矢倉の将棋で両者一分将棋に入る熱戦に。最後は渡辺名人が斎藤玉を詰まして勝利
渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する将棋のタイトル戦、第79期名人戦七番勝負(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の第4局が5月19、20日に長野県「緑霞山宿 藤井荘」で行われました。結果は133手で渡辺名人の勝利。シリーズ成績を3勝1敗とし、初防衛まであと1勝としています。
本局は渡辺名人が先手番で矢倉の戦型になりました。後手の斎藤八段は矢倉の骨格(△3三銀・3二金)は作ったものの、そこに玉を入城させずに△5二玉と中央に配置。近年流行しているバランス重視の構えを採りました。
対する渡辺名人は飛車・角・金・銀の利きを5筋に集中させ、斎藤玉に上部から襲い掛かります。華々しく駒交換が行われたあとには、斎藤八段が反撃開始。相手の飛車・桂の利きに銀を捨てる強手も飛び出し、難解な終盤戦に突入しました。
ミスの許されないギリギリの終盤戦を制したのは渡辺名人でした。最後は一分将棋になるまで考え、斎藤玉を即詰みに打ち取って勝利。終盤の入り口では7九にいた渡辺玉が、終局図では1六にまで移動するまで追い詰められた大激闘でした。
渡辺名人は初戦こそ落としたものの、その後3連勝で初防衛に王手をかけました。局後のインタビューでは「今まで通りしっかり準備して臨みたいと思います」とコメントを残しています。
一方、後がなくなった斎藤八段は「気持ちを切らさず前を向いてやっていければ」と語りました。先手番の次局をものにし、反撃ののろしを上げたいところです。
注目の第5局は5月28、29日に神奈川県「ホテル花月園」で行われます。