生に行き詰まり、やがて兄との訣別を決意する。犯罪加害者の親族の視点で描かれた本作は、アンケート回答者にとっても現実社会で起こりうる悲劇として受け止められているようだ。主人公たちの心情に共感するコメントが多く寄せられた。
6位以下の作品も、いずれも東野作品の代表作と呼べるものの映画化作品が並ぶ。ジャンルも本格推理やサスペンス、アクションやSF、純愛もの、ファンタジーと多彩だ。今後も引き続き、東野作品の映画化の流れは続いていくに違いない。
皆さんも今回のアンケートを参考に、気になった作品をぜひ一度、ご覧になってはいかがだろう。
調査時期: 2021年3月26日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計505人(男性: 381人、女性: 124人)
調査方法: インターネットログイン式アンケート