筆者はチョコミントが大好きな、いわゆる“チョコミン党”である。だが、恥ずかしながら告白しよう。自称・チョコミン党員であるにも関わらず、総裁の顔を知らなかったのだ。
正直に言えば、総裁など存在しないと思っていた。そもそも、チョコミン党よりもはるかにメジャーで幅を利かせている“辛党”や“甘党”だってちゃんと組織化されているわけではないし、当然、彼らにボス的存在がいるなどという話も聞いたことがない。
しかし、なんとチョコミン党には総裁がいたのだ。
幸運にも筆者が総裁にお目にかかった……いや、総裁を食したのはゴールデンウィークも明けた5月中頃、場所はファミリーレストラン「ココス」だった。
その顛末はこうである。
チョコミン党総裁との出会いは唐突だった
自宅でのリモートワークにも飽き、近所のココスへ気分転換に出向いたのが事の始まりだった。
緊急事態宣言の発令中だからか、店内は比較的落ち着いているようだ。
「さて、どの席に座ろうか」とウロウロしていたそのとき……!
……ん? 今、見逃してはいけない大切な何かが視界をかすめたような……。
気のせいか?
あ! 気のせいじゃない! こ、これは……!
「We are チョコミン党!!」だと!?
さてはココスめ、こっそりチョコミントフェアやってやがるな!? これはチョコミン党員として、決して無視できない。さっそく着席し、メニュー表をあれこれ手に取ってみる。フェアの詳細はどこに書いてあるんだ?
おっ、あったあった。これだ。
眺めているだけでスースーしてきそうな爽やかな配色。パフェが3種にフローズンドリンクが1種か。なるほど、やっぱりここは一番デカいパフェを豪快に食べたいところだ。
えーと、なになに? メニュー名は「チョコミン党総さ……」
……えっ!?
「チョコミン党総裁パフェ」だと!?
店員さんすみません、これください!
ついにチョコミン党総裁とご対面! その味は……?
なんと、チョコミン党には総裁がいたのか。というかチョコミン党総裁はパフェだったのか?
まさかのエンカウントにプチパニック状態に陥ったが、徐々に落ち着きを取り戻してきた。「チョコミン党総裁パフェ」という名前だけでは、「チョコミン党総裁=パフェ」なのか、「チョコミン党総裁が愛したパフェ」なのか、判別がつかない。
ただし、いずれにしても、チョコミン党に総裁がいるということだけは確かなようだ。あっ、店員さんの足音がこっちに近づいてくる。
ドキドキ……ドキドキ……
店員「お待たせしました〜。『チョコミン党総裁パフェ』です」
そ、総裁……!!
総裁ですね!?
この圧倒的な存在感、ボリューム、美しい断面、バラエティに富んだ具材の数々、そしてなによりこの神々しさ。対面してみて、ハッキリとわかった。これ、確実にうち(チョコミン党)の総裁です。
さぁ、いろいろ溶けないうちにさっそくいただきましょう。
最上部に乗っていたのは、まさかのわたあめ! パフェにわたあめという組み合わせ自体が珍しい気がするが、そこは何と言っても総裁ですから。何があっても覚悟はできています。
わたあめは意外にもしっかりとした食感で、シャクシャクと歯ごたえがいい。すぐ下に配置されたホイップとミントソースを吸収して、甘いのにスーッと爽やか。少し口に入れておけばジュワッと溶けてなくなっていく。やばい、いきなり楽しい……。
わたあめとホイップの下にはチョコミントアイスが待機。もちろん主力メンバーのひとりだろう。チョコミン党としてはもちろん、アイスも断然チョコミント派である。
思えば子どもの頃、大人がチョコミントアイスを食べているのを横目で見ながら、「普通にバニラアイスを食べればいいのに。スースーして変な味じゃん」などと思っていたものだ。しかし、中学生くらいから大人になるにつれて、年々チョコミントアイスが好きになっていった記憶がある。筆者のように、チョコミン党としての原点はチョコミントアイスだという人は多いのではないか。思い出の味であり、大人の味。それがチョコミントアイスなのだ。
そしてやっぱり、いつ食べても美味い。ホイップでまろやかさもプラスされたチョコミントアイスというのはこんなにも最高なものか。
さて、続いては……
ガトーショコラとマカロンを攻めてみよう。言うなれば右大臣、左大臣……いや、幹事長と総務会長か。いや、これも総裁の身体の一部だから素直に右腕、左腕? とにかく、かなりの存在感である。
まずはガトーショコラから。
うわぁ〜、ガトーショコラ美味っ! 総裁……感動的な美味さですよ、これ。
ガトーショコラはすごくしっとりしていてややビター。濃厚でなめらかな舌触りがたまらない。高級感もある。ガトーショコラのほろ苦さとチョコミントアイスの甘みが互いを引き立て合っている気がする。
続いてはマカロン。パフェで食べるマカロンの食感は普段よりずっと面白い。外はサクッ、中はモチッ。この食感が他の具材とはまったく違い、とても個性的なのだ。ラズベリー味のほうはベリーが香り高く、後味の酸味がいいアクセントになっている。緑色のほうはピスタチオ味のマカロンで、香ばしい味わいが個性を放つ。チョコミントアイスやホイップとの相性もいい。
そしてここで「追いミントソース」! ソースは甘さ控えめで、ミントの爽快感がたっぷり。パフェのミントパワーがさらに増し、次なる次元にレベルアップしたようだ。総裁、どこまで高みに行くんですか……!
その後も、サクッと軽やかで甘酸っぱいラズベリーメレンゲ、ザクザク食感のココアクッキー、サクサク食感が小気味いいチョコクリスピー、ぷるぷる食感で気分がリフレッシュできるミントゼリー、濃厚なチョコブラウニーと、粒ぞろいの役者が次々にミント味をまとって顔を出す。無論、どれもキャラが立っていて美味い。
結局、最後までテンションが右肩上がりのままに完食。こんなに豪華で楽しいチョコミント、間違いなく初めて食べた。さすがはチョコミン党の総裁。僭越ながら、想像以上の偉大さでした。
しかし、チョコミントは絶対に飽きることがない。むしろ、まだイケる。胃袋は膨れているのだが、もっと食べたい欲さえある。
ということで、帰りは「フローズンチョコミン党」をテイクアウト。シャリシャリしたミント味のフローズンとザクザクしたココアクッキーのコントラストが最高。フローズンもクッキーも決して甘すぎないあたりも大人に嬉しいポイントだ。
この日、ココスで改めて感じたことは、「やっぱりチョコミントって美味い」ということ。そして、新たに確信したことは、「チョコミン党が与党になる日も遠くない」ということだ。
万歳、チョコミント。万歳、チョコミン党! 万歳、チョコミン党総裁!