パスカルの「人間は考える葦である」という言葉は、誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか? また、パスカルによって証明された「パスカルの定理」や「パスカルの原理」は、多くの人が学生時代に勉強したことのある法則です。ただ、その内容を問われるとうろ覚えで明確に回答できない人もいることでしょう。

本記事では、パスカルが提唱したパスカルの定理・定義についてわかりやすく解説するとともに、パスカルが残したさまざまな名言をご紹介します。天才と言われるパスカルの考え・言葉に触れて、ビジネスや日々の生活に活かしてみてください。

  • パスカルとはどんな人物か

    「パスカルの定義」で有名なパスカルを、人物像を含めて説明していきます

パスカルとはどんな人物か

まず、パスカルが一体どんな人物であったかを説明していきます。

幼い時から天才

家庭内で英才教育を受けたパスカルは、子どもの時からすでに天才だったと言われています。10歳を前にして三角形の内角の和が180度であること、1からnまでの和が(1+n)n/2であることを証明しました。このようにパスカルは、私たちが小中学生で教科書から学ぶようなことを、なんと自らの手で証明していたのです。

哲学者でもあり数学者・物理学者

パスカルは幅広い分野の学問に取り組んだことでも有名です。幼いころから数学の才能があったパスカルは、パスカルの定理を初めとして、さまざまな概念を証明しました。

物理学者としても活躍し、ここでも多くの功績を残しています。中学校の理科で習う圧力の単位Pa(パスカル)や、圧力に関するパスカルの原理はとくに有名です。

このように数学や物理といった学問に精通し、同時に哲学も学んでいたというパスカル。23歳のころに「人間の罪深さ」に目覚め、罪深い人間がどう生きるべきかという点で苦悩したとされています。これらを綴り、キリスト教を擁護する書物を出版しようとしますが、生前に完成させることはできませんでした。

パスカルがさまざまな形で書き残した原稿は、彼の没後に編纂され『パンセ』として出版されました。そこには深い思索の痕跡が残されています。興味のある方は、ぜひ手にとってみてください。

  • パスカルとはどんな人物か

    博学多才で、人間の罪深さに頭を悩ませたパスカル

パスカルの原理とは

パスカルは「パスカルの原理」を提唱したことでも有名です。パスカルの原理は学生時代に勉強した方も多いでしょう。ここではパスカルの原理について、わかりやすく説明していきます。

パスカルの原理=「圧力」が等しいこと

物質には、固体・液体・気体の3つの状態があり、このうち液体と気体は自由に形を変えることができるので「流体」と呼ばれています。この流体が密閉容器の中に入り静止している場合、その流体の各部分にかかる圧力は等しくなります。これがパスカルの原理です。

パスカルの原理を応用したものとは

パスカルの原理は、現代でもさまざまな場で応用されています。例えば自動車のオイルブレーキです。オイルブレーキではペダルを踏むことによって加えた力が、オイルを介して増幅されてブレーキパッドに伝わっています。

そのため私たちが車を運転しブレーキを踏むと、わずかな力でかなりの重量がある自動車を停車させることができます。このようにパスカルの原理は画期的な発見で、現代でもさまざまな場に応用されています。

パスカルの定理

パスカルの定理は、パスカルが16歳の時に発見した円錐曲線に関する法則です。ここでは高校数学で習うパスカルの定理について説明していきます。

3点が一直線上

パスカルの定理は「円に内接する六角形の対応する辺の3つの交点は一直線にある」というものです。この法則を使うことで、さまざまな図形をかけあわせた問題の証明ができるようになります。

円だけでなく楕円や放射線でも証明

パスカルは16歳の時、円だけでなく楕円や放物線においてもこの法則が成り立つことを証明しました。いかにその頭脳が並外れたものだったかをうかがい知ることができますね。

難問を解くことはなかなかできることではありません。しかし自ら発見したことを証明しようとする彼の探求心は、私たちも真似できるところがありそうです。

  • パスカルの定理

    パスカルの定理は、歴史上最も有名な定理の一つです

哲学者パスカルの名言集

ここからは哲学者としてのパスカルの名言をみていきましょう。解釈は人それぞれですが、いくつか読み解いた例も紹介しています。

難解な数学・物理に精通していたパスカルですが、人間としての生き方や幸せについても深く考え抜いていました。パスカルの名言には、現代の私たちにも刺さるものが多くあります。

名言1

人間は自然のうちで最もか弱い一本の葦にすぎない。しかし、それは考える葦である。
→「人間はあらゆる生命の中で最も弱い存在であるが、考えるという人間の特別な能力には未来を切り開く可能性がある」と読み解けます。

名言2

人間は常に、自分に理解できない事柄は何にでも否定したがるものである。

名言3

想像力は何でもやってのける。それは美と正義と幸福をつくるが、これこそこの世におけるすべてなのだ。
→「想像力には、この世のすべてのものを創造できる力がある」と読み解けます。

名言4

我々が本当に愛するのは、人間そのものではなくて、人間のもっている特性ということになる。

名言5

無知を恐れてはいけない。偽りの知識を恐れよ。

名言6

恥は1つしかない。すなわち、なんの恥も感じないということだ。

名言7

知性が増すにつれ、人それぞれの個性をより多く見出すようになる。凡人は人それぞれの違いがわからない。

名言8

実物には一向に感心しないくせに、それが絵になると「似ている」と言って感心する。絵とはなんとむなしいものだろう。

名言9

人間にとって苦悩に負けることは恥ではない。快楽に負けることこそ恥である。

名言10

ささいなことが私たちの慰めになるのは、ささいなことが私たちの苦しみになるからだ。

名言11

親切な言葉に費用はかからない。しかし、多くのことを成し遂げる。

名言12

人からよく思われたいのなら、自分のことをほめるな。 
→「常に自分自身におごりを持つことなく、謙虚な姿勢であり続けるべきだ」と読み解けます。

名言13

人間には2種類しかない。1つは自分を罪人だと思っている善人であり、他の1つは自分を善人だと思っている悪人である。

名言14

徳の高さは、人間が何か特別に頑張った時に判断すべきではない。日頃の行いで判断すべきである。

名言15

時は悲しみと口論の傷を癒やす。人はみな変わる。過去の自分はもはや現在の自分ではない。悩む者も悩ます者も、時が経てば別人になる。

  • 哲学者パスカルの名言集

    パスカルの残した名言は、現代生活にも活きるのではないでしょうか

さまざまな分野に精通し、歴史に名を残したパスカル

今回はパスカルが提唱したパスカルの原理や定理、そして彼が残した名言について紹介しました。学問の世界に新たな法則を見出して証明し、一方で人間の本質が何かを考え抜いたパスカル。その功績は現在の私たちにも強い影響を与えるものばかりです。

この記事では名言の数々も紹介しました。少しでも胸に響くフレーズがあったなら、ぜひ生活の中に取り入れてみてください。人生が豊かになるかもしれません。