ディスラプター(破壊的企業)という言葉を知っていますか? クラウドやAIといった、デジタルテクノロジーの活用が必要不可欠な現代で、既存のビジネスモデルや秩序を破壊・変革する企業が次々と現れています。

本記事では、最新の企業事例を交えて、ディスラプター(破壊的企業)をわかりやすく解説します。

  • 破壊的企業(ディスラプター)とは

    破壊的企業(ディスラプター)とデジタルトランスフォーメーション(DX)とは密接なつながりがあります

ディスラプター(破壊的企業)とは

ディスラプター(破壊的企業)とは、デジタルテクノロジーを活用することにより既存のビジネスモデルを破壊する企業(主にベンチャー企業)のことを指します。デジタルディスラプターや、破壊的イノベーターともいわれます。

ビジネスでのディスラプター(破壊的企業)の意味

ディスラプターのほとんどがデジタル技術を駆使して、今までのビジネスモデルにとらわれずに顧客のニーズにきめ細かく対応することで急成長しています。既存の企業や業界に大きな影響を与え、驚くべきスピードで顧客を奪っていくことが特徴です。

ディスラプター(破壊的企業)とデジタルトランスフォーメーション(DX)の関係

現代では企業はデジタル技術を駆使し、新たなビジネスモデルを確立することで既存の企業や業界のビジネス革新を行う必要があります。逆にこの変化に対応できない企業は生き残ることが困難になるということです。

各企業の競争率の強化、生産性・効率の向上のために、デジタルトランスフォーメーション(DX)やビジネス戦略が必要不可欠になっています。

ディスラプター(破壊的企業)の事例

ディスラプターの例としていくつかの企業を紹介します。

Uber

ディスラプターの成功例として、「Uber」が有名です。Uberは自動車を持ち、運転手となって利益を得たいユーザーと、移動したいユーザーをマッチングした手数料を収益にしています。運転手も利用者も、スマートフォンがあれば利用できる点が新しい切り口となりました。

Uberの参入はタクシー業界にとどまらず、バスや電車といった交通機関全般にも影響を与えました。若者の車離れが懸念されているアメリカでは、より車を持たなくなる人が増えるのではないかともいわれ、自動車業界の収益にも影響をもたらす可能性があると考えられています。

Netflix

従来、動画コンテンツを楽しむためには、コンテンツを購入したりレンタルショップで借りたりする必要がありました。そのため、店舗の運営において売上や収益を上げるためには、商品数や店舗数を増やすことが重要視されていました。

一方、定額見放題で動画視聴ができる「Netflix」は、いつでも好きな時に好きな場所で動画を楽しむことができます。かつ低価格で提供することで、デバイスや物理的規制や不便を解消しました。このような点で、コンテンツやメディア業界に大きな影響を与えた「Netflix」はディスラプターといえます。

  • 破壊的企業(ディスラプター)とは

    デジタルディスラプターはビジネス業界や企業の間で注目されています。

最新のディスラプター(破壊的企業)の成功事業

最新のディスラプターについて、2020年度に「CNBC Disruptor 50」に選出された企業を紹介します。

「CNBC Disruptor 50」とは

「CNBC Disruptor 50」とは、ニュース専用放送局CNBCが、業界を破壊する企業のトップ50社を選出し、2013年から毎年発表しているものです。斬新な発想や新しいビジネスモデルを業界に持ち込み、圧倒的なスピードで顧客を獲得している企業を選出しています。2020年度に発表された企業は、コロナ渦への対応も評価基準に追加されました。

「CNBC Disruptor 50」ではディスラプターを以下の3つのタイプに分けています。

  • Pタイプ(プラットフォーム): プラットフォームで需要と供給をつなぐ業界破壊者
  • Bタイプ(ビジネスモデル): ビジネスモデルで常識を超えた顧客体験を生む業界破壊者
  • Tタイプ(テクノロジー): 模倣しにくい「独自の技術」を強みにする業界破壊者

