本局は順位戦B級1組の開幕局。藤井二冠の順位戦連勝は22に伸びるのか
第80期順位戦B級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)の1回戦、▲藤井聡太二冠-△三浦弘行九段戦が5月13日に東京・将棋会館で行われています。「鬼のすみか」と呼ばれるB級1組に今期から初参加の藤井二冠は果たしてどのような戦いを見せてくれるのでしょうか。
藤井二冠と三浦九段の過去の対戦成績は、藤井二冠の2勝1敗。直近の対戦は今年2月の朝日杯将棋オープン戦決勝で、藤井二冠が勝利しています。3局とも藤井二冠が先手番で、戦型は横歩取りの将棋が2局、角換わりが1局という内容でした。本局も藤井二冠が先手番のため、4局連続で先後が同じになります。
順位戦はあらかじめ先後が決まっているため、事前準備が重要になる棋戦と言われています。作戦家の三浦九段が選択した戦型は横歩取りでした。朝日杯の将棋に続いて2局連続の採用です。
過去2回の横歩取りの将棋では、16手目に△4一玉と指していた三浦九段ですが、本局は△3三角を選択。公式戦で最も指されている横歩取りの王道の形です。対する藤井二冠は青野流を採用しました。これは現在横歩取りで最も有力視されている先手の作戦です。
当然、青野流は三浦九段の事前想定の最有力候補でしょう。三浦九段が用意してきた対策は、意外なものでした。それは3月23日の第34期竜王戦2組ランキング戦準決勝で、松尾歩八段が藤井二冠に対して採用した作戦です。この将棋は記憶に残っているという方が多いでしょう。そう、藤井二冠があの絶妙手「▲4一銀」を指して勝利を収めた一局です。
あれだけのインパクトを残して勝利した藤井二冠本人相手に、再び同じ作戦をぶつける。これは相当な研究の裏付けがなければできることではありません。三浦九段の自信がうかがえます。
自身が指した前例の局面を突き付けられた藤井二冠は、25手目に38分の考慮の末、前例を踏襲する選択。対する三浦九段はここまでほぼ持ち時間を使わずに指し進めています。
前例を離れる選択をしたのは、なんと勝った側である先手の藤井二冠でした。27手目に13分考え、新手を着手。ここから本局は前例のない未知の進行をたどることになります。
本局の持ち時間は6時間の長丁場。また、B級2組まではチェスクロック方式でしたが、B級1組からはストップウォッチ方式となります。ストップウォッチ方式は1分未満の考慮は切り捨てられるというシステムのため、チェスクロック方式よりも終局は遅くなります。本局の終局は本日夜から日付が変わる頃の終局となるでしょう。