NTTドコモは5月12日、NTTと共同で2020年度 決算説明会を開催しました。ともに増収増益の決算となっています。会の冒頭、NTTの澤田純社長は総務省との「会食問題」について、あらためて陳謝しました。
NTTの会食問題を陳謝
決算を発表する前に、国家公務員との会食に関する対応について「弊社経営層と省庁関係者などとの会食により、お客様、株主の方々をはじめ、関係する皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます」と陳謝した澤田社長。
3月9日に社外の専門家を含む特別調査委員会を立ち上げ、事実関係の解明などに向けた調査を実施しているとし、「経営層の認識の甘さが原因で発生したもの。本来、社員に模範を示すべき経営層がこうした事態を招いたことを深く反省するとともに、今後は再発を厳に防止し、信頼を取り戻すために社内ルールを見直していきます」と説明しました。
20年度決算は増収増益、光回線やスマートライフ事業が牽引
NTTドコモの2020年度 決算は、営業収益が4兆7,252億円(前年同期比739億円増)、営業利益が9,132億円(同586億円増)でした。登壇した代表取締役社長の井伊基之氏は「増収増益の決算となりました。ドコモ光、およびスマートライフ事業の拡大に向けた取り組みの着実な成果によるものです。営業利益は、年間予想の8,800億円を上回りました」と報告しました。
セグメント別では、通信事業の営業収益が3兆6,843億円(同27億円減)、営業利益が7,211億円(同146億円増)。スマートライフ領域では営業収益が1兆815億円(同839億円増)、営業利益が1,921億円(同440億円増)と拡大している状況です。
これを踏まえてNTTドコモの2021年度 業績予想は、営業収益が4兆7,900億円、営業利益が9,200億円(うち通信事業が7,100億円、スマートライフ領域が2,100億円)としました。「増収増益を目指します」と井伊社長。5Gへ投資するとともに、コスト削減を進めていく方針です。
ahamoが100万契約突破、MVNOとの廉価プランも進行中
メディアからの質問には、発表から引き続いて井伊社長が対応しました。質疑の一部を紹介します。
――2021年度の増収増益は、どうやって実現するか。
「5Gギガホプレミア」や「ahamo」などの新しい料金プラン、MVNO向けのデータ卸、音声接続の値下げ、これらはすべて収益減の要因になります。そこでネットワーク、販売チャネルのコストを下げ、また非通信分野の領域(金融・決済)や法人を伸ばしながら、トータルで増収増益を実現していく考えです。これまでずっとマイナスだったMNPも、2021年4月にプラスに転じました。端末販売に関しても今後、増収が図れるのではないかと考えています。
100万契約のahamo、その内訳
――100万契約を突破したahamoについて、その内訳は。
事前エントリーが250万くらいでした。この1か月ちょっとで、約100万契約まで来ました。既存のドコモ契約者から移行するユーザーが多い状態ですが、新規、他社からの流入もあります。期待通り、戻ってくるお客様も一定程度いる。単純に料金プランを安くしただけでなく、中容量のメニューが埋まったことで、ギガライトからアップグレードする、ギガホからダウングレードする、といった方が増えました。ニーズにあった料金プランを用意できたことで、リバランスが起きているのでしょう。加えて、他社に流出していたユーザーも、この値段ならと、戻ってくれている状況です。
ahamo契約者について
――ahamo契約者の5割弱は40代以上ということで、もともと狙っていたターゲット層と違うのでは。
当初は「オンライン専用プラン」という言い方で、コンセプトを打ち出していました。でも、お客様のデジタル化への意向を無視して、「そういう人は契約しなくて良い」というのも良くない、と考えました。そこで店頭サポートでは基本的に、お客様ご自身で操作していただきます。ドコモでは、分からないところをサポートする。お客様の代わりに契約するのではなく、お手伝いすることで、デジタルに不安がある方、ひとりで手続きできない方の、デジタルへの入り口になるのではないかと考えています。
ahamoのスペックは、デジタルネイティブをターゲットにした当初のままです。オンラインでサービスの追加、変更、解約ができる仕立ては変えていません。デジタルの普及に対して我々も協力しよう、オンラインとオフラインの融合によりユーザー側のリテラシーを上げる手伝いをしよう、というのが今回の取り組みの要点です。
MVNOとのコラボプラン
―――MVNOとコラボしたエコノミープランは、いつ提供するのか。
いま複数のMVNOさんと、どういった形で提供するか検討中です。思った以上に、調整に時間がかかっている状態。単に安い料金メニューを提供するだけでなく、dポイントの会員基盤になっていただけないか、というお願いをしています。
エコノミープランの利用者は、データ量は使わず、廉価に使いたいという方が対象になる。MVNOが料金を決めて、我々はチャネルとしてサポートする、dポイント会員をサポートしていく、そんなコラボレーションを考えています。
5Gについて
――5Gをスタンドアローン方式で提供する時期は、いつ頃か。
2021年度内です。時期はまだ公表していませんが、早くやりたいというところです。
ショップは淘汰されるのか
――販売代理店のビジネスモデルは継続するのか。ショップの淘汰もやむを得ないのか。
デジタル化は、時代の流れです。ショップ側でも、このまま対面販売が続くとは考えていません。どうやって業務のなかにデジタルを使っていくか、例えばお客様の対応時間を短縮するとか、そうしたことを考えています。すべての業務を人間が行う場合にお支払いしていた販売手数料は、今後は必要なくなるでしょう。
一方で、販売チャネルのミッションとして、世の中のICT化のサポートを有償で提供しようとしています。すでに、ソフトのインストールなどは有償の対応になりました。今後は、街の小さな商店、小さい法人の方々のデジタル化もお手伝いしていく。このサポートを有償でやっていきます。代理店のミッションを拡大していくことで、全体の収益、利益を再構築していただく。また、現在の約2,300もの店舗がそのまま必要か、これは別の議論でやっていきます。今回のahamoをきっかけに、仕事のトランスフォーメーションも実施してく考えです。