本戦1回戦は過去に2度敗れている舞台。3度目にして突破なるか
将棋の第6期叡王戦(主催:株式会社不二家)本戦トーナメント1回戦、▲行方尚史九段-△藤井聡太二冠戦が5月17日に東京都「シャトーアメーバ」で行われています。豊島将之叡王への挑戦権獲得には本局を含めて4勝が必要です。
藤井二冠は段位別予選の八段戦で長沼洋八段、杉本昌隆八段、広瀬章人八段を破って本戦進出。叡王戦には第3期から参加しており、3、4期では本戦1回戦で敗れています(第5期は段位別予選七段戦で敗退)。藤井二冠にとって鬼門とも言える本戦1回戦を今期こそ突破できるでしょうか。
行方九段も段位別予選から登場。九段戦で田中寅彦九段、谷川浩司九段、佐藤康光九段を破っています。行方九段は第1期から叡王戦に参加しており、本戦進出は今期で4度目。1、3期ではベスト4に進出しています。
藤井二冠と行方九段の過去の対戦成績は、藤井二冠の2勝0敗。2019年には朝日杯将棋オープン戦準決勝という大きな舞台で対戦しています。本局は約2年ぶりの対決です。
10時に始まった対局は振り駒の結果、行方九段が先手番になりました。矢倉の駒組みを目指す行方九段に対し、藤井二冠は矢倉には組まない、急戦を狙った駒組み。行方九段は積極的に横歩を取って、力戦調の戦いになっています。
29手目に行方九段は▲3六歩と突いて、相手の桂頭に狙いを付けました。先手の主張は一歩得と、薄くなった桂頭を攻められるというところ。一方で横歩を取るために飛車を動かす手数が増えてしまったのが歩得の代償です。
後手としては、相手が飛車の動きに費やした分の手数を駒組みに用いることができました。その差を生かして先攻していくのか、それともより陣形を発展させるのか。まずはそこに注目です。
持ち時間が3時間の叡王戦本戦は、通常なら夕方頃に終局します。ただし、藤井二冠も行方九段も序盤から持ち時間を積極的に投入していく棋士です。長考合戦の末、大熱戦となり、終局時間が遅くなることも十分に考えられるでしょう。