では、どのような企業が選出されたのか、3つの企業を紹介します。

Airbnb

Airbed and breakfastという名前で2007年にアメリカで生まれた会社です。「Airbedandbreakfast.com」というサイトを立ち上げ、宿泊手段の仲介を行っていました。宿泊業を営んでいなくても部屋や家を貸したい人と借りたい人をマッチングすることで仲介手数料を収入源としています。

Airbnbは宿泊施設を保持する必要がなく、誰でもオンライン上で活用できるため、ホテル業界の既存のビジネスモデルを破壊しつつあります。

healthy.io

ヘルシードットアイオー(healthy.io)はイスラエルのデジタルヘルス企業です。スマートフォンのカメラを医療機器デバイスとして使用する仕組みなどの製品開発を推進しています。慢性腎疾患の検査に使用する尿検査キットを開発し、薬局や治療センターやクリニックで高額な専用検査機器を導入しなくても検査ができるようになりました。

healthy.ioが開発したACR検査デバイスキットは、検査の色変化をスマホのカメラで色見本と一緒に撮影し、AIやクラウドを駆使して検査結果を得ることができます。これにより、病院で数日かかっていた検査結果も自宅で簡単に得られるため、患者の負担軽減が可能になりました。

Robinhood

新型コロナウイルス感染拡大による変化も活用し、証券業界を揺るがしている企業がロビンフッド(Robinhood)です。同社は手数料が無料であり、1ドル未満の少額な元手で気軽にスマホで株式の売買ができることがサービスの最大の特徴です。

Robinhood の驚異的な成長には、ロビンフッダーという大学生たちが影響しています。ロビンフッダーはその気軽さから、まるでゲーム感覚のように株取引を行います。

Robinhoodは気軽に始められることで、投資経験がないビギナーでもゲーム感覚で参加し始め、大きなトレンドになりました。その口座数は他の大手オンライン証券会社を一気に抜き、オンライン証券が普及し始めて以来の衝撃といわれています。

  • 「CNBC Disruptor 50」に選出された破壊的企業(ディスラプター)の成功事業

    斬新な発想や新しいビジネスモデルで成長しているディスラプターが選ばれています

ディスラプター(破壊的企業)に対して必要な生存戦略

既存の企業は、ディスラプターの脅威と戦うためにどうしたらよいのでしょうか。

ディスラプターが顧客にもたらしている価値とは

IMD(スイスの世界最高峰といわれるビジネススクール)は、デジタルディスラプターが顧客にもたらしている価値は、3つから構成されていると分析しています。

  • コストバリュー(価格の低下)
  • エクスペリエンスバリュー(利便性の向上)
  • プラットフォームバリュー(ネットワーク効果、コミュニティーの価値)

既存の企業は、ディスラプターのもつこの3つの価値と自社の強みを組み合わせて、独自の優位性を構築する必要があるでしょう。

ディスラプターの襲来に備えるには

ディスラプターの襲来に備えるには、日頃から業界の動向をチェックして、ディスラプションの予兆をいち早く察知することが重要です。また、AIや最新テクノロジーに変わらないスキルを身に付けましょう。

ディスラプターに対抗するには、デジタル技術を駆使したデジタルトランスフォーメーションが必須です。昨今はデジタルトランスフォーメーションに必要なIT人材の不足という深刻な課題を抱える企業が増えていて、企業のさらなる発展を図るための施策が必要になっています。

  • 破壊的企業(ディスラプター)に対して必要な生存戦略

    市場の動向をこまめにチェックすることで、破壊的企業(ディスラプター)の襲来に備えましょう

ディスラプターは市場に多大な影響を与える

ディスラプターとは、デジタルテクノロジーを駆使し、既存の業界の秩序やビジネスモデルを破壊する企業やプレイヤーのことを指します。既存の企業よりも手軽で低価格なサービスが多く、驚くべきスピードでシェアを獲得することが特徴です。

既存の企業は、ディスラプターに対抗するためにデジタル技術の導入やビジネスの根本の革新「デジタルトランスフォーメーション」(DX)が必要不可欠となっています。