この記事では最新のiPhone 14シリーズやiPhone SE(第3世代)をはじめ、iOS 15が動作する現役モデルのバッテリー容量と駆動時間の関係について説明します。バッテリー容量が大きいことは連続使用時間の延びにつながりますが、その一方でプロセッサー(SoC)などの省エネ性能向上や部品の小型化もあり、話は単純ではありません。
現役iPhone、バッテリー容量と駆動時間の比較表
AppleはiOS 15が動作する現役のiPhoneのビデオ再生時間やオーディオ再生時間など、バッテリーのもちに関する情報を自社サイトで公開しています(表1)。
(表1)iOS 15が動作するiPhoneのバッテリー容量と駆動時間
モデル名 | バッテリー容量 | ビデオ再生 | オーディオ再生 |
---|---|---|---|
iPhone 14 Pro Max | 調査中 | 29時間 | 95時間 |
iPhone 14 Pro | 調査中 | 23時間 | 75時間 |
iPhone 14 Plus | 調査中 | 26時間 | 100時間 |
iPhone 14 | 調査中 | 20時間 | 80時間 |
iPhone SE(第3世代) | 2,018mAh | 15時間 | 50時間 |
iPhone 13 Pro Max | 4,352mAh | 28時間 | 95時間 |
iPhone 13 Pro | 3,095mAh | 22時間 | 75時間 |
iPhone 13 | 3,227mAh | 19時間 | 75時間 |
iPhone 13 mini | 2,406mAh | 17時間 | 55時間 |
iPhone 12 Pro Max | 3,687mAh | 20時間 | 80時間 |
iPhone 12 Pro | 2,815mAh | 17時間 | 65時間 |
iPhone 12 | 2,815mAh | 17時間 | 65時間 |
iPhone 12 mini | 2,227mAh | 15時間 | 50時間 |
iPhone SE(第2世代) | 1,821mAh | 13時間 | 40時間 |
iPhone 11 Pro Max | 3,969mAh | 20時間 | 80時間 |
iPhone 11 Pro | 3,046mAh | 18時間 | 65時間 |
iPhone 11 | 3,110mAh | 17時間 | 65時間 |
iPhone XR | 2,942mAh | 16時間 | 65時間 |
iPhone XS Max | 3,174mAh | 15時間 | 65時間 |
iPhone XS | 2,658mAh | 14時間 | 60時間 |
iPhone X | 2,716mAh | 13時間 | 60時間 |
iPhone 8 Plus | 2,675mAh | 14時間 | 60時間 |
iPhone 8 | 1,821mAh | 13時間 | 40時間 |
iPhone 7 Plus | 2,900mAh | 14時間 | 60時間 |
iPhone 7 | 1,960mAh | 13時間 | 40時間 |
iPhone SE(第1世代) | 1,624mAh | 13時間 | 50時間 |
iPhone 6s Plus | 2,750mAh | 14時間 | 80時間 |
iPhone 6s | 1,715mAh | 11時間 | 50時間 |
(2021年10月22日追記)
iOS 15が動作する機種はiPhone 6sシリーズ、iPhone SE(第1世代)以降であるため、iPhone 6とiPhone 6 Plusを表から除外しました。
iPhoneのサイズとバッテリー容量の関係
バッテリー容量はボディサイズが大きいほど有利なため、連続使用時間を延ばすためにiPhoneの大型化とバッテリー容量の増加傾向が続きました。たとえば、iPhone XSは画面サイズが5.8インチでバッテリ容量が2,658mAh、iPhone 11は6.1インチで3,110mAhとなっています。
しかし、プロセッサーの省エネ性能向上によってエネルギー効率が改善された結果、最近では前モデルとほぼ同じボディサイズなのに、バッテリー容量を減少させたモデルも存在します。たとえば、iPhone 11は画面サイズが6.1インチでバッテリー容量が3,110mAhですが、iPhone 12は同じ6.1インチでも2,815mAhに減少しています。
一方、Face IDやTaptice Engine(指に振動をフィードバックする装置)など、モデルチェンジのたびに小型化される部品も存在します。増え続ける消費電力をカバーすべく、既存技術の改良と小型化を続け、少しでもバッテリー格納用スペースを広げようというのがiPhoneのもうひとつの姿です。
駆動時間を決める要素は、バッテリー容量だけではない
iPhoneを含むスマートフォンにおいてバッテリー消費量が大きいのは、頭脳に相当するプロセッサー(SoC)と表示装置(液晶または有機ELパネル)、通信デバイス(Wi-FiやモデムのIC)、そしてストレージ(内蔵のフラッシュメモリ)です。それらの消費電力を減らせれば、バッテリー容量が一定でも駆動時間が延びることになります。
交換しない前提であれば、リチウムイオンバッテリーは容量や形状を比較的自由に設計できるため、薄型化と軽量化が至上命題のスマートフォンにとって好都合です。SoCや通信デバイスなどが進化して消費電力が下がれば、バッテリー容量を減らしてスマホ本体の薄型化・軽量化を図る設計判断も可能となります。iPhoneの新モデルでバッテリーの効率が改善される理由は、ここにあります。
「低電力モード」や「自動ロック」の設定でも節電可能
ユーザの使い方によっても駆動時間は変化します。iPhoneには「低電力モード」が用意されており、このモードを有効にすると、SoCの演算性能を一時的に低下させるほか、新着メールの確認など通信に関わるアプリの動作間隔を広げることで消費電力を減らします。低電力モードは「設定」→「バッテリー」画面にあるスイッチでオン/オフできます。
ディスプレイ(画面)を点灯している時間をできるだけ短くすることも、iPhoneの駆動時間を延ばすために有効です。「設定」→「画面表示と明るさ」→「自動ロック」の順に進むと、ディスプレイがオフのロック状態になるまでの時間を変更できます。