「過渡期」はビジネスシーンだけでなく、映画やマンガ、日常会話の中でもよく使われる言葉です。この記事では、「過渡期」の意味や読み方、使い方・例文について紹介します。類語・対義語、英語での表現方法などもまとめているのでぜひ参考にしてください。

  • 過渡期とは

    「過渡期」の意味や使い方を解説していきます

「過渡期」の意味とは

過渡期とは、「物事が移り変わっていく途中」のことを意味します。「過渡」という言葉には「ある状態が新しい状態に変化する」という意味があり、会社の変革や技術の革新が起こったときに、その時期のことを「過渡期」と呼ぶことがあります。

読み方は「かとき」

過渡期は「かとき」と読みます。まれに、漢字が似ていることから、「過度」という全く別の意味の漢字と間違えて「かどき」と読んでしまうこともあるので要注意です。

また、「かわたしき」とも読みません。実は「かわたし」と読むと別の意味になってしまうのです。過渡を「かわたし」と読むと、「本当の金額より多く渡すこと、お金の渡しすぎ」という意味になります。「かわたしき」と読んでしまうと意味が通らないので、注意しましょう。

黎明期との違い

過渡期と混同されやすい言葉に黎明期というものがありますが、似ているものの意味は異なりますので、それぞれの意味をしっかり確認しておきましょう。

まず、広辞苑では黎明期を「輝かしい次の時代への始まりの時期」と説明しています。黎明期と過渡期の共通点として、どちらも時代の変化を表す語です。

一方、この2つの大きな違いは、「時代の変化におけるどの部分を表すか」です。具体的には、過渡期は「時代が移り変わる途中」を表すのに対して、黎明期は「時代の始まり」を表します。このように、黎明期と過渡期は似ているようで違う意味であるということを覚えておきましょう。

黎明期は、「インターネット黎明期」「スマートフォン黎明期」「プロ野球黎明期」のように使われます。例えば、「インターネット黎明期」なら、インターネットが普及し始めて間もなく、成長期を迎える前の時期を表しています。

<例文>

  • 彼は、SNS黎明期を支えた技術者のひとりだった。

「過渡期」の使い方と例文

過渡期のシーン別の使い方と例文を紹介します。

過渡期を迎える

過渡期は「過渡期を迎える」という表現で使われることが多いです。例えば、会社制度の変化や成長、需要の変化などを表すときに使います。

<例文>

  • 社内制度が一変し、私たちの会社は過渡期を迎えている。
  • 自社製品の社会的ニーズが高まっているので、我が社はこれから過渡期を迎えるだろう。

過渡期が、過渡期の

「過渡期が~」、「過渡期の〇〇」といった使い方もよく見られます。

<例文>

  • 過渡期がなくては人間は成長できない。
  • 私たちのチームは過渡期の真っ只中にある。

歴史上の出来事に使われることも

ビジネスシーン以外に、歴史で時代が変わるような大きな出来事が起きた時期を説明するときにも過渡期という表現を使うことがあります。幕末や戦争などの説明に登場したのを見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

<例文>

  • 江戸から明治への転換は、時代の過渡期と呼ばれている。
  • 幕末から明治維新にいたる日本の歴史は、近代国家へと生まれ変わる過渡期とされた。

人生や恋愛を語るときにも使える

そのほか、人生や恋愛について語る際に過渡期を使うこともあります。この場合は、目標を達成するまでの微妙な時期を表すことが多いです。また、人間の成長に対しても使うことができます。特に幼少期はできることがだんだんと増えていく時期なので、過渡期といえます。そして思春期は子どもから大人へと移り変わっていく過程なので、この場合も過渡期と呼ぶことができます。

<例文>

  • 「大人への過渡期」とは主に青年期のことをいい、年齢でいうと13歳から20歳くらいまでのことをいう。
  • 仕事が忙しくて、結婚を前提に付き合っている彼女となかなか婚約まで進めず、恋愛の過渡期を迎えている。
  • 過渡期の使い方と例文

    過渡期はさまざまシーンで使われます

「過渡期」の類語

過渡期は「物事が移り変わっていく途中」という意味なので、類語には「変化すること、進歩すること」を意味としてもつものが当てはまります。

転換期

転換期は、広辞苑で「物事が移り変わろうとしている時期」と説明されています。ほとんど過渡期と意味は同じで、「転換期を迎える」という形で使われることが多いです。

<例文>

  • 社員の働き方が見直され、制度に大きな変化があったため弊社は転換期を迎えています。

変革期

変革期は広辞苑で「社会・制度などが、変わりあらたまること。変えあらためること。」と説明されています。「社会の変革」「意識の変革」などのように使われることが多いです。

<例文>

  • 社員一人ひとりの業務成績を加味した賃金制度に変革する必要がある。
  • 過渡期の類語

    過渡期の類語も覚えておくと便利です

「過渡期」の対義語

厳密に過渡期の対義語として当てはまる言葉はありません。しかし物事が安定している時期や、過渡期を終えて一番盛り上がっていく時期を表す言葉が対義語に分類されることがあります。

安定期

安定期には、「物事が落ち着いていて、激しい変化のないこと。」という意味があります。物事の移り変わりがなく、安定している時期のことを示すため、過渡期の対義語に分類することができます。

全盛期

全盛期には、「最も勢いがあり、活発である時期」という意味があります。物事が移り変わる過渡期を終えた時期のことであるため、対義語に分類されることがあります。

「過渡期」の英語表現

過渡期を英語で表すとどう表記するのか、くわしく説明します。

transition

過渡期を英語で表すと「transition」となり、「移り変わり、移行、変化」という意味があります。過渡期と同じく時代や制度の移行、物事の変化に対して使用可能です。

<例文>

  • Adolescence is viewed as time of transition.(青年期は移り変わりの時期とみられている。)
  • We are in a period of transition.(私たちは過渡期にある。)
  • 過渡期の英語表現

    過渡期の英語表現は「transition」です

「過渡期」は物事の変化を表す言葉

「物事が移り変わっていく途中」という意味を持つ「過渡期」について説明しました。過渡期はビジネス、歴史、人生、恋愛などのさまざまシーンで使うことができますが、読み方や意味が似ている言葉と間違われやすいので注意が必要です。

また、類語や対義語も一緒に覚えることで表現の幅が広がります。意味を正しく理解して過渡期を使えるようになりましょう。