「悍ましい」という漢字、あなたなら何と読みますか? 読めなくても何となく悪いイメージが浮かんでいれば、ほぼ正解。これは恐ろしさを表す言葉です。本記事では、「悍ましい」の正しい意味や語源、使い方・例文を紹介します。また、類語や英語表現も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「悍ましい」の意味とは?
悍ましいとは、「ぞっとする」「いかにも嫌な感じがする」といった感情を表す言葉です。恐怖を表す言葉はほかにもたくさんありますが、とくに恐ろしさが際立っていて、言葉にするのもはばかれるほどの状態を表現します。では、なぜこのような言葉が生まれたのでしょうか。
読み方は?
「悍ましい」は「おぞましい」と読みます。あまり普段使う漢字ではないので初見では読めない方も多いでしょう。これを機にぜひ覚えてみてください。
「悍ましい」の語源
悍ましいという言葉の由来は、「おぞい」という古語にあるとされています。源氏物語の「東屋」や「蜻蛉(かげろう)」という話のなかで、「こわい、恐ろしい」「強情だ、勝ち気だ」という意味で使われています。
現在の悍ましいという言葉にも「気が強い、強情だ」という意味は残っていますが、それよりもぞっとする恐怖という意味のほうが定着しています。
「悍ましい」の使い方・例文
「悍ましい」は、恐ろしいという言葉だけでは足りないほどの、ぞっと震え上がるような恐怖を表現したいときに使います。日常会話でよく使う言葉というわけではありませんが、小説やニュースなどで時々使われています。
・今世紀最大の悍ましい事件が起きてしまった
・目の前に現れた獣は、この世のものとは思えぬほどの悍ましさだった
・心霊スポットとして有名なA公園に行くなんて、考えただけで悍ましい
「悍ましい」の類語
次に、悍ましいの類義語を見ていきましょう。いくつかあるので、ニュアンスが近いものごとに紹介していきます。
惨憺たる/凄惨な
悍ましいという言葉の「嫌な感じ」に近いニュアンスの言葉です。「惨憺(さんたん)たる」は「痛ましく、嘆かわしいさま」を表し、「凄惨(せいさん)な」は「目を背けたいほどの痛ましさ、むごたらしさ」を表しています。
・昨夜起きた事件の現場には、一夜明けても惨憺たる雰囲気が漂っている
・2001年に起こった凄惨な事件は、未だに人々の心に深い爪痕を残している
物凄まじい/おどろおどろしい
悍ましい言葉の「非常に恐ろしい」に近いニュアンスの言葉です。「物凄(ものすさ)まじい」は「見る人をぞっとさせるような、なんとも言えない恐ろしさ」を表し、「おどろおどろしい」は「不気味で恐ろしく、すさまじいさま」を表しています。
どちらも驚きを隠せないほどの恐怖や不安を表現する言葉です。
・物凄まじい地鳴りと共に大きな地震が到来した
・ホラー映画のおどろおどろしい演出を見て絶叫した
悲惨/無惨/酸鼻
恐怖を表す言葉はほかにも「悲惨」「無惨」「酸鼻(さんび)」などがあります。
どれも見聞きするには耐えられないほどの痛ましさや、むごたらしさを表しています。こうした言葉は見るだけでも、心が萎えますね。
・目の前に広がる悲惨な光景に驚き、涙も出てこなかった
・敵国の攻撃を受けた町は焼け野原となり、見るも無惨な光景になってしまった
・犯人の最期は、酸鼻の極みだった
「悍ましい」の英語表現は?
恐ろしさを表す英単語はいくつかあります。例文とともに紹介しましょう。
horrible/terrible
悍ましいに一番近い言葉が「horrible」や「terrible」です。どちらも「ぞっとする、身の毛のよだつ、恐ろしい」というような意味があります。
悍ましいという言葉は日本で話し言葉としてはあまり使いませんが、「horrible」や「terrible」はくだけた表現でも使われるようです。
・That was a horrible car accident.
それは、恐ろしい交通事故でした
・Did you watch yesterday’s match? It was terrible.
昨日の試合を見た? 酷かったよ
awful
「awful」にも「ひどい、恐ろしい」という意味がありますが、「不快な」という意味でも多く使われます。
・Japan had an awful earthquake last night.
日本は昨夜、恐ろしい地震にあいました
・I feel awful today.
今日は気分が悪い
「悍ましい」を使うときは慎重に
悍ましいという漢字、もう読めるようになりましたね。ぞっとして震え上がるほどの恐怖には、悍ましいという言葉が最適です。小説やニュースで時々用いられますが、非常にインパクトがある言葉のため日常会話で使うと相手を驚かせてしまう場合も。相手とシーンを選んで使いましょう。