米Qualcommは5月19日(現地時間)、Qualcomm 5G Summit 2021(オンライン開催)で、5G対応のモバイル端末向けモデム「Snapdragon X65 5G Modem-RF System」の5G機能アップグレードと、M.2規格の5Gモデムカードのリファレンスデザインを発表した。
X65は、Qualcommが2月に発表した同社の5G対応モデムの第4世代製品だ。最大10Gbpsの通信速度、5G標準化のフェーズ2にあたる「3GPPリリース16」に対応。5Gネットワークおよびサービスの将来の向上に備えた設計になっており、ソフトウェアアップデートを通じて、リリース16の新しい機能や性能の展開に対応する。
今回の機能アップグレードは、中国を含む世界中の国への5Gミリ波の展開を促すためのミリ波機能の拡張と、「Qualcomm 5G PowerSave 2.0」による省電力向上の2つ。
ミリ波対応の拡張は、200MHz幅の要求に対応、SA(スタンドアロン)モードでミリ波をサポートする。また、最大1GHzのミリ波とFDDおよびTDDのサブ6を束ねたスペクトラムアグリゲーションによる高速通信をサポートする。
リリース16のUE-Assisted Information (UAI)に対応するPowerSave 2.0の新たな省電力技術は、5G対応のモバイルデバイスが求める優れたパフォーマンスと電力効率の両立を助ける。キャリア数、割り当てられた帯域幅、レイヤー、熱性能といった様々な接続パラメータをダイナミックかつ効率的に管理するのに必要なデータをユーザー機器と基地局の間で交換し、進行中の特定のアプリケーションや状況に合わせてネットワークリソースを最適化する。
M.2規格のモジュールのリファレンスデザインは「Snapdragon X65 and X62 5G M.2 Reference Designs」。X65または「Snapdragon X62 5G Modem-RF System」を採用したM.2 5Gモデム・カードの登場によって、モバイル機器のほか、デスクトップ/ノートPC、ACPC(常時接続PC)、CPE(カスタマー構内設備)、XR機器、ゲーム機といった様々なセグメントの機器に5Gの浸透が進むと期待できる。
QualcommはX65のサンプル出荷を開始しており、2021年後半に同モデムを搭載した商用製品が登場する見通しだ。M.2リファレンスデザインもすでに顧客への提供を開始している。